TATEYAMA
雄山 (3003m)

室堂平 (2450m)

大汝山 (3015m)
   みくりが池と立山連峰
平成16年8月8〜10日, 二泊三日
   ★ 総所要時間: 9 時間 15分
   ★ ハイキング標高差: 741 m
    行程行程・ハイキング
  行程ルートマップ


立山黒部アルペンルート、言わずと知れた日本屈指の山岳観光コースである。
富山県側の立山と長野県側の扇沢の間を、幾つもの乗り物を乗り継いで、北アルプスの一角
を横断する。誰もが簡単に、雲上の高原を訪れることができるのだ。
我が家としても、ここを訪れるのは2度目である。1回目は1994年に立山側から室堂に入り、
ルート全線を利用し扇沢へ抜けた。このときは単純に観光目的であって、室堂平の散策だけ
で山登りはしなかったのだが、今回のメインは勿論、立山登頂である。

          黒部ダムから望む黒部湖  

 帰省先の長野市内から大町アルペンラインを抜けて扇沢に到着、無料の大駐車場に車を
止める。朝の7時30分頃で、すでに満車に近い状態だった。
扇沢から、最初の乗り物は関電トロリーバスで、後立山連峰の「赤沢岳」(2678m)をくぐり抜け
て「黒部ダム」(1470m)に出る。 天気はまずまずで、いきなり立山連峰黒部湖の素晴らし
い景観が飛び込んできた。一日目は山登りの予定はないので、ダムの展望台に上がったりし
て、おもいっきり "観光" する(笑)。
日本一のダムの上を歩いて渡り、次は黒部湖駅からケーブルカーで 「黒部平」(1828m)に出
る。立山連峰がいちだんと近くなり、大迫力で迫っている。 続いて立山ロープウェイにて「
観峰
」(2316m)に上がる。ここからは、過ぎてきた後立山連峰の景観が素晴らしい。
そして、大観峰からは登頂目的とする立山の直下を走るトンネルトロリーバスに乗り換えて、
室堂」ターミナル (2450m)に到着した。

      黒部平より立山連峰とロープウェイ大観峰駅

 室堂平は晴れていたが、山頂部にはガスがかかっており、景観はイマイチである。名水百選
にも選ばれている「立山玉殿の湧水」で喉を潤し、まずは室堂ターミナル横の「立山自然保
護センター
」に立ち寄り、室堂周辺のお勉強をした(笑)。
本日の宿泊場所は、室堂平の一番奥側にあるので、一日目は室堂平周辺を散策することにし
た。 有名な「みくりが池」を通り、「地獄谷」と呼ばれる有毒ガスの噴気する一帯へと向かう。
この辺りは日本最高所の温泉があり、日帰り入浴もできる。 
 地獄谷を抜けた先が「雷鳥平」で、本日の宿「雷鳥沢ヒュッテ」にてチェックインを済ませる。
一息ついた後に、再び散策に出かけたところ、極めてラッキーなことに、リンドウ池の近くで
の家族(?)に出会う事ができた。 見張り役の親鳥が岩の上に立ち、他の鳥達はハイマツの
中を何やら突きながら歩き回っている。10羽ぐらいいただろうか、親鳥が我らを発見しても逃
げようとしないので、しばし観察することが出来た。

         
          地獄谷から雷鳥平へと向かう       雷鳥の家族(?) に遭遇

 宿の方は、一応山小屋ではあるが個室が多数確保され、水の使用も高地でありながら豊富
なため、特に制限がされていない。 それに何といっても、24時間いつでも入れる温泉付であ
る。充分に満足顔のママであった(笑)。 夕食後、夕焼けと共に一瞬だけ立山の山頂付近に掛
かっていたガスが取れたのだが‥、明日の天候が心配である。

 二日目の早朝、雷鳥沢ヒュッテを出立し室堂平へ向かう。山頂部のガスは次第にあがってき
ていた。 玉殿の湧水をたっぷりとペットボトルに詰め込んで、いよいよ立山の山頂を目指して
出発だ。
    
   立山 (右端から、雄山, 大汝山, 富士ノ折立)     夕焼けの立山(右)と、真砂岳 (雷鳥平より)

 北アルプス北部に位置する「立山」は、富士山白山と共に、日本三名山(霊山)に数えられ
る山である。 「立山」と名の付く単独の山はなく、「雄山」(3003m), 「大汝山」(3015m), 「富士ノ
折立
」(2999m) を総称して「立山」と呼ぶ。 最高峰は3015mの大汝山であるが、主峰は「雄
山」とされており、雄山神社の社殿が山頂に建っている。
また、室堂平を囲むように聳える 雄山と「浄土山」(2831m), 「別山」(2874m) をまとめて「立山
三山」
という。 立山連峰は秀峰「剱岳」(2998m)へと続き、これらが黒部峡谷を挟んで後立山
連峰と対峙する。 昨年のちょうど今頃、その後立山連峰の一座「唐松岳」山頂から眺めてい
たところに立っているというわけだ。

      
        一ノ越(2700m) に向かう           一ノ越から雄山への稜線を見上げる

 室堂から整備されたセメント詰めの石の歩道を、「一ノ越」方面の矢印に従って進む。途中、
立山室堂山荘 (本日の宿) と浄土山への分岐をすぎ、緩やかに登っていくのだが‥、このセメ
ント詰めの歩道は実に歩きにくく疲れる。 室堂平内の観光コースだけなら許せるが、その先は
必要ない‥ていうか、過剰整備だと思う。
一ノ越は、浄土山と雄山の鞍部にあたる尾根上で 標高2700m、山荘とトイレが整備されてい
る。 歩道の登りは徐々にキツクなっていき、ジグザグに何度も折り返しながら歩くのは長くて
ちょっと辛い。 途中の祠堂で一息ついて更に登り、ようやく一ノ越にたどり着いた時にはヘト
ヘト状態だった(笑)。
ここも眺めが良く、風も気持ち良かったが、全般に雲の量が多く、後立山連峰や槍穂高連峰
など遠方の景観は得られなかった。 そして、早くも山頂方面に向けてガスが湧き上がって来
ていたので、小休止だけして雄山山頂へと急ぐ。
 ここから稜線を見上げると、すでに山頂部が見えている。この稜線上をひたすら登るのだ
が、いきなりの急登で岩混じりのガレ場だ。 岩に付けられたペンキの印を目安に、グングン
高度を上げていく。 山頂まではずっとこの調子で登るが、途中には二ノ越三ノ越四ノ越
休憩ポイントがあり、その都度下界を覗くと室堂平がみるみる小さくなっていくのがわかり、疲
れを少し癒してくれた。
足元の注意は最後まで気を抜けない、慎重に進み一ノ越から約1時間で、ようやく雄山の山頂
広場(2992m)に到着した。 雄山神社の立派な社務所がデンと居座っており、神社グッズが多
数販売されていた。

      
     雄山・山頂広場から見た最頂部の社殿         雄山・山頂から室堂平を眺める

 雄山の地図上の山頂は、ここの2992mだが、最高点は社務所脇の鳥居をくぐった先にある
岩峰の頂で、3003mの場所である。 
だが、この頂に峰本社の社殿があり、参拝料 (500円)を払って鳥居をくぐらないと登ることがで
きない!! 「なんでーっ ?!! 」と、個人的には言いたい事が山ほど (!?) あるのだが‥‥、やめて
おこう。 三人合わせて1500円も払うツモリはないので、無視して先に進むことにした。
さすがに3000m峰の頂から見下ろす室堂平は絵のように小さく見え、高さを実感する。だが、
急速にガスが広がってきており、残念ながら展望できるのは室堂平だけで、周囲の山岳展望
は殆んどできなかった。すぐ隣の後立山連峰すら、雲に隠れて見ることができない。

           雄山から、大汝山へ縦走

 鳥居の脇からいったん僅かに下り、稜線沿いに進んで立山の最高峰「大汝山」(3015m)へと
向かう。 雄山までは、沢山の登山者が登って来ていたが、この先は極端に人の数が減った。
殆んどの人は、雄山からそのまま引き返すようだ。
約20分ほどで大汝山・山頂に到達。ママとマユにとっては、初の "3000m越え" 達成である。
(祝!!)
 だいぶガスが広がってきており、360度の大展望ができないのが真に残念で悔しいが、薄い
ガスなので時々明るくなって、近場の景観だけでも見れるのがせめてもの救いだ。
狭い3015mの頂から、黒部湖が見えた。鮮やかなコバルトブルーの湖水が美しい。 周りのガ
スがなくてスッキリ晴れ渡っていたら、この頂での高度感は相当なもので、例によってママの膀
胱もキュキュッとしていたに違いないと思った(笑)。

      
      富士ノ折立・山頂から望む黒部湖       立山から真砂岳へと続く鞍部の稜線

 続いて山上の稜線を進み、第三の山頂 「富士ノ折立」(2999m)へと向かう。 
ここも岩を積み上げたようなピークがあり、ここからも黒部湖と後立山連峰の一部分が見下ろ
せた。 これで、立山の稜線を渡りきった事になる。
 しばし休んだ後、富士ノ折立を下り真砂岳との鞍部に出る。岩がなくなりザレ地の稜線に変
わり、しばらく進むと右側には大きな雪渓が残る「内蔵助カール」が見えた。 
長い稜線を歩き真砂岳への登りに差掛かった時点で、稜線から外れて、下山することにした。
このまま縦走すれば、真砂岳、別山と渡り歩いて雷鳥平に下る大周回路となるが、インチキ山
屋としては そろそろスタミナ切れが迫っているので(笑)、エスケープルートとして知られる「大走
りルート
」を利用して雷鳥平に戻るコースを選択した。

     
       大走りルートから下山する             長い下り坂を、ひたすら下る 

 2860m地点の大走り分岐から真砂岳の急斜面をトラバースするように急降下していく。最初
の1時間ほどはザレ場をハイマツ帯に沿って、ほぼ直線的にグングン下る。
下りは、本当に早いものだ。一生懸命に登った山頂がみるみる遠くなってゆくのを見ると、なん
だか寂しいようなもったいない様な、複雑な心境だが仕方がない(笑)。
下っても下っても‥、まだ下る。 途中から岩混じりのルートに変わり、浮石も多く歩きにくい箇
所も通過したりして、いよいよ膝や足先にかなりの負担がかかり始めていたが、分岐から2時
間あまりでやっと平坦な場所まで下りきった。 「賽の河原」と呼ばれる広い草原である。
 しかし終点の室堂山荘までは、まだかなりの距離を残している。 冷たく清らかな水が流れる
沢を渡り、ようやくカラフルなテントが並ぶ雷鳥沢キャンプ場にたどり着いた。 キャンプ場のト
イレを借り、小休憩する。 
あとは雷鳥平に戻り、ふたたび地獄谷を通過して室堂平に出て、本日の宿泊先である 「立山
室堂山荘
」 に入った。 三人ともヘトヘトの状態だったが、ここも山小屋とは思えない立派な施
設で、個室利用で風呂もあり‥‥と、昨日以上に快適であり、充分に疲れを癒してくれた。

             賽の河原

 夕刻から雷が鳴り、ついに雨が降り出した。 何だかんだと言っても、雨にあわなかった分
ラッキーだったと思うことにした。 ついに立山全景の満足できる綺麗な写真も撮れずじまいだ
ったが、充実した山歩きができたと思う。
 翌朝、小雨の残る立山室堂高原を後にして 帰路へと急いだ。

                                            (2004.8.16 記)


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