いよいよ国境越え!

 ミュンヘン最後の朝。今日は正午過ぎの電車に乗るので、ゆっくり起きてのんびり朝食。ヴァイスヴルストも食べ収めだ。できることならお土産に買って帰りたいくらい、これは気に入ってしまった(今にして思うと、せめてマスタードだけでも買って来ればよかった)。

すっかりお気に入りのヴァイスヴルスト

 11時過ぎにホテルをチェックアウトし、Sバーンでミュンヘン中央駅に向かう。ホテルから駅に通じる通路には段差があるのだが、スーツケースはホテルのスタッフが平らなところまで運んでくれた。ミュンヘン中央駅は去年も利用しているので、勝手がわかっている分気楽だった。Sバーンは地階に着くので、地上まで上がると国際列車などが発着するホームだ。まずは駅構内のパン屋さんで昼食を調達し、案内板でホームを確認して電車に乗る。私が乗るのは12時13分に19番線から発車するチューリッヒ行きのユーロシティだ。日本で事前に予約しておいたのだが、どうやら終点で乗り換えればいいらしい(地図を見ると遠回りのような気がしたのだが…)。手元のチケットを見ても、路線図があるわけでもないのでよくわからないけれど、まあ、旅行会社に手配してもらったんだから大丈夫でしょう、きっと。

 まもなく列車は出発したが、結構混んでいる。ボックス型のシートの私の正面には、たくさんの荷物を持ったご婦人が陣取り、足も伸ばせない状態。しかも、窓際についている小さなテーブルもすっかり占領されてしまっている。これから4時間くらい乗り続けなければならないことを考えると、ちょっときついなぁ、と思っていると車掌さんが検札にやってきた。すると、それまで私が乗っていた車両(1等車)から次々と他の車両にお客さんが移動していくではないか。やがて車掌さんが私の座っているシートのところにやってくると、検札をイライラしながら待っていたそのご婦人、勢いよくチケットを車掌さんに差し出した。「この車両は1等車ですよ」と車掌さん。「え?1等車?」とご婦人。そしてなにやらぶつぶつ言いながら荷物をまとめ、席を立って行った。どうやら、2等車のチケットだった模様。結局車両に残ったのは5〜6人になってしまった。お陰で私も足を伸ばすことができるようになった。…よかった… そして私も車掌さんにチケットを差し出すと、「チューリッヒまでですか?」「はい、そうです」「それじゃあ、あと10.5ユーロいただきます。」「え?どうしてですか?」車掌さんの説明によると、私が持っている乗車券は、ミュンヘンからリンダウまでのものと、スイスパス(スイス国内は乗り放題のパス)。そうすると、リンダウからスイス国内に入るまでの区間が空白になってしまっているのだそうだ。なんだか妙に損した気分で不足分を支払った。

ミュンヘン中央駅
私が乗るのは12:13発のチューリッヒ行き 昼食をここで買いました
19番線からの発車です 車両と座席番号を確認します 私が乗る電車
1等車の車内 15日間有効・1等車のスイスパス($440)

 しばらくして、やっとお腹がすいてきたので、さっき買ってきたパンとビールの昼食。窓の外を見ると、一面の緑。ああ、列車の旅をしているんだ!と気分はすっかり「世界の車窓から」だ。飽きることなくいつまでも窓の外を眺めていると、そろそろスイスとの国境が近付いてきたらしい。係官が車内をまわってきて、パスポートを提示すれば、あっという間に出入国審査は終わり。スタンプなども一切なかった。そのすぐ後に再び検札の車掌さんがまわってきた。今度はさっきとは違う、女性の車掌さんだ。私のチケットを見て、「乗り継いでクールまで行くんですよね?」「はい、そうです」「それなら、チューリッヒまで行かずに次の駅で降りて乗り換えた方が早いですよ」 …ええ〜〜?! でも、私、チューリッヒ経由で指定券買っちゃってるし、もしかして、すごく損するのでは?などと考えているうちに次の駅にまもなく到着するという。車掌さんは「急いで!」と私を急かす。慌てて荷物をまとめ、車掌さんにお礼を言って電車を降りた。その車掌さんは手を振って私を見送ってくれた。

 さて、降りてはみたものの、ここは一体どこ? 駅の名前は「St.Margrethen」と書いてある。時刻表を見てみると、30分ほどでクールへ行く電車が来るようだ。日差しがかなり強く、暑いので、日陰のベンチに腰を下ろして電車の到着を待つ。やがてやってきた電車に乗り、約1時間後、無事、クールの駅に到着。当初の予定より2時間近く早く着いた。あのままチューリッヒまで行かなくてよかった。

お昼はモッツァレラチーズとトマトのサンドと かぼちゃの種のプリッツェル こんなのどかな風景の中を走っていきます
黄色い線が入っているのが1等車 日本で予約しておいたチケットはチューリッヒ
経由だったんですが、車掌さんが「ここで乗り
換えた方が早いですよ」と教えてくれました
こっちのシートの方が豪華だ…
スイスに入るとこんな険しい山が目の前に迫っ
てきます
クールに到着です
小さな駅で、駅前にタクシーもなく…途方に暮
れて少し歩き回っていたら駅の反対側の少し
離れたところでタクシーを発見!
駅でスイスフランへの両替は済ませておきま
した。(レートは1.09)

 クールの駅からはタクシーでホテルに向かうつもりだった。まずはスイスフランをまったく持っていないので両替だ。駅に両替所がある、というのはガイドブックで見て知っていたので、両替所をさがし、まずは1万円分を両替。後はタクシーに乗ればホテルに辿り着けるはず、と駅の外に出てみたが…駅前にタクシーらしき車は見当たらない。タクシー乗り場もない。重いスーツケースを引きずってその辺を歩き回って探すが、やっぱり見当たらない。…仕方ない、ホテルに電話すれば迎えに来てもらえるかもしれない、と引き返そうとした時、少し離れたところにタクシーを発見! ああ、よかった。

 今日から2泊する「ロマンティック・シュテルン」は小ぢんまりとした可愛らしい外観のホテルだった。一歩中に入るとフロントの女性スタッフが元気な声ととびきりの笑顔で出迎えてくれた。なんて感じのいい女性だろう。ひととおりホテルの説明をしてくれた後、「今夜のレストランの席を予約しておきましょうか?」と言うので、お願いすることにした。事前にネットで調べた情報によると、このホテルの郷土料理のレストランには定評がある、とのことだったので、楽しみだ。

 案内された部屋はピンクとグリーンで統一されていてとても可愛らしい造りだった。実は部屋にはあまり期待していなかっただけに感激。エアコンはないけれど、我慢できないほど暑いわけではないし。ただちょっとびっくりしたのはバスルームのあまりにも開放的な窓。カーテンはレースのものが1枚あるだけで、その窓のすぐ隣がトイレ。窓の正面がバスタブ。そして窓の外には…隣の建物の屋根裏部屋の窓らしきもの。これ、夜になったら丸見えなのでは…?(苦笑)

 さて、ミュンヘン滞在中3日間音信不通になっていたけれど、ここでのネット接続は…バッチリ繋がった。持参したアダプタも必要なかった。

今夜から2泊する「ロマンティック・シュテルン」
フロントの女性スタッフがとても明るくて感じが
よかった!
広くはないけど、可愛らしい部屋です。
エアコンはありません。
フリーのミネラルウオーター 冷蔵庫の中身はちゃんと冷えてました。
バスルームは結構広い ピンク色で統一されています。
てんとう虫の形のチョコレートが置いてあり
ます

 予定よりも早くクールに到着できたので、まだ外はかなり明るい。それに、夕食を予約した8時まで時間もあるので、少し外を散歩してみることにした。クールは5000年前には既に集落があったといわれるスイス最古の街であり、スイスで一番広い州、グラウビュンデンの州都だ。ホテルを出て少し歩くと、古い街並みに石畳の細い路地が入り組んでいて、たちまち迷子になってしまった。気付くとまた同じ通りに出たりしながら、1時間ほど散歩して、ホテルに戻ってきた。

少し街の中を散策してみました 古い街並みです 1491年に建てられたという聖マルティン教会
レーティッシュ博物館
広場ではなにやらイベントの準備をしてました

 8時少し過ぎにホテルのレストランへ足を運んだ。レストランの内装もとても可愛らしい感じだ。まずはビールを注文し、料理はさんざん迷ったが、ピツォッケリネリという、そば粉で作ったパスタにしてみた。スイスでそば粉、というのもなんだか不思議な感じだけれど、ちょっと脂っこいものの、塩味で食べやすい。さすがにちょっと量が多かったが、それでもデザートはしっかり注文。これもお店の人おすすめのチャランダマルツという、栗を使ったデザートにしてみた。これが絶品! 甘さの加減もちょうどいい。スイスでの初めての食事は大満足。

ホテルの1階にある郷土料理のレストラン やっぱりまずはビール! 今日は可愛く小瓶
です(笑)。
ピツォッケリネリというそば粉で作ったパスタの
ような料理(CHF22.4/約2060円)
チャランダマルツというデザート これは絶品!
(CHF7.8/約720円)

 ところで、そもそもなぜこの街に滞在しようと思ったのかというと…「ハイジ」でおなじみのマイエンフェルトに近い、というのが一番の理由。そして、次の目的地であるサンモリッツへのアクセスがいい、というのがふたつめの理由。明日は天気もよさそうだし、これならマイエンフェルトでのハイキングが楽しめそうだ。




BACK   NEXT