シュクオルの温泉へ
当初の予定ではちょっと早起きして、温泉でのんびり過ごすつもりだった。しかし…今までの疲れが出たのか、どうしても起きられなかった。7時半過ぎになってやっとベッドから這い出て、身支度をする。朝食はチーズやハムを食べる気にならなかったので、シリアルとフルーツ、ヨーグルトと半熟のゆで卵で済ませた。
数種類のシリアルにフルーツとヨーグルトを
たっぷり添えていただきます!ゆで卵がありました。
駅に着いたのは9時半過ぎ。プリントアウトした時刻表で10時2分発の電車があることがわかっていたので、それに乗るつもりだったのだが、駅の時刻表で確認すると、その電車は氷河急行だった。これって…指定券がなくちゃ乗れないんじゃないの? それじゃあ、次の電車は…というと1時間くらい後までない。げげ…困ったな…と時刻表の前に立ち尽くしていると背後から「ハロー、マダム」と聞き覚えのある声がした。振り向くと、ホテルの運転手さんだった。「どこへ行くんですか?」と聞かれたので、「シュクオルまで行きたいんですけど…次の電車は氷河急行ですよね? これは指定券がないと乗れないんですよね?」と言うと「いいえ、サメダンまでなら大丈夫ですよ」と教えてくれた。更に「乗り場はこっちですよ」となんと、ホームまで案内してくれた。本当に運転手さんには感謝感謝!
無事10時2分発の電車に乗り、2駅めのサメダンでシュクオル方面行きに乗り換えた。やっぱり疲れてるのか、電車に乗るなり爆睡してしまった。気付くとシュクオルのすぐ手前の駅まで来ていた。シュクオルは山間の小さな街。駅から温泉センターの近くまでは路線バスが出ていて、電車と接続しているのだが、歩いてもたいした距離ではないようなので、歩いてみることにした。駅は街のはずれにあるらしく、駅前は実に静か。のどかな花畑の間の道を歩いていくと、やがて街の中心部に出た。途中観光案内所に立ち寄って念のためバスの時刻表をもらっておいた。
10時02分発の氷河急行に乗ります 指定の表示のない席を確保! 意外と空いて
るんですねサンモリッツから2駅めのサメダンで乗り換え
て、その後は爆睡! よって写真はありませ
ん。これはシュクオルの駅ですバスもあるんですが、こんなのどかな道を歩
いて温泉センターへ向かいます。壁に絵が描かれた建物 シュクオルの街
駅から温泉センターまでは歩いて15分弱だった。温泉センターの表示があるのでそれに従って歩いてきたのだが、いざ近くまで来てみると、果たして建物の正面入り口はどこにあるのかよくわからない。とりあえず入り口があったのでそこから中に入ったのだが、そこはどうやら裏口だったらしく、ほとんど人気のない廊下を歩いてようやくチケット売り場のあるロビーに出た。チケットを買って(CHF25/約2300円…考えてみたらずいぶん高い)、ゲートを抜けて階段を下りるとコインロッカーがあった。…ここに荷物を預けるのかなぁ? よくわからないので、とりあえずそのまま先へ進むと右側にドライヤーの備え付けてある洗面台が並んでいて、左側にズラーッとロッカーが並んでいるのだが、このロッカーがなんだか複雑なつくりになっているのだ。辺りを見回しても使い方の説明のようなものもない(というか、館内には英語表示はない)。一体どうなってるの? きょろきょろしながら行ったり来たりしていると、鏡の前に座っていたおばあさんが「あなたは何語が話せるの?」と声をかけてくれたので「英語なら少し…」と答えると、「ついてきなさい」と言ってロッカーの方へ私を連れて行き、英語で使い方を説明してくれた。(温泉センターのロッカールームの見取り図と使い方はこちらですが、一部変になっているところがあるので調整中です。スミマセン…)
持参した水着に着替えてコインロッカーに荷物を預け、温泉プールへ向かう…が…プールの入り口はどこ?!と見渡すと、なにやらゲートのようなものがあり、センサーにチケットをかざすとその前方にある滝の部分が開き、そこへ入って行く人がいるのが見えた。そうか、こうすればいいんだ、と同じようにチケットをかざしてみたが、扉は開かない。…どうなってるわけ? すると、通りがかった人が私のチケットを見て「このチケットではここには入れないんですよ」と教えてくれた。そして、「温泉プールはこっちですよ」とその人が指差した方向にあるのはトイレである…。半信半疑で入っていくと、やっぱりどう見てもただのトイレである。しかし、よく見るとトイレの奥にシャワーがあり、その更に奥へ進んでいくと、プールへ出る通路だった。…わかりにくいよぉ〜〜!
温泉センターの看板 建物の外観 はたしてどこが入り口なのかよく
わからない構造… どうやら私は裏口から入っ
たようです。館内は光が差し込んで明るいです。 チケット売り場のあるロビー
ようやく温泉プールに辿り着いた。ガイドブックでは「温泉療養センターなので、決められたコースに従って」と書いてあったんだけど、全然そんなことはなく、CHF25で2時間半自由に利用できるらしい。さっそくジャグジーに入ってみる。お湯の温度は38℃はないだろうな、というくらいでちょっと肌寒い。しばらくして屋外のプールの方へ行ってみた。雰囲気的にはバリ島のリッツ・カールトンホテルのスパにあるアクアトニックプールの温泉版、という感じだけど、「飛び込み禁止」の表示があるにもかかわらず、ひっきりなしに子供がバシャバシャ飛び込んできて、実に落ち着かない。しかも寒い。早々に退散し、再び屋内へ。今度は寝湯でしばしリラックス。…それにしても、寒い。真夏とはいえ、熱いお湯に浸かることに慣れた日本人にとってはこの温度はちょっと辛いかなぁ?(そういえば、欧米人は日本人に比べて体温が高いため、暑がりだと聞いたことがある…) 1時間半ほどでさすがにリタイア。帰りに館内の鉱泉スタンドで鉱泉を飲んで帰ろうと思っていたのに、休憩時間に入ってしまっていて飲めなかった。…悲しい…
2階から見下ろした温泉プール 鉱泉が飲めるコーナーなんですが…休憩時間
に入ってしまっていて、飲めませんでした。
さすがにお腹が空いたので温泉センターの近くにあるピッツェリアで昼食にする。昨日のパスタがはずれだったにもかかわらず、懲りずにボロネーゼを注文。あまり期待していなかったんだけど、昨日のものよりずっと茹で加減がよかった。
温泉センターの近くのピッツェリアで昼食 「ASTRAS」というお店です。 まずはビール!(CHF3.7/約340円)
良心的な値段だぁ〜〜!スパゲッティ・ボロネーゼは昨日のパスタより
茹で加減がよかった…
(CHF17/約1570円)
ガイドブックによると街の中心部のあっちこっちに鉱泉の飲めるところがある、とのことだったので、実は空のペットボトルを持参していた。温泉センターで鉱泉が飲めなかったこともあるし、絶対に持ち帰ってやる、と思っていたのに、どうやら道に迷った模様。坂が多いうえに、さんざんお湯に浸かっていたためになんだか疲れてしまい、元来た道を戻る気になれず、適当に歩いていたら駅の方まで来てしまった。結局鉱泉スタンドには出会うことなく帰ることになってしまった。…悲しい…。
シュクオル駅のホームにはもう電車が停車していた。時刻表を見ると発車までまだずいぶん時間がある。しかし、歩き回って疲れていたので車内で座って発車を待とう、と停車していた電車に乗り込んだ。ところが、席に着く前にドアが閉まり、電車が動き出した。しかも、進行方向が逆だ。…え? なんで?? この駅は終点のはずだ。ということは…これは車庫に入る回送電車だったのでは?! このままだと車内に閉じ込められたまま車庫に入られちゃう?! 慌てて運転席の方向に走っていった。が、運転席に着く前に電車は止まった。そして再びドアが開いた。ほっとして電車を降りる。どうやら停車位置を変えただけだったようだ。…それにしても…焦った。
なんだか今日は空振り&失敗ばかりでちょっとブルーになってしまった…。しかし、それを吹き飛ばすできごとが! なんと、昨日の電車の中でいろいろ教えてくれた女性と再会できたのだ! しかし、気付いたのが乗り換え駅で降りる時で、お互い乗り継ぎの時間が迫っていたためにゆっくり話ができなかった。もう少し早く気付いていれば連絡先を聞くことくらいできたのに…。もしかしたらまたどこかで会えるんじゃないかな、とかすかな期待を抱きながら、彼女を乗せた電車をサンモリッツ方面へ向かう電車の窓から見送った。結局その後彼女に会うことはできなかったけれど、きっと今も、あの人懐っこい笑顔で周りの人を幸せな気持ちにさせてくれているに違いない。
街のあっちこっちで鉱泉の飲めるところがある
ということだったので、空のペットボトル持参で
行ったのに…道に迷ってしまい、気付いたら
駅前でした。電車の窓から見た川の流れ
サンモリッツの駅で電車を降り、駅舎の外に出たところでまたまたホテルの運転手さんに遭遇。「お帰りなさい。無事、シュクオルには行けましたか?」と笑顔で車のドアを開けてくれた。「ありがとうございます。お陰様で楽しく過ごせました」とお礼を言うと、「明日の予定は?」「残念だけど、明日の午前中の氷河急行でツェルマットへ移動するんです」と答えると、「ああ、それは残念です。私は明日は休みなんです。でもご安心ください。他の運転手があなたを駅まで送ってくれますから」 車を降り、運転手さんに何度もお礼を言って別れた。今回の旅行は本当に人との出会いに恵まれているなぁ、と改めて思った。
サンモリッツ最後の夜は、初日に行って感じのよかったホテルのレストランで豪華なディナー。この間と同じ店員さんが応対してくれた。まずはおいしいパンをつまみながらスイス産の赤ワインをいただく。続いて運ばれてきたのはオックステールスープ。見た目はよくないけど、これがさっぱりしていておいしい! 今度は白ワインを注文し、白身魚のトマトソースを。これも淡白な味でおいしい。…それにしても…スイスって食費がかかる国だなぁ…(汗)。
サンモリッツ最後の夜はホテルのレストランで
晩ご飯。まずはスイス産の赤ワインをいただき
ました。(CHF8/約740円)このパンがめちゃうま! 思わずおかわりを
いただきました。オックステールスープ(CHF13/約1200円)
これもさっぱり味でおいしい!今度はスイス産白ワインをいただきました。
(CHF8)白身魚のトマトソース 淡白な味でなかなか!
(CHF46/約4230円…すごい値段…)
なんだか、レートの計算間違えてる?ってくら
い食費がかかりすぎてます…(汗)
明日は氷河急行でツェルマットへ移動。実に7時間半に及ぶ列車の旅だ。朝も早いことだし、しっかり眠って長旅に備えよう…。