TOEFL500点問題」で、破滅に向かってひた走る横浜市立大学 永岑三千輝氏『大学改革日誌』2007年1月12日付(2007.1.14)

 

http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/Nisshi.htm 

 

資料

横浜市立大、2年生半数 留年危機 英語力検定が壁 「全国国公私立大学の事件情報」(2006.12.11)

横浜市大 厳しすぎた?進級要件 2年生半数超 留年の危機 国際総合科学部「TOEFL 500点」届かず 『東京新聞』夕刊第一面(2006.11.8)

《ずるずる放置しておいていい問題ではない》 “TOEFLとTOEICの区別もついていない役人がつくった制度”が破綻寸前 永岑三千輝氏大学改革日誌2006年10月30日付 (2006.10.31)

 

 

1月12日 わたしに伝えられる教員の多くの意見(支配的意見)は、昨日のひとつの意見、「責任の所在は経営者側、そして教育の長である学長、学部長、場合によっては共通教養長であることは明らか」というものである。別の表現では、「現行制度を押し進めてきた人たちの責任を明確にするためにも、このまま好きなように突き進めさせれば良い」、というところに尽きるようである。

 さらに突き詰めれば、下記の卒業生からの怒りがあろう。

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私は横浜市立大学の卒業生の一人です.

 

破滅に向かってひた走る横浜市立大学に歯がゆい思いをしています.

 

いわゆる「あり方懇」が「横浜市立大学はトップクラスの大学ではない」と断言したとき,はたしてそうだろうかと疑問を感じていました.

 

かつて教授であった三枝博音,遠山茂樹,西郷信綱,浅島誠氏などは日本での一流の研究者として広く知られています.

 

また,卒業生にも大企業の社長,公正取引委員会事務総長(後に大阪大学大学院法学研究科教授)などがいます.また,外交官にも強く,ペルー大使,ボリビア大使,外務報道官として活躍しています.

 

研究者になる人もけっして少なくなく,東京外大教授,東京工業大教授,都立大学教授,慶応義塾大学教授など広く活躍していると仄聞しています.

 

概して,横浜市立大学は公立大学としては最大限の成果を上げてきたのではないでしょうか.

 

横浜市立大学を正しく評価しようとしない態度こそが根本的な過ちを生んだとしか考えられません.

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   これらの見解には、「あり方懇」、「大学像」以来の、一連の「改革」(その手法)に対する怒りが深く沈潜し、染み渡っているように感じられる。
      
  その多くの気持ちを理解し、共鳴し、共感できる。と同時に、市民・卒業生に対しては、内部にいるものとしては、厳しい自己反省も求められる。


  現状を放置すれば、「振り回された学生諸君はどうなるのでしょう?それぞれに努力して、わずかの点数で留年や生活の危機にさらされている人々のことは?あるいは、制度変更、環境条件不整備等で意欲をなくした人々のことは?」。

  問題はまさに目の前に提起されている。
       
  多くの教員からすれば、問題は、
教育研究審議会・教職員管理職の組織、その背後の経営陣に投げかれられている。
       
  この間の予算措置は、経営陣の承認の元に、おこなわれてきたのだから。
  この間の教職員管理職人事PE関連人事は、経営陣によって行われてきたのだから、と。

   まさに、「予算」と「人事」こそは、大学の自治に対し、生殺与奪の力を持つ。
   それゆえにこそ、憲法の保障があるはず。
   
   言葉の上では誰も憲法的保障の大学自治を否定しない。
   だが、それは、実際にはどうなっているか、と。