蔵 王 山 ZAOUSAN
熊野岳 (1841m)

地蔵山 (1736m)

刈田岳 (1758m)
      熊 野 岳  ( 1841m )
平成25年9月23日(月), 現地日帰り
   ★ 総所要時間: 4時間 15分
   ★ ハイキング標高差: 510 m
   行程行程・ハイキング
   行程ルートマップ


  山形県と宮城県に跨る 「蔵王国定公園」 の中核をなす火山群の総称が「蔵王山」だ。
蔵王と言えば スキー場と 樹氷が有名で冬のイメージが強いが、夏山も雄大な景観が素晴らし
く、特に山頂火口湖の 「お釜」 は連峰のシンボルでもあり、観光客が数多く訪れる東北の名所
だ。 蔵王連峰は、刈田峠を境に「北蔵王」と「南蔵王」に分けられる。
北蔵王は周期的に活動する二重式火山で、「五色岳」(1672m) を中央火口丘として 「熊野岳
」(1841m), 「馬ノ背」, 「刈田岳」(1758m) の外輪山が 火口湖 (お釜) を囲み、荒涼とした火山
特有の景観を見せている。 いっぽう 南蔵王の方が古い二重式火山で、「馬ノ神岳」(1551m)や
水引入道」(1656m) を中央火口丘に 「烏帽子岳」(1681m), 「屏風岳」(1817m), 「不忘山
(1705m) らが弓なりに連なって外輪山を形成し、全体が緑に覆われた 穏やかな山容を特徴とし
ている。 このうち、ロープウェイやリフトが充実し、主な観光拠点が集中しているのは 北蔵王の
方であり、もちろん 我ら "インチキ山屋" の今回のターゲットも そちら側であるのは言うまでもな
い (笑)。

             
                                                   いろは沼 から望む 熊野岳

登山道は山麓から幾つも開かれているが、主稜線上へは 南側の刈田岳直下まで 車道が通じ
ているうえに、最高峰の熊野岳北側へも ロープウェイが架けられているので、南北両面から ア
プローチを短縮 (インチキ) できる。 したがって、比較的容易に山頂部に至る事が出来る という
訳だ (笑)。
南側の車道からの往復が 最短コースとなるが、我らは 北側からロープウェイ2台を乗り継いで、
まず先に 「地蔵山」(1736m) に登ってから 鞍部の「ワサ小屋跡」に下り、そこから 最高峰の熊
野岳に登頂する事にした。 熊野岳からは、お釜を見ながら 主稜線の 「馬ノ背」 を縦走して 刈
田岳に至る。 そこから往路を ワサ小屋跡まで引き返して、分岐からは ロープウェイ1台分に相
当する登山道を歩いて帰還する、といった 北蔵王の核心部分を満喫するプランとした。
ちなみに、一般観光客のほとんどは 刈田岳直下の駐車場からお釜を観光する目的で馬ノ背を
往復するので、週末やシーズン中は 稜線上がやや混雑するそうだ。

 前日のうちに 麓の 「蔵王温泉」 に宿泊して、朝一から 蔵王ロープウェイ山麓駅に向かう。
山麓駅は 温泉街のすぐ上に位置しているので、宿泊地からは 3分足らずで到着した。 無料の
駐車場に車を停めて、身支度を整える。 山頂方面に やや黒い霧が架かっているのが気になる
が、麓の天気は上々だ。

                  まずは、地蔵山へと向かう

早速、1台目の 「蔵王ロープウェイ・山麓線」 に乗り、中継点の 樹氷高原駅で 「蔵王ロープ
ウェイ・山頂線
」 に乗り換えて 地蔵山頂駅に降り立つ。 標高はすでに 1661mで、ここから熊
野岳との標高差は 僅か180mというインチキさである (笑)。 麓の天気は良く晴れていたのだが、
山頂駅周辺には 時折ガスが架かって辺りの視界が悪くなる。 ガスの流れが速いので、晴れた
り白くなったり を繰り返している状態だ。
地蔵山はすぐ近くにあり、10分ほどの軽い登りで山頂に到達した。 スッキリと晴れていれば、こ
こからの眺望も 中々のものらしいが、この時の視界はあまり良くない。 特に、肝心の 熊野岳を
含む主稜線の辺りには、黒っぽいガスが取り付いたまま 離れそうもない状態だ (困)。 地蔵山
の南東面を下り 鞍部のワサ小屋跡に向かうが、相変わらず ガスが断続的に流れ込んでおり
景観はイマイチだ。

  
                  ワサ小屋跡 (1690m)                                 山頂方面 には、ガスが

分岐点でもある ワサ小屋跡には ケルンが積んであり、その上に 山姥 「ワサ」の怪しげな石像
が置かれていた。 昔、ここには ワサ婆さん の小屋があったという事らしい。 ここから先は、更
にガスが濃くなっており 水分を含んだ風が肌寒いくらいに吹き付けてくる。 ジャケットを重ね着
して上へと進む。 この先の登山道には、約15m間隔で目印となる 標柱が立ち並んでいたので、
ガスで視界が悪くても スムーズに先へ進めて助かった。 これはツマリ、この辺りは ガスってる事
が多い という事なのか…、と思った (汗)。

             熊野岳・山頂 (1841m)

やがて 岩がゴロゴロした道となり、登り詰めていくと いつの間にか 山頂部に辿り着いたようだっ
た。 熊野岳の山頂は 平坦で広々しているし、辺りは 殆んど真っ白なので、かなり接近しないと
周囲の様子が判らないのだが、何とか 山頂標と 「熊野神社」 の社を見つける事が出来た。
晴れていれば、360度の大展望が得られ、東北南部の主要山岳を 一望できるそうだ (悲)。
風の流れが速く、水分を多く含んだガスも 次から次へと流れ込んできているので、1時間くら
い待てば ガスは切れるのかもしれない… と思ったが、気温も低く けっこう冷たい風なのであま
り長くは留まっていられない (寒)。
「お釜」 と書かれた標識も見つけた。 ここからも 蔵王のシンボルである、神秘的な エメラルドグ
リーンの 強酸性水を湛えた 火口湖が望めたはずである。 当初の計画では、ここから 東側の
斜面を下って 「馬ノ背」 と呼ばれる 稜線 (火口の縁) に出て、お釜を覗きながら 刈田岳・山頂
まで快適に歩いて 戻ってくるハズであったが、真っ白で何も見えなくては意味がない (悲)。
まっことに! 残念ながら、この先への進行を諦めて 断腸の思い(?) で引き返すことにした (涙)。

                      ワサ小屋跡・分岐 に戻る

ワサ小屋跡の分岐に 近づくにつれガスは薄くなり、分岐点周辺から下は 晴天となっていた。
ガスが架かっているのは、ホントに 山頂付近の上層部だけとなっているようだ。 登りに利用した
2台目のロープウェイ (山頂線) は使わずに、中間駅の 樹氷高原駅までは 「祓川コース」 登
山道を歩いて下るため、ワサ小屋跡・分岐を 「いろは沼」方面へと向かう。
はじめのうちは、左側が 「蔵王沢」 の谷間へ深く 切れ落ちた山腹の斜面をトラバースして行く。

   
           山腹の斜面をトラバースして行く                            色づきはじめた遊歩道

紅葉にはまだ早いが、山の斜面の樹木は 少しずつ色づき始めているようで、これはこれで 綺
麗だなあと思った (汗)。 山頂部の濃霧が ウソのような上天気で、汗ばむくらいの陽気であり、
悔しい位に気持ちがいい (笑)。 樹林帯に入り、コース中間付近の 「御田神」の分岐 を過ぎた
辺りで、左側の視界が開き 山頂部の稜線が展望できる場所に出た。 丸い地蔵山が青空にくっ
きりと見えている。 そして、ついに山頂部のガスが取れはじめて、山肌を露わにした 熊野岳が
その荒々しい姿を現した。 この後、山頂部のガスが 完全に取れてお釜も見れるようになるのか
もしれないが…、残念ながら 我らにはもう時間がない ! (涙・涙…)。 最後に 熊野岳が姿を見せ
てくれただけでも、ヨシとした (汗)。

                   
                               ようやく姿を現わした山頂部、熊野岳の雄姿

 更にその先へと進むと、本コースの 目玉の一つ 「いろは沼」 に出た。 小さな池塘が点在
する ミニ湿原で、花の時期は 特に美しいそうだが、草木が枯れ始めて 茶色くなった景観も
中々良いものだ。湿原を過ぎると、すぐに 「観松平」のエリアに入る。 五葉松の巨木が点在し、
この一帯の散策路にある 15本ほどの松には 「不老の松」, 「腰掛の松」,  "おそ松" ?! (…そ
れは無いでしょ!! ) などと、それぞれに 名前が付けられているようだ (笑)。

              いろは沼 (1442m)

それを過ぎたところで、祓川コース遊歩道の 起点 (終点) に到着した。 正面には 夏山リフト
の乗降口があり、スキー場ゲレンデの上部となっている。 ゲレンデの下には、目指す ロープ
ウェイの樹氷高原駅 も見えている。 足早に 草のゲレンデを滑るように (?) 下って、蔵王ロー
プウェイ・山麓線に乗り、蔵王山麓駅・P へと帰還した。

   
               祓川コース遊歩道 入口                     樹氷高原駅から望む、蔵王温泉

肝心の山頂部でガスにまかれた事を除けば、まずまずの天気で快適な山歩きが出来た(…
と、いう事にしよう!! )。 我らとしては、遠方の地となるので 度々訪れる事は難しいが、手軽に
雄大な景観の山歩きができるので、今回我らが設定したコースは (一部未完であったが…)
危険な箇所もないし、『キツイ登りはイヤだけど、山歩きを楽しみたい…』  という、ワガママな
ファミリー (?) には 最適なチョイスとして オススメしておこう (笑)。

 下山後のお楽しみである 日帰り温泉施設も、麓の蔵王温泉には 良さそうな所が沢山ある。
我らは、その中から ロープウェイ駅から 最も近い (5分もかからない! ) 場所にある 「蔵王温泉・
新左衛門の湯」を利用した。 温泉は勿論、食事処、土産物屋が 一堂に会した 新しくきれい
な施設で、ここも オススメの二重丸である。 いい湯に浸かってマッタリとして、長い帰路につい
た。
                                                                                          ( 2013.10.1記)

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