ゴルナーグラート展望台、そしてクライン・マッターホルン展望台へ!
気合と根性で5時起床。外はまだ真っ暗だが、目を凝らしてみるとかすかにマッターホルンの白い山影が見える。よし、やっぱり今日は快晴間違いなし! これならゴルナーグラート、そしてクラインマッターホルンのふたつの展望台を制覇できそうだ。今日は何がなんでもゴルナーグラート行きの7時10分の始発電車に乗るつもり。これはガイドブックの隅の方に「ゴルナーグラートへ行くならホテルの朝食をキャンセルしてでも絶対に始発電車で。9時を過ぎると日本人観光客で展望台は立錐の余地もなくなる」との口コミ情報が載っていたためだ。どうせなら静かにゆっくりと景色を楽しみたかったし、それに、この時間にゴルナーグラートへ行けば、うまくすれば午前中、どんなに遅くとも昼過ぎにはクラインマッターホルンにも行けるだろう。昨日のうちに買っておいたパンとリベラの緑の簡単な朝食を済ませ、出発の準備。思いの外交通費が嵩んだために手持ちのスイスフランが心細かったので、駅の両替所に寄って行くことにして(ホテルのフロントでの両替は午前7時から)、6時半にはホテルを出発。
ツェルマット駅の券売所券両替所で両替を済ませ、ツェルマット駅の正面にあるゴルナーグラート鉄道の駅へ向かう。そして、いざ、チケットを買おうとして気付いた。…スイスパスを部屋に忘れてきた! 取りに戻ろうか、と時計を見たが、ちょっときわどい。ここでもし、始発電車に乗り遅れたら今日の予定は全て狂ってしまう。仕方ない、割引なしの正規の料金で乗るしかない、と諦めて窓口に並ぶ。今日も帰りは途中下車してハイキングをするので、昨日の反省を生かし、「山頂の駅でもチケットは買えますか?」と窓口で聞いてみた。すると「買えますよ」との返事。よし、今度こそ大丈夫だ!と安心して片道のチケットを購入。割引がないので片道でCHF34(約3130円!)という驚愕の料金だった。始発のゴルナーグラート鉄道はガラガラ。同じく口コミ情報を見たであろう日本人観光客が数組と、あとは沿線のホテル等の従業員と思しき人くらいしか乗っていない。
昨日の夕方の空の色を見て、今日の晴天は
間違いなし、と読んでたんですが、この通りの
快晴ですホテルの朝食は7時からなので、昨日のうち
に買っておいたパンを朝食にしますホテルの近くのパン屋さん、「Fuchs」で買い
ました。たしかCHF3(約290円)くらいツェルマット駅 駅の切符売り場兼両替所 スキーに行く子供たち チケットを買おうとして、大変なことに気付い
た!スイスパスを部屋に忘れてきてしまいま
した…お陰で割引なしの片道CHF34(約
3130円!!)7時10分発の始発電車 この通り、ガラガラです。乗っていたのは、沿
線のホテルやレストランのスタッフ達と、同じく
口コミ情報を見たであろう数人の観光客だけ
でした
約50分ほどでゴルナーグラート展望台に到着。電車を降りてあまりの寒さに震え上がる。ふと見ると雨どいに残った水が凍っている。真夏でこの寒さということは、真冬には一体どんなことになるのか、想像もつかない。ここでは次の列車が到着し、折り返して行くまでの約50分間を景色を楽しむ時間に当てることにした。…それにしても見事な快晴! 朝早いせいもあり、空気が澄み切っていて、周りの山々がくっきりと見える。ここでも案内図を頼りにひとつひとつの山の姿と名前を照らし合わせながら見ていったが、昨日と同じ山を見ているのに、見る角度でこんなにも違って見えるのか、と実感。
車窓から見えたマッターホルン 雲が全然か
かってません!終点のゴルナーグラートに到着です ここの標高は3089m 朝早いのでものすごく
寒いです!左から順にリスカム(4527m)、カストル
(4228m)、ポルックス(4092m)、ブライト
ホルン(4160m)
昨日も同じ山を見たけれど、見る角度が違うと
こんなにも表情を変えるんだなぁ、と実感ブライトホルン リスカムとゴルナー氷河 もうちょっと拡大 モンテ・ローザ(4634m)
影になってしまっているのが残念…マッターホルンに少し雲がかかってしまいまし
た奥の方の尖った3つの山はオーバーガーベル
ホルン(4063m)、ツィナールロートホルン
(4221m)、ヴァイスホルン(4505m)
手前の湖はシュヴァルツゼー中央がドーム(4545m)
時計を見るとそろそろ次の列車が到着する時刻だ。ここから一駅下って、そこから更に一駅分をハイキングし、再び電車に乗って帰る予定だったので、チケットを買おうと駅のホームへ向かう。…しかし…券売所は無人である…。…またやってしまった、「帰りのチケットが買えない騒動」(汗)。しかも、このゴルナーグラート鉄道の駅には改札があるため、チケットなしではホームに入ることすらできない。仕方ないのでここでもまた、折り返していく電車の到着を待つことにする。やがて満員の乗客を乗せた電車が到着した。続々と降りてくる人たちの波にもまれつつ、改札越しに乗務員さんを大声で呼んで訳を話し(恥ずかしい…)、鍵のかかっているゲートを開けてもらって電車に乗せてもらった。が、下りの電車の中のアナウンスを聞いてショック。どうやら、往復チケットを買っておけば途中駅での乗り降りは自由だったようだ。知らなかった…。やっぱり情報収集は積極的にするべきだ、と反省。
ハプニングにもめげず、一駅下のローテンボーデンで下車し、料金を精算してからハイキング開始。ここから逆さマッターホルンの見られるリッフェルゼーまでは5分とのこと。今日は雲もかかってないし、風も弱いし、昨日よりはきれいな逆さマッターホルンが見れるんじゃないかな、と期待も膨らむ。湖まで下りていくと湖面にくっきりとマッターホルンが映っているのが見えた。これは…ガイドブックなんかの写真でもここまできれいな逆さマッターホルンはなかなか見れないのでは!?というくらい見事!! 正味たった2日間のツェルマット滞在にもかかわらず、ここまで天候に恵まれるなんて、私は本当に幸せ者だ。
ここから先は標識に従ってリッフェルベルクまでひたすら下って行く。このコースもマッターホルンを脇に眺めながら歩けるコースだ(ハイキングコースとしてのおもしろみはあまりない、とは思うんだけど…)。次の電車の時間を気にしながら歩いて行ったので、なんと、わずか30分でリッフェルベルク駅に着いてしまった。ここでツェルマットまでのチケットを買って、超満員の上り列車を見送り、貸し切り状態の下り列車に乗り込んだ。やっぱり頑張って早起きして始発列車に乗ったのは正解だった。
ローテンボーデンで下車し、リッフェルゼー経
由でリッフェルベルクを目指します逆さマッターホルンを見るために、リッフェル
ゼーへ風がやむのをひたすら待って撮った1枚です この通り、見事な逆さマッターホルンです!! リッフェルベルク駅方面に進みます 線路を渡ります マッターホルンの裾野の方まで見えます マッターホルンとリッフェルアルプリゾートホテ
ルリッフェルベルク駅に到着です。45分のコース
と書いてあったけど、30分くらいで歩いちゃい
ました…上りの電車は満員です …が、私の乗った下り列車はほぼ貸し切り
状態車窓から見たマッターホルン 相変わらずいい
天気なので、予定通り、このあとクラインマッ
ターホルンに行くことにします
思ったより早く、午前11時ごろにはツェルマットに降りてくることができた。天気もいいし、時間もたっぷりあるので、予定通りクラインマッターホルン展望台へ行くことにする。クラインマッターホルンへ行くためのロープウエイ乗り場はゴルナーグラート鉄道の駅のちょうど反対側の街外れにある。どうせ通り道なので、一度ホテルに寄ってスイスパスをリュックに入れ、ついでに防寒対策として、更に1枚着込んだ。なにしろ、これから登ろうとしている展望台の標高は3883m。天気がいいとはいえ、先ほどのゴルナーグラートよりも更に800mも高い、富士山の山頂よりも高いところにある展望台であり、ヨーロッパアルプスの中でも一番高いところにあるのだそうだ。今度こそ、失敗のないように往復のチケットを購入し、まずはゴンドラでフーリ駅まで上がる。ここからロープウエイに乗り換えて、途中駅のトロッケナー・シュテークで高山病対策のために休憩をとることにした。なにしろ、今までの人生の中で2500mよりも高いところには行ったことのなかった私である(飛行機を除く←当然(笑))。それが、ここ数日の間に生まれて初めて3000m以上の標高を体験してるのだ。早く頂上へ行きたい気持ちをぐっとこらえて、高地に体を慣らすためにしばらく座って休んだ後、再びロープウエイに乗ってクラインマッターホルンの山頂へ!
これはクラインマッターホルン展望台に行くた
めのロープウエイ乗り場です。何気にガラスに
マッターホルンが写りこんでますまずはゴンドラでフーリという駅まで行きます 今度は往復チケットを買いました!スイスパス
の割引でCHF58(約5340円)フーリ駅 クラインマッターホルン方面に行き
ますここにチケットを通さないと通れません ずいぶん高い位置まで登ってきました マッターホルンも近付いてきました 目の前にモンテ・ローザ(4634m)が! ツェルマットから見るのとは全く印象が違う
マッターホルン途中駅のトロッケナー・シュテーク駅で高山病
対策のため、ひと休み。これから登ろうとして
いるのは、三角形の部分ですゴンドラの中から撮ったテオドール氷河
青いガラス越しのため、青く見えますが…ゴンドラを降りるとこんなトンネルをくぐって… 更にエレベーターに乗ります エレベーターを降りたらそこから更に階段を
登って展望台へ上がります展望台の下ではスキー場が営業中。…寒い
わけですよね…
ロープウエイを降りてもすぐに山頂というわけではなかった。まずはエレベーターに乗って、建物の外へ。目の前に広がるのはスキー場だ。なんだか季節がここだけ違う感じだ。少し雪の上を歩いて、展望台への階段を昇る。3800mを越える高地だけに辛いかな、と思いきや、息切れがすることもなくようやく3883mの展望台に到着! 日本では絶対に体験できない高さまで登って来てしまった。それにしても、ここはもう、寒いなんてもんじゃない。風は耳たぶがちぎれそうなほど冷たい。お陰で念のためにリュックに入れておいた滑り止め付きの軍手が大活躍することになった(手袋だとカメラを持つと滑るため)。あまりの寒さに涙目になりつつ、それでも展望台からの360度のパノラマをしっかりと脳裏に焼き付けようと、冷たい手すりにしがみついていた。午前中より少し雲が出てきているものの、空気が澄み切って、アルプス最高峰のモン・ブランまでもがはっきりと見えている。本当にここ数日の間に自分が体験していることはあまりにも感動的で、夢の中の出来事のようだ。
ものは試し、とリュックから携帯を取り出してみるとなんと、ばっちりアンテナが立っている。そこで、日本で留守番をしている旦那に電話をしてみた。寒さで歯の根が合わず、うまくしゃべれないが、まるですぐそこにいる人と話しているように声がクリアに聞こえ、こんな高地で国際電話がかけられることに驚いた。
テオドール氷河の向こうには、かすかにシュ
ヴァルツゼーが見えていますツィナールロートホルン(4221m)と、雲に隠
れてしまったヴァイスホルン(4505m)、
そして、もっと晴れていればあの雲のあたり
にユングフラウ(4158m)とメンヒ(4099m)
が見えるはずなんですが…ツィナールロートホルン(4221m)と
雲に隠れてるヴァイスホルン(4504m)中央よりやや右寄りがマッターホルン(4478
m)これもあまりにも近すぎてわからない人も
いるそうです頂上に雲がかかってるのがマッターホルン あまりにも目の前過ぎて最初はわからなかっ
たブライトホルン(4165m)
奥に見えているのがカストル(4226m)と
ポルックス(4091m)奥の右端がドーム(4545m)、白い帯のよう
に見えるのがゴルナーグラート氷河、その奥
がさっき行ったゴルナーグラート(3131m)
一番手前はブライトホルンの一部右がカストルとポルックス こんなところにも十字架があります アルプス最高峰のモン・ブラン(4807m)が
こんなにはっきりと見えましたかな〜〜り遠くの方の山もうっすらと見えてい
ます
寒さにガチガチ震えながらも3〜40分は展望台にいただろうか? 体の芯まで冷え切ってしまったので名残惜しいけれど下山することにした。昼を過ぎていたので先ほど休憩したトロッケナー・シュテーク駅のレストランで昼食をとっていくことにする。マッターホルンが見える窓際の席で飲むビールは最高だった。
トロッケナー・シュテーク駅のレストランで昼食 マッターホルンと向かい合っていただきます! ビール(CHF3.5/約320円) 豚肉のスライスのクリームソース ちょっと
ゲシュネッツェルテス風?(CHF23.5/
約2160円)
時間的にも体力的にも余裕があったので、トロッケナー・シュテークからフーリまでロープウエイで降り、ここからは歩いて下山することにした。これが今回の旅行中最後のハイキングだ。フーリ駅からハイキングコースに出るまでが少々わかりにくかったが無事、ハイキングコース発見。ツェルマットの街を眼下に見ながらのコースだ。下り坂の歩き方をすっかりマスターしてしまったのか、フーリからは45分ほどでツェルマットの街まで降りてくることができた。
フーリ駅まで降りていきます 凝りもせず、フーリからツェルマットまでハイキ
ング!ツェルマットははるか下のほうに見えます… ツム・ゼー ここは先ほどの山頂より2000m
も低いところにあるんですねこの通り、標識が至る所にあるので、迷う心配
はまずないコースですさあ、もう少しでツェルマット! 後ろを振り返るとマッターホルンが見えます 街まで降りてきました 駅前通りで出会った結婚式を挙げたばかりの
カップル 道行く人がみんな、拍手や歓声を
あげて祝福しているのを見て、私も感動…教会の前では音楽の演奏も
部屋で少し休憩した後、今夜も「スターデル」で晩ご飯。お店に一歩入った途端、スタッフが「今日も来てくれたんですね」と笑顔で迎えてくれた。「ハイ、今日のハイキングの報告に来ました!」と答え、昨日と同じテーブルに案内してもらう。今日こそはベリーのグラタン、と思っていたのでメインはちょっと控えめに注文。食事が済む頃にはまた、シェフをはじめとするスタッフ達がテーブルにやってきて話が盛り上がる。「スイスに来て一番の心残りはチーズフォンデュが一人じゃ食べれないこと」と私が言うとシェフは「それなら明日またおいで。一人分でも用意してあげるよ」「ええ〜? 昨日それをきいていれば! 実は明日の昼前に、ジュネーブに移動するんです」と私が情けない声を出すと「それじゃあ、明日の朝ご飯はチーズフォンデュだ!」とシェフ。これにはみんなで大笑い。とっても温かな人柄のスタッフのお陰でツェルマット滞在中最後のディナーを存分に楽しむことができた。「スターデル」のみなさん、本当にありがとう!
晩ご飯はハイキングの報告を兼ねて昨日と同
じ「スターデル」で
シェフはもちろん、他のお店のスタッフもテーブ
ルにやってきて、わいわいとにぎやかな夕食
になりました。本当にこのお店のスタッフには
感謝していますビールはCHF3.6(約330円) 自家製の山羊肉のソーセージ(CHF18/
約1660円)デザートにはベリーのグラタン(CHF9.5/
約870円)
ついに明日は最後の目的地、ジュネーブへ向かう。