スリランカの旅Z



大観光地・キャンディー



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マータレーから大都会・キャンディーへ向かう。



バスがキャンディー湖畔に到着。 下車。

ガイドブックを見て宿を決める。 最初に訪れた宿はガイドブックに載ってた料金より5ドルも高かったのでやめた。
次の宿は中心街から滅茶苦茶遠かったがそこに決めた。 宿まで来たときはトゥクトゥクを使ったのでわからなかったが、このあと実際に歩いてみると、宿は地図を見て頭の中で思った以上に遥かに遠かった。 ちょっと失敗。


宿に荷物を置いて、まずは市内観光へ。
丘の中のゲストハウスから地図を見ながら中心街へ向かう。

丘の麓まで辿り着いて、人に道を尋ねた。
そこで立ち話になってしまった。 そして住所の交換を求められた。 本当は早く中心街まで行きたかったのだが。 でも、こうして旅行者の私に興味を持って話し掛けてくれるのは嬉しいことだ。


賑やかな中心街のストリートを通って湖へ。

湖のすぐ北にはキャンディー最大の観光ポイント・仏歯寺がある。

仏歯寺
博物館と繋がっている
仏歯寺には地方からたくさんの人々が訪れてきているようだった。
目がくりくりしてて可愛いらしい子供が興味深そうに日本人の私に寄って来た。 (キャンディー在住でない)地方の子供は日本人が珍しいのだろう。



仏歯寺を出て、湖を一週しようと歩き出した。

一人の男が話しかけてきた。
「どこから来たの?」
  「日本から。」
「俺、日本人の彼女いるんだ。」
その男は、日本人の彼女と撮った写真を見せてきた。
  「わ、本当だ。」
その男はキリっとした顔立ちで、モテそうな感じだった。
日本人の女性はこういうタイプに弱いのだろう。



また少し歩くと別の男が話しかけてきた。
初めは普通のトークだったが、途中から上手くセールスの話に変えられた。 まったく油断も隙も無い。
キャンディアン・ダンス・ショーのチケット販売であった。 どっちにしろ、この日の夜にショーを見に行く予定であったが、売り方が気に食わなかったので、その男からは買わなかった。



また、湖に沿って歩いていった。

その前をバスが停まり、子供たちが下車し、その後から一人の中年男が下車した。
その中年男から声をかけられた。
小学校で伝統ダンスの先生をしているらしい。
その中年男は、働いている学校を案内するという。 子供たちが描いた伝統芸術の絵画が展示されているので見ていけとのこと。

そして学校の中の一室へ。
ひとりの女性がそこの入り口の椅子に腰を掛けていた。
女性は私に挨拶する。 マクドナルドの店員にも負けないような明らかな"セールス"スマイルである。 この中年男についてセールス目的だとは薄々勘付いていたが、これで決定的になった。
でも気にしないで部屋の中に入っていった。

「伝統的な芸術だ。 綺麗だろ?」
  「そうだね。」
「子供たちが描いたんだ。」
  「ふうーん。」
「どれか買ってってくれ。」
ほら、来た。
社交辞令で値段を訊いてあげた。
「XXXルピーだ。」
  「たっけー。」
「じゃ、いくらなら買う?」
  「買わない。」
「ディスカウントするよ。」
入り口にいた女性のフォローが入る。
「貧しい子供たちの為に買ってください。」
- アホか。 お前たちの給料に反映されるだけだろ。 -
  「高いもん。」
「日本円でもいいぞ。」
  「日本円だったらいくら?」
「えーと、XXX円だ。」
- はっ? 計算間違えてないか、このオヤジ。 -
  「1ルピー何円のレートだ?」
「1円=8ルピーだ。」

おおおおお! 素晴らしいレートだ。
オヤジ、明らかにレート勘違いしてる。 
ひとつ桁を間違っている!
  「はーん、本当か、じゃ、1000円出したら8000ルピーくれるのか?」
「そうだ。」
  「よし! 頼む、両替してくれ。 その額でいいんだな。」
「いいとも。」
  「じゃ、今、宿に戻って日本円取って来るから、待っててくれ。」
「じゃ、急いでくれ。」
慌てて、トゥクトゥクを拾う。
中年男は待っているという。 運転手に宿の住所を告げて出発。
「必ずここに戻って来いよ。」
  「逃げるな、そこで待ってろよ!」

トゥクトゥクが走る。
オヤジは両替する気満々だった。 そこまで自信を持たれてるとやはり少々不安になる。 トゥクトゥクの中で念の為ガイドブックで大まかなレートの確認する。
- よし! 間違い無しだ。 -

ふと、周囲の景色を見ると、かなり山の上。 ここは何処?

運転手は私を見当違いのところへ連れて来たようだ。
「この辺の筈なんだけど....。」
  「こんな所じゃない。」
運転手は近くを歩いている人に道を尋ねる。
しかし結局宿がわからない。

私もキャンディーの地はもちろん不慣れな上、ガイドブックを見ていたので、どこをどう走ってきたのか見当がつかない。

湖へ引き返すことに。

かなり時間をロスしてしまった。

やっとのことで宿に到着。
もう両替のことなど、どうでも良くなってきた。
1000円を8000ルピーで両替するのは向こうが悪いとは言え、やはり可哀想だ。 スリランカ人は噂に聞く隣国インド人よりもまだまだ正直だし、許してやろうじゃないの。


この後もいろいろとチケット売りに声をかけられてしまう。
シーギリアとダンブッラで出会った韓国人・ジョンスンの言葉『話し掛けられるのはプレッシャーだ』の意味がここキャンディーで理解できた。
中には単なる好奇心で話しかけてくる人はいるけど、やはり大観光地・キャンディーはセールスという下心がある奴が多い。 全く油断できない。



宿でちょっと一休み。
再び、中心街へ向かう。

この日はたくさん歩いたので疲れていた。 宿から中心街までは遠い。
- 諦めた。 ここから先、トゥクトゥクを使おう。 -
トゥクトゥクを見つけた。

  「乗る〜。」
「何処まで?」
  「えーと(何処にしようか...)、よし、王宮跡だ。 王宮跡。」
ガイドブックには王宮を「キングズ・パビリオン」と書かれてたので、そのように発音した。
「キングズ・パビリオン?」
  「そう、キングズ・パビリオン。」
英語が通じてないようだ。
  「昔のキングのパレスだよ。」
運転手と周囲の人は何やら相談を始めた。
私は、ガイドブックの写真を見せた。
集団の一人が言った。
「これ『マ▲ж○☆※』(→正確な発音は忘れた)だよ、きっと。」

そうだ! アヌダーラプラで王宮跡までの道を訊いたとき、確かシンハラ語で王宮のことを『マ▲ж○☆※』とか言ってたのを思い出した。 発音的に「マーガリン」に雰囲気が近かったので微かに記憶に残っていた。
  「そう、そこ。 マーガリン!」

値段の交渉をして王宮跡へ向かった。


王宮跡に到着。
残念ながら英国政府の庁舎のようで立ち入り禁止だった。(このことはちゃんとガイドブックに書いてあったのでよく読んでおくべきだった。)



再び仏歯寺へ。
仏歯寺の広場の入り口で呼び止められた。
「仏歯寺の入場券は持っていますか?」

- 最初に入ったときは
  建物の入り口の直前で入場券を見せただけだったが、
  こっちの入り口(正面入り口)から入ると
  ここ広場でも見せなくてはならないのか。 -

ちなみに入場券は一度買うと何度でも入場できる。

  「来たの2度目ですから、持ってますよ。」
ミニリュックの中を探す。 ...あれっ。 どこいっちゃったんだろう。
  「無くしちゃった。」
「でも確かに入場券は買ったのですよね。」
  「そうですけど。」
「大丈夫です。
 私はここのオフィスで働いているものです。
 入り口で私が話してあげましょう。」

  「えー、ホントですかぁ。 有難うございます。」
「では、付いてきてください。」
「名前は何と言いますか?」

  「Masa です。」
「私はXXX(忘れた)と言います。
 どこから来たんですか。」

  「日本です。」
「どこのホテルに泊まってるのですか。」
.....話ながら歩く.....。

「今夜この寺で素晴らしい催しがあります。
 寺をもう一度見るのでしたら、夜がいいですよ。」

  「でも夜はキャンディアン・ダンス・ショー見るんです。」
「その後でじゅうぶん間に合いますよ。」
  「じゃ、夜来よっと。」
入り口へ到着。

その人が、入場管理員に何か話した。
そして話をまとめてくれた。 今夜、ここを訪れたとき、顔パスで入れてくれるという約束になった。
- 有難い。 -

「さて、ショーまではまだだいぶ時間がありますね。
 ところで、別のあっち側の寺院はもう見物しましたか?」

  「えっと...、あそこはまだです。」
「それでは、私が案内しましょう! 私はガイドです。」

- 最初、この寺院のオフィスで働いてるって言ったのに! -

  「結構です。」
「さっき入り口の係員に交渉してあげたではないですか。」
  「その件は有難うございます。 でもそれとこれとは話が別です。」
「ガイド料はXXXルピーです。」
  「ガイドは要りません。」

ガイドを拒否した。
何か腹の立つ感じがした。
これぞ、観光都市キャンディー。





〜 夕方 〜

ダンスショーを見に行く。
大勢の観客が集まった。
ショーが始まる。
伝統的な衣装を着た人々が、伝統的な音楽を演奏して、伝統的な踊りを踊る。(但し『伝統的』というのはあくまでも私の推測。)

女性もきれいな衣装で伝統的な踊りを踊る...
...そういえば、ビルマの友達・スースーちゃんも
民族衣装を着た伝統踊りのダンサーだ
とか言ってたっけ。 こんな感じなのかな。

ショーが終わる。
さて、会場を出ようとすると、若い男に呼び止められる。
「Excuse me. Are you Mr.MASA?」

- はっ? 何故こいつ、俺がMasaだっていうこと知ってるんだ。 -
- 怪しい。 -

  「違います。」
「違う? あなたは日本人ですか。」
  「違う。」

- いったい、何なんだ。 -

「私はトゥクトゥクの運転手です。
 あなたの泊まっているXXXゲストハウスの人に
 Mr.Masaを迎いに行くように手配されたのです。」


- 怪しい。 -
- 確かに宿主にはショーを見に行くことは話した。
  でも、宿の人が俺のことをMasaっていうのはオカシイ。
  チェックインのときは名前をフルで書いたし、
  そもそもMasaは姓じゃないからMr.はつかないのに。 -

  「俺はMr.Masaじゃない。(だって本当にそんな姓じゃないもん。)

私は怪しいその男を無視しそのまま人ごみの中へ消えていった。

私の名をMasaと知り、ゲストハウスの名前まで知っている奴はたった一人。 仏歯寺のあのガイドのみ。

- あの野郎。 -

あのガイドの悪巧み以外考えられない。

- 人の心がすれているような観光地では、
  あまり正直に名前を言わない方がいいかもしれないな。
  今度誰かに名前を聞かれたら何て名乗ろうか...。
    ホルヘ、カルロス、ホセ、フリオ...
  やはり普通過ぎてイマイチ面白みに掛ける...。
    ドラゴン、タイガー、ジークフリード...
  呼ばれる方が恥ずかしくなる...。
    オーサマ(王様)、シャチョー(社長)、ゴシュジンサマ...
  あ、ゴシュジンサマって呼ばせるのっていいなぁ。
  ...バカみたい。 やめよう。 -

仏歯寺に向かう。

入場は約束どおり顔パスでできた。
あのガイドに感謝。




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