第2回(1月28日)ブルゴーニュ

1.ブルゴーニュ地方とブドウ品種

1)ブルゴーニュ地方とは
 現在のブルゴーニュ地方は行政上Yonne、Cote d'Or、Nievre、Saone-et-Loireの4県であり、ワイン産地としてのブルゴーニュ地方も基本的にはこの4県(但しNievre県はワインを作っていない)である。しかしRhone県のワイン(ボジョレーなど)も含めてブルゴーニュ地方ということもある。今回はボジョレーも含めて扱うことにする。

2)ブドウ品種
 ブルゴーニュワインはボルドーとは異なり、主として単一の品種でつくられることが特徴である。以下に代表的な品種を記す。
 シャルドネ Chardonnay :ブルゴーニュの上質な白ワインはシャルドネ種でつくられる。北部のシャブリから、ボジョレー迄つくられているが、それぞれの風土で微妙に異なった味わいを持つ。今日では世界中で上質なワインを生み出しているので、そういう意味では世界を代表する白ワイン用ブドウ品種ということさえ出来る。
 アリゴテ Aligote:安価な白ワイン用で、多産性で酸味が強く、質的に劣ると言われていたが、近年良質なワインを産み出す生産者も現れている。他産地では殆ど見掛けない。
 ピノ・ブラン:ブルゴーニュの白ワインはシャルドネ100%とよく言われるし、大部分はその通りである。しかしこの品種を1割程度加えることで、独特の深い味わいを出しているワインもある。
 ピノ・ノワール Pinot Noir :ブルゴーニュの上質な赤ワインはピノ・ノワールでつくられる。他産地でも栽培は試みられたが、シャルドネとは異なり成功した例は稀である。
 ガメー Gamay:ボジョレーおよび一部の安価なワインに用いられる。ロワール川中流でも少量作られるが、他産地では殆ど見掛けない。

2.ヨンヌ県

 ヨンヌ県はパリから百数十q南東にあり、オーセール Auxerre が県庁所在地で、その近辺がワイン産地になる。アペラシオンはシャブリ Chablis 村及び周辺の白ワインが Chablis等、イランシー Irancy 村周辺の赤、ロゼがBourgogne Irancyとなる。その他のワインは単に Bourgogne 等になる。
 以下にシャブリについて述べる。
1)シャブリのAOC
 シャブリの畑は4段階に格付けされ、以下のように格付けがそのままアペラシオンになる。
 Chablis Grand Cru:7つの畑およびその中にある特別の区画の Moutonne及びClos des Hospices がこのアペラシオンを使用する。
 Chablis Premier Cru:1級に指定されている畑がこのアペラシオン。有名な畑は Fourchaume、Vaillon など。
 Chablis:普通のシャブリ。生産量も最も多い。
 Petit Chablis:Chablis 周辺でやや格下の扱いを受ける畑のワイン。量はそれほど多くない。

3.コート・ドール県

1)北部
 コート・ドール県がブルゴーニュワインの最高の産地といえる。その中でも優良産地は国道74号線の西側の丘の斜面にあり、この地区は中心のニュイ・サン・ジョルジュ Nuits-St-Georges の名前からコート・ド・ニュイCote de Nuits と呼ばれる。生産量の大部分は赤ワインで、特級の赤ワインは殆どこの地区である。白ワインは少量であるが、レベルは高い。
 丘よりも西側はオート・コート・ド・ニュイ Haute・・・ と呼ばれる比較的安価なワインの産地で、一方国道よりも東側は単なる Bourgogne などのアペラシオンとなる。

2)南部
 同様に優良産地は中心都市のボーヌ Beaune の名前を取ってコート・ド・ボーヌ、丘の西側がオート・コート・ド・ボーヌ、国道の東側が Bourgogne などのアペラシオンになる。コート・ド・ボーヌは白ワインも多く、特に世界最高の辛口白ワインの産地として名高い。

4.ソーヌ・エ・ロワール県

1)北部(コート・シャロネーズ)
 北部の中心都市シャロン・シュール・ソーヌ Chalon-sur-Saone の西側に広がるワイン産地をコート・シャロネーズ Cote Chalonnaise と呼ぶ。各村のアペラシオンがある。

2)南部(マコネ)
 南部の中心都市マコン Macon 周辺一帯のワイン産地をマコネ Maconnais と呼ぶ。有名な白ワインのプイイ・フュイッセ Pouilly-Fuisse のように独自のアペラシオンを持つところもあるが、大部分は Macon (赤、白)や Macon-Villages(白)などになる。

5.ローヌ県(ボジョレー)

 マコンのすぐ南、県境辺りからリヨンの手前までの範囲がボジョレーワインの産地である。アペラシオンは Beaujolais の他、北部の品質が高いと言われる村々のワインは Beaujolais-Villages、その中でも10の村は独自のアペラシオンを持つ。

6.ブルゴーニュ地方全体のAOC

 Bourgogne:現在流通しているものは大抵赤がPinot Noir、白がChardonnayでつくられていて、品種名が表示されている。村や地区の名前のアペラシオンを付けられないワインと考えて良い。
 Bourgogne (Grand) Ordinaire:より品質が劣る(ブドウ糖度、アルコール度数が低い)ワイン。品種は規定上 Bourgogne とほぼ同じであるが、通常は複数のブレンドで表示されない。
 Bourgogne Passe-tout-grains:Gamay を主体に Pinot Noir をブレンドしたワインで、Pinot Noir を1/3以上使っている。
 Bourgogne Aligote:アリゴテ種の白ワイン。Bouzeron 村周辺の上質なワインは Bourgogne Aligote Bouzeron となる。
 Cremant de Bourgogne:シャンパーニュとほぼ同じ製法でつくられる発泡性ワイン。

7.ブルゴーニュワインの格付

 一般的にブルゴーニュ全体のアペラシオンよりも地区名や村名などを細かく表示したワインのほうが上級になる。

1)ヨンヌ県
 前述のように、シャブリは格付けがそのままAOCになっている。

2)コート・ドール県
 秀逸な畑は特級に指定され、独自のAOCとなる。一級畑に指定されたものは村名アペラシオンの他に1er Cru と表示し、単一の畑の場合、畑名を表示する。それ以外のものは単に村名などのアペラシオンを表示するが、単一の畑の場合には畑名を表示しても良い。但し、1er Cru でない畑名はアペラシオンの半分以下の大きさの文字で表示しなければならない。

3)ソーヌ・エ・ロワール県
 特級畑は存在しない。1級畑についてはコーオ・ドール県と同様である。

4)ローヌ県
 ボジョレーは前述の通り、村名AOCの10の村が最高、北部の Villages が続き、その他は単なる Beaujolais となる。普通のボジョレーでも一定の基準を満たすものは Beaujolais Superieur というのもあるが、生産量は少ない。

ワインリスト

1)Bourgogne Aligote Bouzeron 1996
  Clos de La Fortune Domaine Chanzy
  Cepage:Aligote  非市販品、レストラン納入価 2,600円

2)Chablis Premier Cru 1996 Les Lys
  Domaine Long-Depaquit
  Cepage:Chardonnay  約4千円

3)Meursault 1995:Albert Bichot
  Cepage:Chardonnay  約5千円

4)Brouilly 1995:Chateau de La Chaize
  Cepage:Gamay  非市販品、レストラン納入価2千円

5)Mercurey 1er Cru 1992 Clos Tonnerre
  Domaine Michel Juillot
  Cepage:Pinot Noir  約4千円

6)Clos de Vougeot 1994:Domaine du Clos Frantin
  Cepage:Pinot Noir  約1万円

フロマージュ

1)コンテ Comte AOC
 サヴォア産で、フランスでは珍しいセミハードタイプ。サヴォア、ジュラ、ブルゴーニュなどに限らず、様々なワインや他の飲み物にも合うと言われる。

2)ルブロション Reblochon AOC
 これもサヴォア産で、ウォッシュタイプだが、比較的まろやか。

3)フルム・ダンベール Fourme d’Ambert AOC
 オーヴェルニュ地方の青かびタイプ。ロックフォール等に比べて塩味が薄く、より繊細な味わいと言われる。



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