第7回(10月8、9日)ワインリスト

赤ワイン2

1)Chinon 1996
  (Domaine de la Chapelle)
  Cepage:Cabernet Franc
  定価 2,233円

2)Saumur Champigny 1989
  (Domaine des Elettes
  Cepage:Cabernet Franc,Cabernet Sauvignon
  市価約 3,000円

3)Coteaux du Languedoc, La Clape 1995
  (Chateau Rouquette sur Mer)
  Cepage:Carignan、Grenache等
  非市販品、レストラン納入価格 1,748円

4)Cahors 1990
  (Chateau de Chambert)
  Cepage:Malbec, Merlot, Tannat
  非市販品、レストラン納入価格 2,913円

5)Crozes−Hermitage 1993
  (Albert Bichot)
  Cepage:Syrah
  定価 2,136円

6)Chateauneuf−du−Pape 1995
  (Domaine de Bois Dauphin)
  Cepage:Grenache他多数
  市価約4千円

ワインの適温と成分の関係

 ワインの適温はワインの種類によって異なる。重い赤ワインは16℃以上、同じ赤ワインでも軽いものは10℃程度から、白ワインでも重いものは14℃くらいまで、甘口のものは6℃以下と様々である(テキスト参照)。
 このような違いはワインに含まれる成分の種類と濃度によって異なる。以下にワインに含まれる代表的な成分と温度の関係について記す。

1.糖類
 適度に成熟したブドウの果汁にはブドウ糖と果糖がほぼ半々に含まれているが、これを発酵させるとブドウ糖が先に消費される。補糖をする際にはしょ糖を加えるが、これは分解されてブドウ糖と果糖になり、やはりブドウ糖が先に消費される。したがって、甘口ワインは特殊なもの(発酵させていない果汁をブレンドするタイプのもの、フランスではピノー・デ・シャラントやラタフィア)を除いて残存している糖分はすべて果糖である。
 糖分を含む甘いものは一般に冷やした方が美味しい(しょ糖を加えた料理、菓子や飲料は温かいものもある)が、特に果糖は冷やした方が良い。したがって、甘口のワインはポルトガルのポートワイン(タンニンを含む重いタイプの赤が多い)を除いてすべて冷やして飲む。

2.酸類
 酸には高温の方が美味しく感じるもの(乳酸、コハク酸など)と、低温の方が美味しく感じるもの(リンゴ酸、クエン酸など)がある。乳酸などは室温近くではまろやかな旨味を感じるが、リンゴ酸などは低温で爽やかな酸味となるのである。したがって、MLFを行ったワインは比較的高い温度で、MLFを行っていないワインは低い温度で飲む。
 赤ワインはブドウを完熟させてから摘むので酸はもともと低い。そして基本的にMLFを行うのでリンゴ酸などは微量しか含まれず、冷やさない方が良い。白ワインでもブルゴーニュなどの重いタイプのものはMLFを行うが、ミュスカデのような軽快なワインはMLFを行わずに爽やかな酸味を残すことが、それぞれの適温に反映されている。

ワインの分析値の例
ワインの種類酒石酸リンゴ酸クエン酸乳酸コハク酸タンニン
シャブリ2.451.100.083.000.500.27
ミュスカデ2.033.850.300.110.120.25
ボルドー赤2.150.070.051.620.661.96
3.タンニン
 タンニンは冷やすと渋味が増し、飲みにくくなるが、室温に近い温度では比較的まろやかに感じる(上等の抹茶や煎茶を冷やして飲むと非常に渋く感じるのもタンニンのこの特性によるものである)。したがって赤ワインは比較的高い温度で飲むのである。
 なお、南のワインの十分に熟したタンニンはやや低温で飲んでもまろやかな味わいであるが、ボルドーなどのきびしいタンニンは低温では飲みにくい。

ワインの熟成について

 若いワインと古いワインは色・香り・味の全ての点で異なっている。
 色に関しては、赤ワインの色素は次第に重合、あるいは沈殿して色が変化するし、またどんなワインでもワイン中の成分が反応して褐変現象が起こる。したがって、醸造直後の赤ワインは鮮やかな赤紫色をしているが、次第に赤色になり、更に熟成が進むと褐色がかって色が薄くなってくる。一方白ワインは最初薄い黄色であったものがだんだん濃くなり、次第に褐色がかってくる。
 香りの変化は要因が無数にあって解明されていない部分も多いが、最初のフルーティーな香りの成分が徐々に分解し、逆にワイン中の成分が結びついて新しい香気成分を生成して熟成香となる。
 味に関しては、アルコールと水の会合やタンニンの重合などによって味がまろやかになる。香りの変化が味の印象に与える影響も少なくない。

本日のフロマージュ

1.Sainte Maure de Touraine AOC
 シノンと同じ、ロワール河畔のトゥーレーヌ地方で産出。山羊乳を原料とし、250g程度の円筒形に成形する。純白で柔らかいもの、木炭を掛けたタイプのもの、熟成して表面に青カビが生えて固くなったものなど、様々な状態で楽しめる。ロワール河中流の赤ワインに限らず、フランス各地のワインと楽しめる。

2.Petit Livarot AOC
 ノルマンディー産で牛乳を原料とするウォッシュタイプ。カマンベールよりも厚めの円筒形で、側面にひもが巻いてある。同じのルマンディーのポン・レヴェックなどに比べると臭いが強い。
 乳製品の宝庫のノルマンディーにはワインはないが、様々なタイプのフロマージュは各地のワインと合わせられる。



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