誰も命令するな俺を却下しろマガジン 続・宇宙一気持ちよくなりやがれ
眠れぬ夜の大きなお話

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とつぜん相手の顔を見るなり、人間であるかどうかを真顔で問うた場合、それは
大変失礼ではある。しかし、証拠を見てしまった以上、当然の権利ではあった。

沈黙は続いた。3秒位だったが...。

その3秒は、宇宙創世からみればほんの一瞬にすぎない。だが、そのときの僕に
は生涯において、永遠の3秒であった。
彼はこの素晴らしい言動の持ち主をどうしてくれようかと考えていたに違いない。

「逃げられないかも」僕はマジでそう考えた。
彼のおごりだったからである。

彼は「ちょっとまて。なんだそれは」と言った。

お互いマジな顔で素晴らしい会話である。2度とできないかもしれない。

「もう一度聞きますけど」
「だからなんだって?」
「人間なんですね?」

返す返すも失礼きわまりないやつである。僕って奴は。
だが、それは僕の命に関わる重要な事であり、しいては人類存亡にも関わる重大
な質問でもあった。

彼はすごく不思議な顔をして「あのさ、いきなり何をいうんだ君は。」
まったくである。
だが、結構冷静にすこし笑いながらも、彼もまた動揺しているようだった。

僕は彼の頬を指差し「汗が緑色」と言った。

彼は「あなたは人間ですか」に続き、 「汗が緑色」と言われたのもきっと生れ
て初めてだっただろう。

変な表情をしながらも彼は目の前のナプキンで頬をなでた。
彼はじっと見て一言。

「あ、本当だ...。」





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