イタリア・ティラノへ小旅行〜ベルニナ急行の旅〜
今朝も張り切って5時半起床。昨日と同じ8時45分発の電車に乗るため、7時にはレストランで朝食。さて、写真を、とバッグからカメラを取り出し、電源を入れると…「NO CARD」の表示。…あららら〜〜? いつもはCFと予備のSMを両方とも入れているのに、昨夜画像をPCに取り込んだ時に取り出したまま、カメラに戻すのを忘れた模様。こんな時、連れがいれば席を立って部屋まで取りに戻るところだけど、さすがにテーブルにお皿を並べたまま無人の状態にするのはなぁ…と諦める。だいたい、時間に余裕があるわけでもないし。ほとんどいつも通りのミューズリーにフルーツを載せたものと、ハム、チーズ、ヨーグルトの朝食を済ませ、出発の準備。今日は国境を越えることになるので、パスポートも忘れずにバッグに入れた。
さて、これから乗ろうとしているのは「ベルニナ急行」と同じルートを走る普通列車だ。サンモリッツから終点のティラノまでは約2時間半。その間には氷河や氷河湖、ヨーロッパの鉄道駅としては最も標高の高いところにある駅、世界中でも非常に珍しいというフルオープンのループ橋など、見所がたくさんある。そのうえ、終点のティラノはイタリアにあるので、わずか2時間半ほどの旅で、国境越えも経験できる、と、別に鉄道マニアでなくともわくわくするような路線なのだ。できればベルニナ急行そのものに乗りたかったのだが、問い合わせた旅行会社からは「予約不可」との回答。しかし、まったく同じルートを走る普通列車がある、とのことだったので、行きは普通列車でティラノまで行き、帰りのベルニナ急行の空席があれば駅の窓口で買うことにした。
昨日と同じく、空いている一番前の車両で発車を待っていると、発車直前にリュックサックを背負った女性が駆け込んできた。彼女はふぅー、と大きく息を吐き、手にしていたタオルでパタパタと顔のあたりを扇いでいたが、やがて私の方を見て、「窓を開けてもいい?」と声をかけてきた。「どうぞ」と答えると彼女はにっこり笑って窓を開け、「走ってきたから暑くて…」と言いながら、着ていたトレーナーを脱ぎ、タンクトップ1枚の姿になった。…いくらなんでも寒くないですか…(笑)?(ちなみに、この時の気温は15℃あったかどうか?というところです。私は長袖を重ね着してました)電車が発車すると彼女は「どこまで行くの?」と話しかけてきた。「終点のティラノまでです」「そう、それじゃあ、私の方が先に降りることになるのね」 そしてしばらくすると、「もうすぐ滝が見えるわよ」と教えてくれた。その後も窓の外を指差しては川の名前や街の名前などを説明をしてくれ、お陰で彼女が電車を降りるまでの間を楽しく過ごすことができた。電車を降りたあと、彼女は「楽しい旅行を!」とホームでずっと手を振って見送ってくれた。この近くに住んでる人なのかしら? …そういえば、名前も聞いてなかったし、どこに住んでるのかも聞いてなかった。ああ、住所とかメールアドレスくらい聞いておくんだった、とちょっと後悔。
昨日と同じ、8時45分発のティラノ行きに乗り
ました。これは普通列車です。思ったよりはいい天気です。
通路を挟んで隣に座った女性が、窓から見え
る名所をいろいろ教えてくれました。昨日登ったディアヴォレッツァ展望台は雲に
覆われていました。昨日行っておいて大正解
でした。氷河湖ラーゴ・ビアンコ(「白い湖」という意味
のイタリア語)ヨーロッパで一番標高の高い鉄道駅、オスピッ
ツォ・ベルニナ駅(2256m)この高さだと森林限界を越えているため、樹木
はありません。氷河湖ラーゴ・パリュー
ガスが出ているのでパリュー氷河は見えませ
んでしたポスキアーヴォ駅
ここからはイタリア語圏です駅のホームの表示もイタリア語です。 路面電車のようにポスキアーヴォの街の中を
走ります。ポスキアーヴォ湖 この先の駅で隣の女性は
降り、ホームから手を振って見送ってくれまし
た。
ポスキアーヴォを過ぎ10分ほどすると、いよいよこの路線のハイライト、ブルッジオのループ橋だ。幸い車内にはほとんど他のお客さんがいなかったので窓を全開にして体を乗り出してカメラを構える。
いよいよブルッジオのループ橋が見えてきま
した。ここから360度回転します! 私は一番前の車両に乗っていたので、これは
後ろを振り返ったところです。さっき通った橋の下をくぐり抜けます。(これは
進行方向を見ています)この間わずか4〜50秒程度です。(これは後
方を振り返ってます)
ループ橋を過ぎ、しばらくするとスイスとイタリアの国境。列車内はスイス国内とみなされるため、終点のティラノの駅の外に出ない限り出入国審査はない。線路と並行して走る道路にある国境の検問所を過ぎるとそこはイタリアだ。なんだかこんなふうに簡単に国境を越えてしまうなんて不思議な気分だ。やがて列車は路面電車のように道路上の建物すれすれの所を走り抜け、ついに終点のティラノ駅に到着。電車を降りて駅の出口に向かうと、切符売り場の更に先にパスポートコントロールがあった。パスポートを提示すると、係官に「ここに滞在しますか?それとも、乗り継いでミラノまで行きますか?」と質問された。…ほえ〜〜?ここからミラノまで行けるんだ?とちょっとびっくりしつつ、「ここに滞在します」と答える。「何日間ですか?」「今日中にサンモリッツに戻ります」「わかりました」 無事パスポートに入国スタンプをもらい、入国審査終了。スタンプを押してもらえると思ってなかったので、なんだかちょっと嬉しい。
駅の外に出ると、目の前にイタリアの鉄道駅があり、ここからミラノまで行く電車が出ているらしい。駅舎の中に観光案内所があったのでそこでティラノの地図を買い、街へ繰り出すことにした。
スイスとイタリアの国境を越えました。奥に見
えるのがイタリア側の検問所ティラノの街中を走る電車 ここでも路面電車
のように道路上を走ります。ティラノの教会が見えてきました。 ティラノ駅に到着しました。この奥にパスポート
コントロールがあります電車のマークのついた入国スタンプ
(これで、飛行機、車、電車の3種類が集まり
ました♪)レーティッシュ鉄道の駅 こちらはイタリア鉄道の駅 ここからミラノまで
行くことができます。駅前の観光案内所で地図を買いました。
(1ユーロ)
帰りはできれば15時11分発のベルニナ急行に乗りたかったので、ここに滞在できるのは3時間ほどだ。まずは駅の周辺を少し歩いてみたが、結構閉まっているお店が多く、食事ができそうなお店も少ない。仕方ないので一度駅前に戻り、ホテル「ベルニナ」のレストランで昼食をとることにした。店内は団体のお客さんの貸し切りになっていたようで、外の席に案内された。何種類かあるランチメニューの中からいかにも、という感じのトマトソースのパスタとミラノ風カツレツのセットを注文した。本場イタリアのパスタに期待が膨らんだが、ここは田舎町だから?なのか、選んだお店がまずかったからなのか、茹で加減はよくないし、味もあまりにも普通で感動のないものだった。
駅前の風景 駅前にあるホテル「ベルニナ」のダイニングで
ランチビールは3.6ユーロ(約525円) スパゲッティ・トマトソースとミラノ風カツレツ
(12ユーロ・約1750円)
パスタ、茹ですぎです…
過剰な期待をしていた食事ではずしてしまったが、気を取り直して街の散策に出かける。ちょうどシエスタの時間帯のため、街の中にはほとんど人影もなく、実に静か。かなり古い街並みで趣はあるんだけど、夜はさぞ淋しいところだろうなぁ…などと考えながら歩く。お店は閉まってるし、観光スポットも休憩中のため、時間をつぶす手段がない。…困った…。しばらく広場のベンチに座って文庫本など広げてみたが、日差しが強くて読書どころではない。電車の時刻にはまだ早かったが、少し早めに駅に行って、日陰で座っている方がよさそうだ。
もともとのお城の門らしいです。 サンタ・テレサ教会 見事な天井画が残っています とても歴史のある建物が並んでいます
再びパスポートを提示して駅舎内に入ったのは、電車の出る50分も前だった。ダメ元でチケット売り場に行き、「次のベルニナ急行の1等車の座席はありますか?」と聞いてみると、「あります」との返事。…やった! 座席指定料金はCHF7(約640円)だった。チケットを見ると「PANORAMA」との文字が刻印されている。もしかして、パノラマの車両、ってことかしら? どうせベルニナ急行に乗るなら話の種に、ぜひパノラマの車両に乗ってみたい、と思っていたのでこれはラッキーかもしれない。
サンモリッツ到着は18時少し前。ホテルに戻って少し休憩してから晩ご飯を食べに行くことにするが…なんだかものすごく和食が食べたい衝動に駆られた。ガイドブックやらインターネットでサンモリッツの日本食レストランを探すが、見つからない。ないとなると余計に欲しくなってしまうのが人間の悲しい性? とにかく、醤油味が恋しいのよ!…というわけで、今度は中華料理のレストランを当たる。すると、サンモリッツで唯一という中華のお店があることがわかった。ここしかない!と今日の晩ご飯のお店はここに決定。ホテルから歩いてお店に向かった。
店内に一歩踏む込むなり日本語が聞こえてきた。日本人の団体客だ。あいにく(失礼)その団体さんのすぐ近くの席に案内されてしまった。15人ほどいるかと思われるその団体さんたちは、大きなテーブルで貸し切り気分なのか、すっかり酔いがまわっているのか、お店中に響き渡るような大声で話し、けたたましく笑い、フラッシュをたいてお互いの写真を撮り捲っている。これには周りのお客さんも眉を顰めていた。しゃべっている内容がわかるだけに余計耳につき、お陰でせっかくの醤油味もゆっくり味わうどころではなかった。
チーズの味に飽きたので、街の中で唯一と
いう中華料理のお店「ル・マンダリン」で
晩ご飯青島ビールがありました!
(CHF5.5/約510円)中華風サラダ…なんだけど、何か違う…
(CHF10/約920円)白身魚の甘酢あん これはおいしかった
(CHF26/約2390円)
さて、明日はサンモリッツ滞在最終日。昨日、今日とよく動いたし、明後日のツェルマットまでの長旅に備え、明日はシュクオルの温泉に行くことにした。ほとんど情報のないところなんだけど、果たして無事、行って帰って来れるのかな?