第6回(9月24日)進行表

1.赤ワインと白ワインの違い
1)赤ワイン(発酵後圧搾)
 ブドウの皮や種子を含んだまま発酵させるので、アルコール分で様々な成分が抽出される。皮の色素だけでなく、種子のタンニン分が抽出されて渋味・収斂性・コクのもととなる。
2)白ワイン(圧搾後発酵)
 果汁だけを分離して発酵させるので、主に果汁と果肉に含まれている成分だけを含む。

2.ブラインドテイスティング
 フランス産赤ワイン5種。古いものも新しいものも、一般に入手できるものも入手困難なものも混ざっていますが、どれが何かは言いませんので、まずは先入観なしにそれぞれのワインの印象を記録して下さい(ワインと同時に口に入れるものは水とパンのみですが、出来れば避けたほうが良いと思います)。
 一通り見たところで各自の印象について述べていただきます。

3.種明かし、解説
 ワインの名称(アペラシオン、年号、生産者)、ブドウ品種、価格等の情報をお知らせした上で各ワインの特徴について解説します。ここでワインの産地の近くで出来るフロマージュ数種を出し、ワインとの取り合わせについて考えます。また、それぞれの地方の料理や、レストランでよく合わせられる料理などについてお話しします。

※テイスティングのポイント
 ワインの特徴を客観的に評価することは大切なことですが、必ず自分の目的を考えて評価しなければなりません。消費者の場合、品質に問題がないか、自分の嗜好や目的(飲む場所や合わせる食べ物)に合うか、そして予算に合うか、また適切な価格であるかを判断します。以下の点について出来る限り印象を記して下さい。
 1)視覚、嗅覚、味覚の結果
 2)温度は適切か、また何℃くらいで飲むのが美味しいと思うか。
 3)どんな食べ物と一緒に味わってみたいか。
 4)値段はいくらくらいか。
 5)そもそも好きか嫌いか。
 6)その他何でも

第6回(9月24、25日)ワインリスト

赤ワイン1

1.Bourgogne (ブルゴーニュ)

1)Beaujolais Villages 1995
  (Bichot Meilleur)
  Cepage:Gamay
  業務用(非市販品)、同等品市価約1,800円

2)Gevrey Chambertin 1995
  (Cuvee General Legrand, Bichot)
  Cepage:Pinot Noir
  限定品3,200円、同等品市価約6千円

3)Corton Clos du Roi 1989
  (Domaine Michel Voarick)
  Cepage:Pinot Noir
  推定市価1万円以上

2.Bordeaux (ボルドー)

4)Chateau Haut−Chatain 1986
  (Lalande−de−Pomerol)
  Cepage:Merlot他
  推定市価約5千円

5)Chateau Pontet−Canet 1993
  (Pauillac)
  Cepage:Cabernet Sauvignon他
  定価7,500円

1.フランスワインの格付け

1)Vin de Table
 テーブルワインの意味であるが、庶民の日常の食卓で飲むというニュアンス。すなわち日常消費用の比較的安価なワインで、フランスの法律に従って作ったワインであれば最低限ここに格付けされる。つまり、以下に述べる上級ワインに該当しないすべてのワインがこの分類に入る。
 外国(主に旧植民地の北アフリカ諸国やEU内の安価なワイン)産をブレンドしたものは単にVin de Tableであるが、フランス産のものだけをブレンドしたものはフランス産である旨を表示できる。特定の地域で出来たワインだけを瓶詰めしたものはVin de Paysと表示され、そのあとに産出した地名(主に県名)が表示される。

2)VDQS(Vin Delimite de Qualite Superieure、生産地限定高品質ワイン)
 上級ワインのカテゴリーではあるが、以下に述べるAOCに該当しないもの。生産量は少なく、日本で見かけることは少ない。法律で指定された特定の産地のワインで、ブドウ品種と栽培法、収穫量の上限、醸造法等についての規制がある。

3)AOC(Appellation d'Origine Controlee、原産地呼称統制ワイン)
 VDQS同様法律で定められた産地で法律の規制通りに作ったワインであるが、両者の違いは品質の違いもあるにせよ、むしろ各産地の力関係や伝統によって定められたふしがある。つまり、AOCのワインはどんな場合でもVDQSよりも上等であると考えるのは危険である。また、近年VDQSからAOCに昇格するワインもあり、VDQSはますます存在意義が薄れている。
 フランスの有名な高級ワインの大部分はAOCのカテゴリーに入るものである。

4)AOCワインの中での格付け
 AOCワインといってもごく安価なもの(フランスの小売価格で10フラン以下)から、古いものでなくても非常な高値で取引されるもの(フランスで1万フラン程度)まで様々である。消費者が選ぶ目安として格付けをしようという動きは昔からあるが、それぞれの地主の思惑がぶつかってうまく行かない場合が多い。結果として、地方によってまったくバラバラな格付け制度が出来たが、制度がないところの方が多い。格付けの方法としては、アペラシオンを分ける、アペラシオンとは別に畑毎に格付けする、などの方法がとられる。

2.ブルゴーニュワインの名前の付け方、格付け等の特徴

1)アペラシオン
 単に「Bourgogne」、あるいは「Bourgogne○○」と名乗るもの、地区の名前を名乗るものは比較的安価である。上級品は村の名前、更に特級に関しては畑の名前をアペラシオンとする。
2)格付けと畑の名前の表示
 村名が明示されているワインの場合、畑毎に格付けがなされ、特級 Grand Cru、1級 Premier Cru、その他に分かれている。特級は畑の名前がそのままアペラシオンとなる(別紙、特級畑の表参照)。1級は村の名前のアペラシオンの後に畑の名前を表示する(ブレンドものを除く)。その他のものは村の名前のアペラシオンだけを表示するが、特定の畑のものであれば畑の名前も表示することもある。
3)生産者の表示
 上記の各畑が分割され、複数の地主によって所有されている場合が多いので、畑の名前だけではワインが特定できない。生産者まで見てワインを選ぶ必要がある。生産者に関する公式の格付けはないが、ワイン評論家達による評価は確立しており、名高い生産者のものは同じ畑でも高い値段で取り引きされる。
 一方、生産者が自分の名前で瓶詰めせず、大手の業者が酒を買い集めて瓶詰めするものもあり、消費者はその業者の名前で判断することになる。このような業者をネゴシアン(negociant)と呼ぶ。逆に、個人の生産者の農家をドメーヌ(domaine)と呼ぶ。一般的にはドメーヌものの方がネゴシアンものよりも高価である。

3.ボルドーワインの名前の付け方、格付け等の特徴

1)アペラシオン
 単に「Bordeaux」、あるいは「Bordeaux○○」と名乗るものは比較的安価であるが、地区の名前をアペラシオンとしているものでも上級品がある。地区によっては村の名前をアペラシオンとすることがあるが、畑の名前をアペラシオンとすることはない。
2)格付けと畑の名前の表示
 地区によって価格の差が激しく、上級の地区の名前を記憶するしかない。また、ボルドーでは畑の名前は所有者毎に異なり、多くはシャトー Chateau何とかと名乗る。上級の地区の中にはシャトー毎に格付けがなされている場合があるが、格付けの仕方は地区毎にばらばらである(テキストの一覧表参照)。
3)生産者の表示
 シャトーの名前が表示されていればそれがそのまま生産者を特定する情報となるが、所有者の個人名や、シャトーを所有する会社名も表示している。特定のシャトー名を名乗らず、ネゴシアンブランドで瓶詰めされるものもある。

ワインと食べ物の合わせ方の基本
 〜 重いワインには重い食べ物、軽いワインには軽い食べ物

 重厚な味わいのワインには濃い味付けの料理、においの強いチーズなどが良く合う。逆に軽い味わいのワインには軽い料理などが合う。肉には赤、魚には白というのも一般に肉料理も赤ワインも重く、逆に魚料理や白ワインは軽いと言うことである。
 赤ワイン、あるいは白ワインどうしでも重厚なものと軽いものがあるが、それぞれ食べ物の味の濃さによって選ぶ。例えば、生ガキや海の幸の盛り合わせにはすっきりした白ワインを選び、濃厚なソースがかかったヒラメやエビ等の料理には重厚な白ワインを選ぶ。場合によっては軽い赤ワインを合わせることも考えられる。赤ワインの場合でも、濃厚な味付けのシチュー類(赤ワインで煮込んだものや、場合によっては血を入れたものなど)には重厚な赤ワインを、あっさりした味付けの料理には軽い赤ワインを選ぶ。

本日のフロマージュ

1.Epoisses affinees au Chablis
 ブルゴーニュの中心、コート・ドール県のほぼ全域がエポワスのAOCに指定されていて、牛乳を原料にした軟質のウォッシュタイプを生産している。AOCのエポワスはマール・ド・ブルゴーニュ(ブルゴーニュワインの搾りかすを蒸留したブランデー)でチーズを洗うが、これはシャブリワインで洗ったもので、AOC規格ではない。エポワスはにおいが強くコクがあるがまろやかな味わいで、特にブルゴーニュの赤ワインに合うと言われるが、今回のものはAOCのものよりもまろやかな味わいで、比較的日本人向きと言えよう。

2.Roquefort AOC
 フランスの中・南部のかなり広い範囲がAOCに指定されていて、ボルドーワインの産地であるジロンド県の一部まで含まれている。羊乳を原料とする青かびチーズ。濃い味わいのためコクのある赤ワイン全般に良く合うが、塩味が強いので、ボルドーの甘口ワイン、ソーテルヌの上級品にも良く合う。シャンベルタンに合うとか、コート・デュ・ローヌの重い赤に合うなどの話がよく語られるが、勿論ボルドーの赤にも良く合う。



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