愛 鷹 山 ASHITAKAYAMA
越前岳 (1504m)

十里木高原

笹 峰 (1090m)
     金時山より望む、愛鷹山  (2010.10)
平成23年 11月27日(日), 日帰り
   ★ 総所要時間: 3時間 35分
   ★ ハイキング標高差: 629 m
   行程行程・ハイキング
   行程ルートマップ


  富士山の南裾野に 大小9つのピークから成る 「愛鷹(あしたか)山」 (愛鷹連峰) は、富士
山よりも 先に活動を終了した古い火山群の総称である。 主峰となる 「越前岳」 (1504m), 「
牌岳
」 (1458m) の他に、「袴腰岳」 (1248m), 「大岳」 (1264m) 等が代表的な山岳で、最南端
には 「愛鷹山」 (1188m) の名を冠した単独の山も存在している。
今回は その愛鷹山の中から、最高峰である 越前岳 への登頂を目指した。 インチキ山屋・今
季最終便であり、遊歩記 (山行レポート)通算50山目 の山登りである。 ここまで足掛け 9年も
掛かっている…、遅っ!! (笑)。

  越前岳は、同じ愛鷹山の兄弟分に当たる 位牌岳が展望に恵まれていないのに対して、富
士山の眺望が抜群であり、駿河湾南アルプスの眺めも 特に素晴らしい。 また、危険個所
もなく 短時間で山頂に立てることなどから、ファミリー登山にはうってつけの "人気山" ある。
山腹の自然林は 樹木種が豊富で、初夏の頃には愛鷹連峰周辺のみに咲く と言う 「アシタ
カツツジ
」 の群生 も見られるとの事だ。 ちなみに、アシタカツツジは御殿場市の市花であり、
同市の天然記念物にも指定されているそうだ。

     十里木高原展望台(980m )より 

  登山口は 富士山の南麓 「十里木高原」 にある。 東名高速道路の 裾野IC を降りて県道
から 国道469号線に入り 7km ほど走った沿道に 「十里木高原駐車場」 があり、そこから直
接登山道が続いている。 裾野ICから車で 約20分ほどの距離だから、マイカー登山としての
アクセスは良いのだが、残念ながら 他の公共交通機関の便はあまり良くない。 それにしては
駐車場が狭く、30台位しか停められない。 日曜日だったが 早い時間に到着したので、残り2
台の所で 運よく駐車する事が出来た。 ただ、観光向けの駐車場なので トイレ休憩で立ち寄
る車も多く、回転は良いのかもしれない。
無料の P で良く整備されており、トイレもきれいだった。 この辺りからでも、すでに富士山は根
元 (?) まで丸見え状態で、絶好のロケーションである (笑)。 周囲には サファリパーク, 牧場,
ゴルフ場,こどもの国など、観光施設もひしめきあっている。

             越前岳 ・登山口

 身支度を整え、早速トイレの横にある 「越前岳・登山口」 に向かう。 富士山を背に、まずは
前方に見えている電波中継塔を目指して、長く続く階段道を登ってゆく。  良く整備されてお
り、段差を抑えた 斜度の緩やかな階段なので、比較的登りやすい。 15分ほどで丘の上に立
つ 「十里木高原展望台」 に到着した。
富士山の展望だけが目的ならば、ここまでで充分だ。 と言うより、山頂から見える富士山は頭
だけなので、苦労して登っても ソンするだけである (笑)。 材木で組まれた展望台の上にわざ
わざ登らなくても、その場にいるだけで 充分に素晴らしい眺めが楽しめる。 視界を遮るものが
ない草原状の丘なので、シートを広げて休む 登山者以外の グループや ファミリーの姿も見ら
れた。
        前方に越前岳の頂稜を望む 

階段道は ここで終わり、この先は樹木のない笹原の斜面を登るようになる。 電波中継施設の
横を通り過ぎると、前方に 越前岳の丸い頂稜が見えてくる。 下から見る越前岳は 三角状に
尖っているが、ここからは 丸みを帯びた姿をしている。 見通しの良い道なので気持ちがいい、
何よりも 背後には大きな富士山が 高度を上げるにつれ雄大さを増してくるので、後ろ向きに
登りたいくらいだ…!? (笑)。
もうひとつの電波中継塔を越えると 灌木帯に入り、それを抜けると再び見通しの良いゆるやか
な台地状となった 「笹峰」 (1099m) に出る。 「馬ノ背」 とも呼ばれている三角点で、数台のベ
ンチが置かれた 二段目の展望スポットだ。 先ほどよりも高度が上がった所から見渡す富士山
は、大きく裾野を広げた姿が 一段と美しく、冠雪した南アルプスの峰々も きれいに見渡せる。

      
          笹峰(馬ノ背, 1099m )より              南アルプス・南部の峰々を望む

 笹峰から先は、いよいよ 本格的な山道となる。 灌木帯に入り、笹原を溝のように えぐられた
道を抜け、岩が散在する 涸れ沢の上を進む。 部分的にロープが掛けられた所もあるので 迷
わず登れるのだが、やがて尾根が広がって 道筋がはっきりしなくなる。 目印となる リボンやペ
ンキ印などは 見当たらないが、先の方まで見通せるので、自分で歩きやすい道筋を選んで、
とりあえず上に向かって進めばよい。 よほど トンチンカン な方向に行かない限り、結局は同じ
所に 辿り着けるようなので大丈夫だ。 そこを過ぎると、またしても 北側の展望に優れた台地に
出る。 更に高い位置から、またまた富士山と 御対面である (笑)。 デジカメで山腹をズームす
ると 巨大な 「宝永火口」 が大きな口を空けてこちらを向いており、ちょっと痛々しくも感じた。
宝永山」 (2693m) の形もハッキリと認識できる。 この位置からは 山頂部の最高峰 「剣ヶ峰
(3776m) が、ちょうど左端に尖って見えているのがわかる。

          明るい 灌木帯の山道

             宝永火口と、宝永山 

  ふたたび樹林帯に入り、急坂の登りがしばらく続いた後、緩やかな斜面に出ると 「勢子ノ辻
・分岐
」 の標識が現れた。 分岐からは 南西側の景観が少しだけ垣間見える。 ここから、尾根
道は 東向きに変わり、細い枝の絡まった木立の中を 緩やかに登ってゆく。 やがて前方の視
界が明るくなったところで、越前岳の山頂 (1504m) に到着した。

     
         越前岳・山頂 (1504m )               山頂より南側の展望、駿河湾を見渡す

 山頂からは、特に南側の展望が素晴らしい。 駿河湾が白く輝き、雲海の向こう側に 伊豆方
面の山並み も連なっている。 手前の樹林越しには 衛星峰の大岳と、尾根続きとなる 愛鷹連
峰の 「呼子岳」 から険しい 「鋸岳」 を経て、さらに 位牌岳へと続いているのがわかる。
残念ながら 北側の富士山は、樹林に遮られて 頭の部分だけの景観となるが、幾重にも連なる
南アルプス・南部の景観は ここからも健在だ。 早めの昼食を取り、たっぷりと景観を楽しんだ
ところで下山に取り掛かる。

              尾根続きの愛鷹連峰と、伊豆方面

時間は充分にあるので、体力的にゆとりがあれば 往復2時間弱で、ここから南の 呼子岳への
登頂も可能だ。 呼子岳からは 鋸岳の岩峰が間近で望めるとの事だが、今回はヤメにして 往
路をそのまま戻る事にした (笑)。
  危険個所はないが、油断は禁物だ。 いつもながら、下り道は 膝と腰に負担をかけないよう
に 慎重に歩かなければならない。 霜解け水で 滑りやすくなった尾根道もあった。 この時間
では、まだ沢山の登山者達が登ってきている。 灌木帯の急坂路を抜けると、あとは富士山や
北側の 雄大な展望を見ながら歩く贅沢な下山路だ。

    広い登山道、十里木高原へと戻る 


  十里木高原駐車場に戻り、装備を解いて お楽しみの日帰り温泉に向かう。 国道469号線
沿いの田園地帯に「富士遊湯の郷・大野路」という古い民家風の和風旅館がある。 ちょっと
風変わりな露天風呂のある温泉で、マッタリとして帰路についた (和)。
山頂付近では やや風が冷たかったものの、好天にも恵まれて 久々にノンビリと快適な山歩き
となった一日であった。
 今季はこれにて、冬眠に入る (眠)。

                                                           (2011.12.7記)

                        ( おまけ )

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