BANDAISAN
磐梯山 (1819m)

櫛ヶ峰 (1636m)

赤植山 (1430m)
    磐梯山 ( 1819m, 表磐梯より )
平成17年11月2日(水), 日帰り
   ★ 総所要時間: 4 時間 20分
   ★ ハイキング標高差: 624 m
   行程行程・ハイキング
   行程ルートマップ


 会津の名峰 「磐梯山」 (1819m) は、福島県の北部 「猪苗代湖」 の北側に聳えるコニーデ
式の活火山で、日本百名山に数えられる独立峰である。
この会津磐梯山は、見る方角によって極端に姿形が異なってみえる。 猪苗代湖のある南麓
を「表磐梯」、北側を「裏磐梯」と呼ぶが、 表磐梯からの姿は「会津富士」の別名が示すよう
に整った形で穏やかな表情を見せている。
ところが裏磐梯では、噴火に伴う山体崩壊により荒々しくザックリとえぐられた壁面が露出して
おり、とても同じ山とは思えない様相を呈している。 たびたび噴火を繰り返し、近年では明治21
年の大規模な噴火 (一説には水蒸気爆発とも言われる) により、 400名以上の死者を出す
甚大な被害を及ぼしたそうだ。 その代償として、裏磐梯に点在する湖沼群をはじめとする美し
い景観や、現代の磐梯山の容姿が形作られた。
現在の会津磐梯山とは、主峰の 磐梯山(1819m) と、「櫛ヶ峰」(1636m), 「赤植山」(1430m)
の三峰から構成された総称である。
元々は富士山型で3000m級の高峰だったらしいが、噴火と山体崩壊によって半分位を失い、
今日の姿になったと言われる。 この為か、磐梯山の山頂は今でも「五合目」と表現される事が
多い。 現在の火山活動は、穏やかに経過しているそうだ。

              磐梯山ゴールドライン より  

 横浜からは距離もあり、アプローチが長いため早朝に出立する。 首都高湾岸線、外環道、
東北道、磐越道 と乗り継いで 磐梯河東ICで一般道に降り裏磐梯へと向かう。 磐越道から
は、表磐梯山のきれいな双耳峰がクッキリと青空に映え、雄大な姿で迎えてくれた。
県道から有料道路の「磐梯山ゴールドライン」に入ると、カーブごとに高度が上がり、次第に
磐梯山が大きく見えるようになる。 所々に展望用の駐車スペースが設けられており、麓に残っ
た紅葉と絡み、素晴らしい景観が味わえた。
目指す登山口は、ゴールドラインの最高位にある 「猫魔八方台」駐車場だ。 60台ほどが停
められるが、休日などはすぐに満車となってしまうそうだ。 トイレと東屋が設置されており、道
路を挟んだ向い側が 「八方台・登山口」 になっている。
なお、磐梯山への登山ルートは全部で6本あるのだが、このルートは裏磐梯側から直接アプロ
ーチする最短で高低差も少ないルートで、初級者およびインチキ山屋向きであることは言うま
でもない(笑)。

   
          登山口から整然と立並ぶ ブナ林          磐梯温泉・中の湯 跡 (1310m)

 平日で時間も早いので、駐車スペースにはまだ余裕があった。 さっそく身支度を整え、登山
口に向かう。
しばらくは、径の揃ったブナが整然と立並ぶ見事な林の中を進む。 道幅が広く取られ、落ち
葉が敷き詰められた林は美しくて、とても気持ち良く歩けた。 やがて前方に磐梯山を望むと、
温泉臭が漂い始め 「中の湯に到着。 現在は廃業しているが、山小屋風の温泉宿が1軒
あり、廃屋と露天風呂の施設がそのまま残されていた。 温泉跡からはガスが発生し、灰緑色
の池となっている。
この廃屋脇を通り抜けた先に 「中の湯分岐」 があり、「銅沼(あかぬま)」 経由の裏磐梯コー
スと合流する。 左側の林間に小さな沼を見た辺りから勾配がきつくなり急坂が連続するが、
所々で裏磐梯の展望が開けて「桧原湖」や「吾妻連峰」を望むことが出来るので、あまり苦に
ならない。 途中、火口壁に沿った道では、凄まじい噴火の爪痕が間近に見られ、崩落, 露出し
た茶色の山肌が痛々しい。

       登山路の随所で、裏磐梯の展望が広がる

 火口壁を右側に回り込んでトラバースすると、尾根の張り出したダケカンバの樹林帯に入り、
急坂を更に登ってゆく。 やがて勾配が緩み 笹原に変わると視界が開け、磐梯山の頂上が見
えてきた所で ルートが二分する。
左側がお花畑経由ルートだが、どちらを回っても 四合目の 「弘法清水」に出る。 "お花"は、
どうせ何もないので (笑)、 往路は右ルートを選び、直接四合目を目指した。

    
       四合目・弘法清水 (1635m)             桧原湖と、 天狗岩(手前・右)

 四合目は広く開けて、裏磐梯を一望する絶好の展望休憩所であった。 その名を取った、弘
法清水でまず喉を潤す。
売店が二軒も建っており、コーヒーや温かい汁物なども用意されている。 正に、山のオアシス
的ポイントだ。 山体崩落後の残骸のような櫛ヶ峰をはじめ、奇勝の「天狗岩」も見えるが、何と
言っても裏磐梯方面の展望が実に素晴らしい。
しばし休憩した後、間近に聳えている山頂へと向かう。 ここからは急登で、あと30分ほどの距
離だ。 脇に霜柱が残る登山路を登りつめて、岩屑を撒き散らしたかのような、 磐梯山・山頂
(1819m) に到着した。 ここで、万歳三唱をする 「バンダーイ・さんちょうー!?」(寒)

     
           磐梯山・山頂から望む 猪苗代湖        猫魔ヶ岳(1404m) と、遠方に飯豊連峰

 今まで全く見えなかった、南面 (表磐梯) の視界がパーっと広がり、眼下には「猪苗代湖」が
眩しく輝いて壮大な眺めだ。 "天鏡湖" とは良く言ったもので、山頂から見た湖は正に天を映
す鏡のように見える。
勿論、それだけではない。 独立峰で360度遮るものが無いうえ、この日は殆ど雲の無い好天に
も恵まれたので、周囲の山岳展望も素晴らしい眺めだった。
北側の四合目・弘法清水から見た裏磐梯の景観は、一段と高い位置から展望することによっ
て一層の広がりを見せてくれる。 左側には山と森に縁取られた桧原湖の青が美しく、その右
には 「小野川湖」 と 「秋元湖」 が並び、前面には 「五色沼」が点在している。 いずれも磐梯
山の噴火によって、もたらされた景勝の一つである。
湖沼群の奥には 「吾妻連峰」 の稜線、東方面では 「安達太良山」 (1700m) が良く見える。
また、西方面では近くに 「猫魔ヶ岳」 (1404m) が、 遠方では冠雪した 「飯豊(いいで)
(2128m) と、それに連なる山々が見渡せた。
いつまで見ていても飽きない展望を楽しみながら、山頂でノンビリと昼食休憩をとった。

     
    櫛ヶ峰(右手前)、小野川湖(左)・秋元湖(右)、吾妻連峰(奥)    吾妻連峰 〜 安達太良山(奥)

 下山は基本的に往路を引き返すが、途中二手に分岐した箇所では、登山時と別のルートを
下る事にした。
四合目・弘法清水からは、崩落地に近い天狗岩の方から 「お花畑」 を経由して戻った。 勿論
この時期に花はないが、稜線コースなので周囲が開放的で見晴らしも良く、本当に花の時期で
あれば一面に彩られて美しい眺めだったに違いない。
本線に戻り、登ってきた道を引き返す。 やがて、最初のブナ林に入ればコースも終番で、緩や
かに歩いて八方台Pに戻った。

     
              四合目下、お花畑ルート          お花畑越しに見上げる山頂部(裏側)

 磐梯山ゴールドラインを引き返して、麓のスキー場近くにある日帰り温泉施設 (磐梯山清水
平温泉スパアルツ・おおるり) に立ち寄って汗を流した。 磐梯山を見渡しながら入る露
天風呂は最高だ。
 一般道に出た後は、そのまま磐越自動車道にて帰るべきところであるが、少し足を伸ばして
猪苗代湖畔を走る国道49号線へと向かった。 IC一区間分を下の一般国道にて走り、磐梯山
と猪苗代湖を写真に納めて充分に堪能した後、猪苗代・磐梯高原ICから磐越道に乗って、長
い帰路についた。
      夕方の猪苗代湖     ( 2005.11.7 記 )


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