SENJOUGAHARA
湯滝, 竜頭滝

戦場ヶ原 (1395m)

小田代ヶ原
   戦場ヶ原 と 男体山 (2486m)
平成20年8月31日(日), 現地日帰り
   ★ 総所要時間: 4時間 50分
   ★ ハイキング標高差: *** m
   行程行程・ハイキング
   行程ルートマップ


奥日光と呼ばれる、日光の最も奥地にある 「湯元温泉」 から 「中禅寺湖」 に至る区間は、
湖,渓流,滝,湿原,森林,山岳… といった美しい自然の宝庫で、関東地方を代表する景勝
地のひとつだ。 その中心地にあたる 「戦場ヶ原」 は、標高1400m前後のほぼ平らな湿原地帯
である。 この戦場ヶ原と中禅寺湖は、いずれも湯元温泉の南端、標高1475mにある 「湯ノ湖
から流れる 「湯川」 が、約2万年前の 「男体山」 (2486m) 噴火により堰き止められてできた
湿原と湖である。
ちなみに中禅寺湖は標高1269mにあり、周囲25km,面積12平方kmと、日光国立公園で最大
の湖だ。 また、人造湖を除く広さ4平方km以上の湖としては、日本一高い場所にあるとの事
で、日本三大名瀑のひとつ 「華厳の滝」 (落差97m) の水源としても有名である。
戦場ヶ原の周辺には、木道が整備されたファミリー向けのハイキングコースがいくつか設定さ
れており、華厳の滝とあわせて夏休みや紅葉シーズンには大勢の人が集まる一大観光地とな
っているが、ここでは貴重な自然と景観も大切に守られてきた。

     
      ゆったりと流れる 湯川( 青木橋より )        湯川 ( しゃくなげ橋の下流より )

 今回 ”インチキ山屋” は、その戦場ヶ原を中心として、久々に山登りを含まないのんびりとし
た高原歩きを計画した。 ルートは、「戦場ヶ原自然研究路」 と題された、全長約6.3kmの非周
回状の遊歩道に 「小田代ヶ原探勝路」 の周回コースを組み合わせた、所要約5時間のロン
グコースだ。
はじめに車をゴール地点に置き、起点とする最奥地まで路線バスを利用して移動する。そこか
らほぼ全線にわたる川沿いの遊歩道を、水の流れる方向へ下り勾配 (と言っても、殆んど平ら
だが…) で歩く。 滝から始まって滝に終わるルートは、とても清々しく気持ちの良いハイキング
コースとなった。

 前日のうちに日光入りし、霧降高原やらを観光した後 「いろは坂」 を上って中禅寺湖畔の宿
に宿泊した。 宿を出て、国道120号線を湯元方面に10分ほど走り、今回のハイキング終点とな
る 「竜頭滝(りゅうずたき)」 の滝下(下部) にあたる菖蒲ヶ浜の無料駐車場に車を留める。
すぐ近くの 「菖蒲ヶ浜・バス停」 から8:45発の湯元温泉行き路線バスに乗車し、10分ほどで上
流のスタート地点 「湯滝(ゆたき)入口」 に到着する。 バスを降り、5分ほど歩いて滝の音が聞
こえる方向に向かうと、湯滝の観瀑台が現れた。 湯ノ湖から約60mをスダレ状に落ちる滝は
豪快そのもので、それを間近に見ることができ壮観な眺めだ。

             豪快な 湯滝

この滝から始まる流れが湯川となって、中禅寺湖へと続いているのだ。 そして、今回のルート
もこの川の流れに沿って進んでゆくことになる。 湯滝・観瀑台のすぐ裏手は 「湯滝レストハウ
」 となっており、土産物の販売や軽食・休憩ができる観光スポットだ。 スタート地点のはずだ
ったが…、困った(?) ことに川魚 (あゆいわな) の塩焼きがあった為、イキナリ(!!) 休憩するこ
とになってしまったのである (笑)。

     
              小  滝                   泉門池 ( いずみやどいけ )

湯滝から続く川沿い、ほぼ全線に木道が整備されている。 川の流れが穏やかな如く、起伏
が少ない殆んど平坦な歩道なので歩きやすい。 途中に、文字通り小さな 「小滝」 を通過し、ミ
ズナラを中心とした美しい緑の森の中を清らかな水と共に快適に歩く。 やがて、最初の休憩ポ
イント (我らとしては2度目の…!?) 「泉門池(いずみやどいけ)」 に到着する。
小さな池にはカモが棲みついており、気持ちよさそうに泳いでいた。 池の向こうには日光の山
も姿を見せ、絵葉書になりそうな美しい景観だ。
泉門池を出てすぐ 「小田代ヶ原」 への分岐点が現れる。 ここから本コースを離れて、奥日
光の秘境ともいわれる小田代ヶ原に向かう。

         小田代ヶ原へと向かう 

分岐点から15分ほど森の中へ登っていくと、一周約60分の小田代ヶ原自然探勝路・北側の入
口に突き当たる。 小田代ヶ原は戦場ヶ原の西隣、50mほど標高の高い場所にあり、約1/4
程度の広さの平原だ。 ここに至る車道は、一般車の通行が禁止され低公害バスだけが観光
客の足として運行されている。 もしくは、我らのように遊歩道から歩いて進入するしかない。
また、周囲2km足らずの草原内はシカなどから高山植物を守るために、進入防止用の電気柵
で全周が囲われており、自然保護を徹底しているエリアでもある。

              小田代ヶ原より 男体山を望む

 入口の回転扉から電気柵内に入り、周回している木道を進む。 木々の中を抜けると大きく
開けた草原が現れ、奥に整然と立ち並ぶダケカンバの白い幹と、周囲の微妙に濃淡の異なっ
た緑のコントラストがとても美しい。 まるで絵に描いたような風景が目の前に広がっているの
だ。そして、山頂部にやや白い雲がかかっていたが、このあたりの盟主 「男体山」 も大きな姿
を見せていた。 お花畑を抜けて更に周回路を進むと、いよいよ小田代ヶ原の展望が最も良い
とされる南側の展望台 (と言っても、平坦な場所だが…) に至る。 一段と美しく、大きく開けた
景観は確かに素晴らしい。 男体山だけでなく、日光連山を代表する 「三岳」,「太郎山」,「山王
帽子山
」,「小真名子山」,「大真名子山」,「外山」 なども一望でき、贅沢で壮観な眺めだ。 やが
て南側の出入り口に至り、ここでいったん電気柵内から外に出る。

     
          小田代ヶ原・展望台        左から、三岳, 山王帽子山, 太郎山 (小田代ヶ原より)

低公害バスで訪れる観光客はここから入場することになるようで、多くの人たちとすれちがっ
た。少し休憩して柵の外を進み、北側まで続くもう一方の出入り口から、再び小田代ヶ原の柵
内に入る。 平坦な木道を淡々と進むと周回が終わりに近づき、最初に入った北側の出入り口
に到着した。 ここで小田代ヶ原に別れを告げ、同じ経路を辿って本線ルートの分岐点まで戻っ
た。
      小田代ヶ原の電気柵 ・ 南側入口 

 湯川と再会し(笑)、川沿いの木道をしばらく進むと 「青木橋」 手前の休憩所に出た。 この先
がいよいよ戦場ヶ原となるのだが、その前に長めの休憩を取ることにした。 始発点の湯滝レ
ストハウス・パン工房で買ってきたパンを食べながら、穏やかな気候のなかでしばし体を休め
る。 このところ長らく ”第二の梅雨” を思わせるような雨天の日が続いていた関東地方だが、
ようやく 昨日あたりから回復の兆しを見せはじめ、今日は朝から久々の青空が覗いていた。
暑すぎず肌寒くもない、ちょうど良い気候の日となった。

     
   戦場ヶ原より、太郎山(左) と 大小の真名子山    戦場ヶ原 と 男体山 (左は大真名子山)

 青木橋を過ぎると辺りは大きく開けて、戦場ヶ原の中心部へと躍り出た。 遮る物が殆んどな
く広大な草原と湿原が四方に広がっている。 小田代ヶ原で見渡せた日光連山は、ここでも同
様にすべて見渡せているのだが、広大さの点ではやはりこちらの方が数倍も広く感じるのは何
故だろう。 日射しが強くなり、青空の範囲が広がったせいもあるかもしれない。 ただ、男体山
の上部にある白い雲は依然として取り付いたままで、山岳の全貌が見られなかったのが少々
残念だった。 まあ恐らく昨日までは、グレーの雲に殆んど隠れてしまっていただろうから贅沢
は言えまい (笑)。
      戦場ヶ原を抜け、 再び湯川沿いの森林へ

その男体山に向かって、木道はどこまでも続くかのように広い草原の中を貫いていた。30分ほ
ど、のどかな草原を歩き続けたところで、再びミズナラやカラマツ林の中へと遊歩道は伸びて
ゆく。やがて 「赤沼茶屋への分岐」 に到達し、ここで (朝、路線バスで通過した) 国道120号線
に最接近する。 赤沼茶屋へは往復10分足らずの距離なので、ここでトイレ休憩をとった。 ちな
みに、この戦場ヶ原自然研究路では、コース中には起点と終点を除いてトイレが一箇所もな
い。
 分岐に戻り、ふたたび美しい緑の中を湯川の流れと共に進むと 「しゃくなげ橋」 が現れ、橋
のたもとを通過して直進する。 この橋を渡ってその先の遊歩道に進むと、先ほどの小田代ヶ
原・南側の出入り口へと繋がっている。

      竜頭滝(りゅうずたき)が始まる 

しゃくなげ橋を過ぎてしばらく行くと、これまでゆったりと流れていた湯川に変化が少しずつ現
れだす。川の水は苔むした岩場を速く流れるようになり、遊歩道の方もやや強めの下り勾配を
感じるようになる。 やがて先の国道と交差する所が、このコースのフィナーレを飾る 「竜頭滝
(りゅうずたき)」 の滝上 (起点) で、ここから終点にかけて全長210mにわたってなだれ落ちるよ
うな急流が続く。
                     竜 頭 滝 (中腹)

遊歩道には滝見の観光客も混じり人口がいきなり急増し (笑)、竜頭滝の流れに沿って傾斜の
きつい急階段を下りてゆく。 滝の中腹部分にある展望台での景観は、これまた圧巻で 「すご
い」 の一言だ。 やがて滝壺近くの滝下に至り、本コースも終点となる。 朝、駐車した場所によ
うやく戻ってきたのである。 駐車場に隣接した 「龍頭之茶屋」 (なぜか漢字が違う) も、すでに
店が開いており観光客たちで賑わっていた。

                 竜頭滝 ・ 滝下  

 殆んど平坦であったとはいえ、5時間弱も歩き続けてきたので、さすがに汗ばんで足腰も少々
疲れた (笑)。 車に戻る前に、龍頭之茶屋で名物という 「せむい団子」 と 「草団子」 をほおば
り、熱いお茶で一休みする。 ”至福の時・その1” だ (?!)。
車に戻って身支度を整え、道路を挟んですぐ隣に併設されている、龍頭之茶屋の姉妹館 「
頭温泉館・憩いの湯」 に向かった。
”お約束の温泉タイム” で、100%掛け流しを謳った天然温泉 (日光湯元の硫黄泉) に浸かり、
ハイキングの疲れを癒す。 これが、”至福の時・その2” だ (笑)。

まずまずの天候にも恵まれ、久々に ”インチキ山屋” が揃ってのハイキングは、大した疲れ
もなく極めて快適な1日となった。
日本には、まだまだこのように素晴らしい自然が各地に沢山残っている。 観光地と化した場所
では、人工的な要素も多分に含まれていることも事実だが、そこは割り切って自然の景観を楽
しめば良いのではないだろうか。 少なくともゴミを残したり、動植物を採取したりしない等、人間
としての最低限のルールを守り、それ以上に人工的な開拓が加えられないように、可能な限り
自然の環境を維持してゆくことが大切なのだと思う。  
我らとしては、そうして守られている ”自然” も、大自然の一部として 身体が自由に動かせる
間にできるだけ沢山訪ねて、自然のパワーを享受していきたいと願う次第である。

             清々しい湯川にて
                             ( 2008.9.9 記)

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