「ね、真澄ちゃんを送ってきてくれた人、誰なの?」 *
「――というわけで、今日から真澄ちゃんは小っちゃい子のクラスに移ります。クラスの名前は『トドラークラス』といいます。トドラーというのは、よちよち歩きを始めたばかりの小っちゃな子という意味で、生まれたばかりの赤ちゃんよりは大きいけど、みんなみたいな年少さんよりは少し小っちゃい子のことを言います。ただ、トドラークラスは真澄ちゃん一人きりのクラスで、そのままだと真澄ちゃんが寂しがって可哀想だから教室はみんなと同じお部屋を使います。みんな、可愛い妹だから絶対に苛めたりしないで思いきり可愛がってあげるのよ」 「先生、どうして真澄ちゃん、オシャブリを咥えてよだれかけをしてるんですか? 昨日まで、おむつは汚してたけど、よだれで制服を汚すことなんてなかったのに」 「それは、真澄ちゃんの連絡帳に書いてある内容を読めばわかると思うわよ。今から先生が読んであげるから、静かに聞いててね。連絡帳、昨日はお母さんが書いてくれたけど、今日の分はお姉さんが書いてくれたみたい」 淳子は、真澄の通園鞄から連絡帳を取り出してページをめくった。 「じゃ、読むわよ。『今朝も真澄ちゃんはおねしょでおむつをびしょびしょにしてしまいました。昨夜は晩ごはんを食べている途中におもらしでおむつを汚してしまうし、おねしょしないようにお風呂場で抱っこしておしっこをさせてあげたのに、やっぱりおねしょをしてしまいます。どうやら、おむつが外れるのはまだまだ先のことのようです。先生にはご迷惑をおかけしますが、これからもよろしくお願いします。それと、昨夜、眠っている間、ずっと私のおっぱいを吸って離れませんでした。強引におっぱいから引き離すと寂しそうに唇を動かしますので、可哀想になってまたおっぱいを吸わせてあげたのですが、この調子では、おっぱいから卒業するのもまだ先のことになりそうです。重ね重ねお手数をおかけしますが、この点につきましても、お世話の方、よろしくお願いします』だって」 「あ、それじゃ真澄ちゃん、いつもお姉さんのおっぱい吸ってるんだ。それで、お姉さんがいない時はお口が寂しくてオシャブリ吸ってるんだね。でも昨日はタンポポ保育園へ来たばかりで、オシャブリ吸ってるのを美香たちに見られたら恥ずかしいから我慢してたんだ。だけど一日しか我慢できなくて、今日になったらまたオシャブリ吸うようになったんでしょ」 淳子が読み聞かせた連等帳の内容から美香は勝手な推測をしてみせて、自慢げに鼻をぴくぴくさせた。 「うふふ、やっぱり美香ちゃんは賢いわね。そんなことをすぐに考えつくなんて」 「だって、年少さんのお姉ちゃんだもん。 ト、トド、ええとなんだっけ……あ、そうだ、トドラークラスの赤ちゃんとは違うもん」 「はい、それじゃ、お姉ちゃんらしく、真澄ちゃんの面倒をちゃんとみてあげてね」 「うん、まっかせといて。昨日みたいに、オヤツのミルク、美香が飲ませてあげる」 美香は胸を張って応えた。 「よかった、頼りになるお姉ちゃんがいて。じゃ、紹介はこれくらいにして、真澄ちゃんも自分のお席に行きましょう。トドラークラスの真澄ちゃんは美香お姉ちゃんみたいにじっと椅子に座ってられないでしょうから、椅子の代わりにいい物を用意しておいてもらったのよ」 淳子は美香に軽くウインクしてみせてから、真澄の手を引いて教室の一角に向かって歩き出した。 それに従って真澄も歩き出したけれど、ものの三歩も進まないうちに足取りがあやしくなってきて、それからすぐにぴたっと足の動きを止めてしまった。 「どうしたの、真澄ちゃん。急にあんよができなくなっちゃったのかな? ひょっとして、甘えんぼうさんの真澄ちゃんは先生に抱っこして自分の席まで連れて行ってもらいたいのかな?」 淳子は、その場に立ちすくむ真澄の顔を見おろして、からかうように言った。と、淳子の視線から逃れるように顔を伏せた真澄の腰から膝にかけてのあたりが小刻みに震えているのが目にとまる。 「あ、そういうことか」 淳子は納得したように呟いて床に膝をつくと、ぶるぶる震える真澄のお尻を包み込んでいるロンパースの股間に並んだボタンに指をかけて手早く外し、お尻のあたりの生地をさっと捲り上げて、その中から現れたおむつカバーに掌を押し当てた。 「やっぱりだ。真澄ちゃん、おもらししちゃってるのね? だからあんよが止まっちゃったんだ」 おむつカバーの生地を通して、じわじわと広がってゆく生温かい感触が掌に伝わってきた。同時に、おしっこを吸って布おむつが僅かに膨れ、重みのせいで幾らか垂れ下がってゆく様子も感じ取れる。今まさに真澄はおもらしでおむつを汚してしまっている、そのさなかだった。とはいえ、おねしょで汚したおむつを優子の手で取り替えられてから今までまだしくじってないのだから、二時間に一度くらいの割合で尿意を覚える真澄にすれば、よく我慢した方かもしれない。 視線を床に落とした真澄の顔は真っ赤だ。おむつカバーのおかげで直接見られることはないとはいえ、園児たちの注視を浴びる中でおむつを汚してしまっているのだから、羞恥のきわみにあるのも当然のことだろう。 「美香お姉ちゃん、早速お仕事ができたわよ。真澄ちゃんの席の横にバスタオルとポリバケツが置いてあるからここへ持ってきてちょうだい。それと、替えのおむつも同じ所にあるから、それも忘れないでね」 真澄のおむつカバーに掌を押し当て、布おむつをじわじわと濡らして広がってゆくおしっこの感触を感じ取りながら、淳子は首だけ振り向いて美香に言った。 「はーい、先生。それで、真澄ちゃんの席って、あのベビーサークルだよね? 先生と真澄ちゃんが園長先生のところへ行ってる間に主任先生が用意してたベビーサークルでいいんだよね?」 美香は何度か確認してから、教室の一角に用意してあるベビーサークルに向かって歩き出した。 美香が向かう先にある直径三メートルほどのベビーサークルは、美香が言ったように、淳子と真澄が園長室へ行っている間に主任保育士が運び込んできたものだ。ただ、普通のベビーサークルとは違って高さが九十センチメートル以上もあるのは、真澄のために園長が特別に注文していたからに他ならない。淳子に抱き上げられて中に入れられたが最後、真澄が自力で抜け出すことができなくなるよう、わざわざ背の高いベビーサークルを作らせたのだ。ベビーサークルの中には布でできた柔らかいボールやヌイグルミに積み木といった赤ん坊の玩具が置いてあって、ベビーサークルのすぐ横には、替えのおむつやおむつカバー、着替えのロンパースに新しいよだれかけ、様々な小物を収めたベビータンスが据えてあり、その横には、すぐ使えるよう用意したおむつを入れたバスケットと、汚れたおむつを入れておくポリバケツといったものが並んでいる。 まだ年少の美香だから、淳子に指示された物を全て一度に持ってくることはできない。洗剤を溶かした水を張ったポリバケツ、何組もの布おむつを入れたバスケット、大きなバスタオルといった物を美香が一つずつ甲斐甲斐しく運び終えるのとほぼ同じ頃、真澄はようやくおしっこを出し切ったようで、ひときわ大きくぶるっとお尻を震わせた。 「さ、みんな出ちゃったみたいだから、美香お姉ちゃんが持ってきてくれたバスタオルの上にごろんしましょうね」 ロンパースのお尻の生地が両脚の間に垂れ下がった、見ようによってはだらしない、見ようによっては妙になまめかしい姿の真澄の腰に両手を巻き付けるようにして、淳子はバスタオルの上に体を横たえさせた。 「い、いや……みんなの見ている前でおむつだなんて、そんなの、いや……」 想像を絶する羞恥に耐えかねて口を閉ざしたままだった真澄が、淳子の手で左右の足首を一つにまとめてつかまれた瞬間、バスタオルの上で弱々しく首を振った。 「駄目よ、ちゃんと取り替えておかなきゃ。おむつかぶれになっちゃうし、それに、せっかく美香お姉ちゃんが用意してくれたんだから」 おむつの交換を力なく拒否する真澄にあやすように言って、淳子は、真澄の足首を高々と持ち上げた。だらんと広がっていたロンパースの生地がお腹の上まで捲れ上がって、今朝取り替えられたばかりのおむつカバーがあらわになる。ベビーピンクの細かな格子柄に黄色の小さなヒヨコの模様をあしらった生地でできた真新しいおむつカバーだ。 「やっぱり、ロンパースは便利ね。いちいち着ている物を脱がさなくても、こうやっておむつを取り替えられるんだから。ほんと、赤ちゃんの真澄ちゃんにはこれ以上ないくらいお似合いのお洋服だわ」 おむつカバーの前当てと横羽根を開きながら、淳子は真澄の耳に届くようにわざと大きめの声で呟いた。 「赤ちゃんじゃない。私、赤ちゃんじゃないのに……」 「そうね、昨日までは赤ちゃんじなくて年少さんのお姉ちゃんだったわね」 ぐっしょり濡れた水玉模様のおむつを手前にたぐり寄せ、水を張ったポリバケツに滑り込ませて淳子は言った。そうして、真澄の耳朶に唇を触れ合わせて、園児たちには聞こえない小さな声で囁きかける。 「でもって、一昨日までは短大生のお姉ちゃんだったのよね、真澄ちゃんは。でも、それは一昨日までのこと。今の真澄ちゃんはおもらしでおむつを汚しちゃうだけじゃなく、オシャブリを咥えたお口からこぼれるよだれでよだれかけも汚しちゃう赤ちゃんなのよ」 淳子の言う通りだった。おむつはいやだと言い、自分は赤ん坊などではないと言い張るために口を開くたびに、唇からよだれが溢れ出しては、顎先から滴り落ちてよだれかけに薄いシミをつくっていた。普段ならそんなことにはならないのだが、片時も離すことなく咥えさせられているオシャブリのせいで口の中に唾が溜まり、それがよだれになって溢れ出しているのだ。 「さ、新しいふかふかのおむつをあてましょうね。赤ちゃんはね、新しいおむつをあててもらってお尻が気持ち良くなると、きゃっきゃっ言って喜ぶのよ。真澄ちゃんはどれだけ嬉しそうなお顔をしてくれるかな」 淳子は、よだれで頬を濡らす真澄の顔を眺めながら、十枚で一組にまとめてある新しい布おむつの束をお尻の下に敷き込んだ。 昨日から何度も経験しているのに、まだその柔らかな感触に慣れることのできない真澄の体がぴくんと震えて、思わずお尻を持ち上げようとするのか、腰と両脚に力が入る。 「そう、新しいおむつがそんなに気持ちいいの。思わず体を動かしちゃうくらい喜んでるのね、真澄ちゃん」 淳子はくすくす笑って真澄の足首をおろし、両脚を広げさせて、お尻の下に敷き込んだおむつの端を持ち上げた。太腿の内側を撫でるようにして両脚の間を滑る布おむつの感触が真澄に更なる羞恥を与える。 「あ、やん……」 真澄の口から喘ぎ声が漏れ、僅かに開いた唇の端からよだれが滴り出して頬を伝い落ちる。 「ふぅん、可愛い声を出すのね、真澄ちゃん。昨夜、優子お姉さんのおっぱいを吸っていた時もそんな声を出していたのかしら」 淳子はすっと目を細めて僅かに笑いを含んだ声で言いながらおむつの形を整え、おむつカバーの横羽根と前当てをマジックテープで留めて、はみ出しているおむつをおむつカバーの中にそっと押し込んだ。 「もう少しだから、そのままじっとしてるんですよ。いい子にしてたら、ご褒美に今夜も優子お姉さんがおっぱいを吸わせてくれますからね。――はい、できた」 おむつカバーを包み込むようにしてロンパースのボトムの布を前後に重ね合わせ、手早くボタンを留めると、淳子は大きく膨らんだ真澄のお尻をロンパースの上からぽんぽんと叩いて言った。 「さ、立っちして、今度こそ真澄ちゃんのお席に行きましょうね。可愛いヌイグルミもたくさん用意してもらったから、先生やお姉さんたちと楽しく遊びましょう」 羞恥に耐えかねて唇を噛みしめる真澄だったが、咥えさせられているオシャブリのためにそれもできない。今の真澄にできるのは、ちゅうちゅうと音を立ててオシャブリを吸うことだけだった。 《 8 屈辱のボール遊び 》
淳子に抱きあげられて真澄がベビーサークルの中に入れられると、園児たちが駆け寄ってきて周りを取り囲んだ。どの園児も、まるで動物園で珍しい小動物の檻の中を覗き込むような目をして真澄の様子を窺い見る。 「やぁん……」 という、ひどくなまめかしい喘ぎ声が漏れ出た。声は小さくて、すぐ後ろにいる淳子にしか聞こえなかったものの、もしも美香たちの耳に届いたとしたら、まだ年端のゆかぬ園児たちでも、それが普通の声ではないことを直感しただろう。真澄の口をついて出たのは、それほどに淫靡な喘ぎ声だった。 だが、園児たちの目の前だというのに真澄が思わずそんな声を漏らしてしまったのも仕方のないことだった。淳子が、お尻を押すふりをして、実は中指で真澄の最も感じやすい部分を責めていたのだ。真澄のお尻を軽く押すだけのふりをしながら、淳子は真澄の股間に中指を突き立て、おむつやロンパースの生地越しに敏感な部分をまさぐっていたのだ。いやらしく蠢く淳子の手から逃れるために否応なく真澄は力なく手足を動かして、まるで赤ん坊のように床の上を這い進まざるを得なかったのだった。 「あらあら、赤ちゃんがそんなはしたない声を出しちゃ駄目よ。子供たちに聞かれたらどんな言い訳をするつもりなの? ちゃんと這い這いできたら私だってこんなことしないんだから、ほら、頑張りなさい」 淳子が真澄の耳元に顔を寄せて囁きかけた。 思わず真澄は恨みがましい目で淳子の顔を見上げる。 「ほら、お手々とあんよが止まっちゃったわよ。もう少しで美香お姉ちゃんの所まで行けるから頑張りましょうね」 淳子は真澄の耳元から顔を離し、今度は園児たちにも聞こえるような声で、それこそ、這い這いができるようになったばかりの赤ん坊を励ますように言って、真澄の股間に突き立てた中指に更に力を入れた。 「あ……ん」 真澄の口から再び喘ぎ声が漏れ、僅かに開いた唇からよだれがこぼれ出て顎先から首筋を伝い落ち、胸元に滴り落ちて、よだれかけに吸い取られる。 「そうそう。だいぶ這い這いが上手になってきたわね、真澄ちゃん。ほら、美香お姉ちゃんはもう目の前よ」 真澄が美香のすぐ近くまで這い進んで、ようやく淳子は手を離した。 途端に真澄は這い這いをやめ、力尽きたかのように、おむつで丸く膨らんだロンパースのお尻をぺたんと床につけ、両脚をだらしなく大きく開いた格好で座りこんでしまう。 「よかったね、真澄ちゃん。先生に助けてもらったら、ちゃんと這い這いできるようになったね。じゃ、ここまでちゃんと這い這いできたご褒美にお姉ちゃんがボールをあげる。はい、真澄ちゃんの大好きなボール」 美香はもういちどだけ真澄の目の前でガラガラを振ってから、ボールを拾い上げて真澄に渡そうと手を伸ばした。が、真澄の顔色の変化に気づくと、慌てて淳子の顔を見上げて心配そうに言った。 「先生、真澄ちゃん、顔が真っ赤だよ。それに、はあはあ言ってるし、よだれもすごいよ。大丈夫かな?」 美香のもとへ這い這いでやって来る間、真澄の秘部は淳子の手でなぶられ通しだった。そのせいで真澄の顔は上気して真っ赤になり、息遣いも荒くなった上に、唇をきゅっと閉ざす気力も失って、唇の端からよだれをこぼし続けるといった状態になってしまっていたのだ。けれど、その原因が自分だということはおくびにも出さす、しれっとした顔で淳子は美香に言った。 「美香お姉ちゃんがガラガラで呼んでくれるのが嬉しくて急いで這い這いしてきたから体がほてっちゃったのね。大丈夫、少し休ませてあげれば元に戻るわよ」 「あ、そうなんだ。真澄ちゃん、ちょっとでも早く美香のところへ来たくて急いでくれだんだ。うふふ、やっぱり真澄ちゃんは可愛い妹だね。体は大きいけど、美香の本当の妹より可愛いや」 美香はぱっと立ち上がると、すぐ目の前に座りこんでいる真澄の体をきゅっと抱きしめた。美香に比べるとずっと体の大きな真澄だが、お尻を床にぺたんとつけて座りこんでいるから、真澄の顔が美香の胸元あたりにくる。夏用の制服の薄い生地を通して、真澄の顔のほてりが美香の肌に伝わってくる。 「先生、真澄ちゃんの顔、すごく熱いよ。本当に大丈夫?」 上気してほてった上に美香から妹扱いされる羞恥に、ますます真澄の顔が赤く熱くなっていた。けれど、そんな事情など知らない美香は、再び心配そうな表情で淳子に訴えた。 「そう、真澄ちゃんのお顔、そんなに熱くなってるの。じゃ、念のために何か飲ませてあげた方がいいわね。体温が高いままだと病気になっちゃうかもしれないから。美香ちゃん、先生が飲み物を持ってくる間、真澄ちゃんの様子をみていてね」 美香の訴えに淳子はそう言い残し、内側から鍵を使ってベビーサークルを出ると、足早に教室をあとにした。 「はい、飲み物を持ってきてあげたわよ。トドラークラスの真澄ちゃんはコップだと難しいから、これで飲みましょうね」 待つほどもなく教室へ戻ってきて再びベビーサークルの中に入った淳子は、湯冷ましの水を七分目ほど満たしたプラスチック製の哺乳壜を真澄の目の前に差し出した。 「あ、美香の妹のと同じだ。ね、先生、美香が飲ませてあげてもいいでしょ?」 淳子が持ってきた哺乳壜を目にするなり、美香が顔を輝かせて言った。 「いいわよ。真澄ちゃんは赤ちゃんだから、自分で哺乳壜を持って飲むのは難しいものね。美香お姉ちゃんが優しく飲ませてあげてちょうだい」 淳子はにこやかな笑顔で言って、哺乳壜を美香に手渡した。 「うん、ちゃんと飲ませてあげる。お家でも妹に哺乳壜でミルクを飲ませてあげることあるんだけど、お母さん、美香は上手だねって言ってくれるんだよ。はい、真澄ちゃん、ぱいぱいですよ」 美香は嬉しそうな顔をして淳子に向かって頷いてから、真澄が咥えているオシャブリを優しく取り上げ、両手で持った哺乳壜の乳首を唇に押し当てた。 しかし、真澄はぎゅっと口を閉ざしてゴムの乳首を拒む。自分よりもずっと年下の幼児の手で哺乳壜の湯冷ましを飲まされるという屈辱の行為をすんなりと受け容れられるわけがない。 「先生、真澄ちゃん、ちっとも飲まないよ。喉が渇いてないのかな」 何度か真澄の唇に哺乳壜の乳首を押し当てた美香が、困った顔をして淳子に言った。 「ほんと、どうしちゃったのかな、真澄ちゃん。いいわ、どうしてお水を飲まないのか、先生が真澄ちゃんに訊いてみてあげる」 淳子は美香と真澄の顔を見比べて言ってから、園児たち全員に聞こえるよう声を大きくして続けた。 「あ、そうそう。こんなに真っ赤な顔をして暑がってるんだもの、おむつの中はたくさん汗をかいてるかもしれないわね、真澄ちゃん。もしもそうだったら、おもらししてなくても、おむつを取り替えてあげないとおむつかぶれなっちゃうわ。急いでおむつカバーを開いておむつの具合を調べてみなくちゃ」 そこまで大声で言ってから淳子は、ロンパースの生地もおむつカバーの生地も見透かしてしまうかのような目つきで真澄の股間をじっとみつめ、急に声を落とすと、今度は園児たちに聞こえないよう真澄の耳元に囁きかけた。 「今おむつカバーを開けられたら真澄ちゃん、とっても困ることになると思うんだけどな。だって、おむつの中、いやらしいお汁でぬるぬるになってるんでしょう? ねばねばの細い糸を引くいやらしいお汁を見たら、いくら小さな子供たちでも、それがおしっこや汗なんかじゃないことはすぐにわかっちゃうでしょうね。年端のいかない園児たちにそんないやらしいお汁を見せちゃってもいいのかしら? それに、このことが子供たちの口から母親の耳に入る可能性は充分あるわよね。子供たちにはそれが何なのかわからなくても、母親なら子供たちの説明でも、すぐに察しがつくでしょうね。田村先生には園児の気持ちをわかってもらうために子供たちと同じ生活を送ってもらっていますって園長や私はお母さんたちに説明しているけど、いやらしいお汁のことを知ったら、誰もそんな説明なんて信じないでしょうね。本当は田村先生、おむつが大好きで、それで自分から進んで園児になりきっちゃってるんだって思うかもしれないわね」 そう言われて、真澄は恨みがましい目つきで淳子の顔を睨みつけた。淳子の言う通り、おむつの中は愛液でとろとろになっていた。淳子が真澄の秘部を指先で責め続けたために溢れ出したいやらしいお汁が股間を覆う布おむつにべっとり付いている。おしっこや汗に比べて粘りけの多い愛液はなかなかおむつに吸い取られず、いやらしい感触をいつまでも真澄の肌に与え続けている。こんな状態でおむつカバーを開かれ、布おむつの内側まであらわになったら、照明の光を受けていやらしくてらてらと光る細い糸を引く愛液を園児たちの目にさらすことになるのだ。 「でも、おむつを開くのはやめられないわよ。さっき、私は大きな声で園児たちに『おむつの様子を調べなきゃ』って言ったんだもの。このまま私が何もしないでいると、却って園児たちがあやしみだすかもしれないわね」 淳子は含み笑いを漏らして続けた。 「……」 想像もしていなかった状況に置かれたことに気づいて、真澄は何も言えない。 「でも、醜態をさらさないですむ方法が一つだけあるわ。どんな方法だか教えてほしい?」 淳子は真澄の耳朶に熱い息を吐きかけた。まだ亢奮が鎮まりきっていない下腹部がじんと痺れて、新たな愛液がとろっと溢れ出る。 「……」 無言のまま、真澄は絶望的な表情で微かに頷いた。 「いやらしいお汁はぬるぬるだから、なかなかおむつに吸収されないのよね。でも、おしっこを出しちゃえば、おしっこと一緒にすぐおむつに吸い取られるのよ。わかるでしょ? 今おもらししちゃえば、おむつを開いても、子供たちにいやらしいお汁のことを知られずにすむのよ。子供たちは、真澄ちゃんのいつものおもらしだって思うだけだもの」 淳子は、くすくす笑いながら真澄に『たった一つの方法』の内容を説明した。 「そ、そんな……」 「朝のご挨拶の後でおむつを取り替えてあげてから、今で一時間ちょっと経ったかな。真澄ちゃんは二時間に一度くらいの割合でおもらしをするみたいだから、次のおもらしまでにはまだ少し間があるわね。でも、もう膀胱には、それなりの量のおしっこが溜まっている頃よね? いつも通りのおもらしはできなくても、意識して膀胱を緩めればおしっこが流れ出す筈よ。――とはいっても、急に出すのは難しいでしょうから、少し猶予の時間をあげる。美香お姉ちゃんに哺乳壜でお水を飲ませてもらっている間だけは待ってあげる。でも、飲み終わったら、すぐにおむつを開くわよ。お水を飲めば少しはおしっこが出やすくなるから、その間にちゃんとすませるといいわ」 そう言って、淳子は返事を待つことなく真澄の耳元から顔を離して美香の方に振り向くと、いかにも優しそうな声で言った。 「いいわよ、美香ちゃん。真澄ちゃん、みんなの前で哺乳壜からお水を飲むのは恥ずかしいからいやだって駄々をこねてたけど、美香お姉ちゃんが飲ませてくれるならちゃんと飲むって約束したわ」 「うん、わかった。それじゃ、真澄ちゃん。ミルクじゃなくてお水だけど我慢して飲みましょうね。ちゃんと飲めなくてよだれかけを濡らしたらメッ!だよ」 美香はあらためて哺乳壜の乳首を真澄の唇に押し当てた。 しばらく迷ってから、真澄の口元がおずおずと動き始め、哺乳壜の中の水が微かに減って、水面にぷくぷくと小さな泡がたった。 「そうそう、お上手よ、真澄ちゃん。喉が乾いてるみたいだから、たくさん飲みましょうね」 床にぺたんとつけたロンパースのお尻をおむつで大きく膨らませ、美香が支え持つ哺乳壜の乳首を吸って湯冷ましの水を飲む真澄の姿は、トドラークラスの名の通り、ようやくあんよができるようになったばかりの赤ん坊そのままだった。 |
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