●平成16年9月19日(日), 現地日帰り ★ 総所要時間: 4 時間 30分 ★ ハイキング標高差: 609 m
北信濃を代表する、標高1300m〜2300m級の広大なリゾート地が志賀高原である。長野冬
季オリンピックでの競技会場としても利用され、むしろスキー場としての知名度の方が高いの かもしれない。夏の志賀は、深い森林地帯に大小の湖沼や湿原をたくさんちりばめた、自然の 魅力あふれるさわやかな高原である。 万座、草津、野沢、渋、湯田中、小布施‥といった有名所の温泉郷に囲まれ、浅間・白根
火山ルートにも隣接している。自分はスキーをしないので夏場のみだが、ハイキングやドライ ブ、観光目的などで幼少時代から、何度もこの地を訪れている。 今回は、その志賀高原のほぼ中央に位置する志賀山への初登頂をめざした。
![]() 志賀山は「志賀山」(2036m)と「裏志賀山」(2037m) の二つの峰からなる双子山で、その差は
1mしかない。学術的には、渦を巻いて流れた溶岩流から形成された非常に珍しい山だといわ れており、その跡に茂る針葉樹の原生林帯は見事である。 名前からして志賀高原を代表する山でありながら、最高峰の「横手山」(2305m)や「笠ケ岳」
(2076m),「岩菅山」(2295m)などに比べると、あまり目立たない存在であるのが少し残念な気も するが、周囲に数多くの沼池を抱いた山容は、最も志賀高原らしい山だと言えよう。 今回は、横手山山頂を起点として、「鉢山」を経由し「四十八池」を抜けてから、志賀山の二
峰に登頂し、「渋池」と「硯川」に至る、全長約8kmの周回コースをとった。 横手山・山頂ヒュッテ
![]() 上信越自動車道・信州中野ICをおりて、「志賀草津道路(国道292号線)」を走り、今回のゴー
ル地点である「硯川」の無料Pに駐車する。ここから、横手山登山口のある「渋峠」(2172m) ま では、路線バスを利用して移動する事にした。(渋峠にも無料Pがあるので、直接ここまで来て 駐車しても良いのだが、山歩き後に車を回収しに戻るのは気分的にも疲れるので、先にバス で移動する手段をとった。) ちなみに、渋峠は日本の国道では最高地点という事だ。 ここから、2305mの横手山山頂までは「渋峠第一リフト」にて労せずして登頂できる。横手山
には、この他に横手山ドライブインのある「のぞき」(地名です!!) からも「スカイレーター」と「横 手山リフト」を乗り継いで、歩かずに登頂できる。 誰もが簡単に頂上の展望台に立てるので、観光客がウヨウヨしていたが、山頂からの展望は
文句なく素晴らしい。近くには笠ケ岳が美しく、目指す志賀山や「白根山」(2171m)も一望の下 だ。北アルプスも横一列に展望できるはずだが、残念ながら雲が絡んで見えなかった。 大いなる展望を楽しんだ後は、同じく山頂内にある「横手山山頂ヒュッテ」に向かう。ここは、 日本一高所にある手作りパン屋さんとして有名で、パンを買うだけの目的でわざわざ訪れる人 もいるそうだ。実際にとっても美味しく、特に “きのこ雲セット“ は最高である。外のテラスで展 望を楽しみながら、遅い朝食と早い昼食を同時にとった !? 殆んど歩いてもいないのに、いきなりの大休憩である(笑)。
![]() ヒュッテの横から、横手山北面のシラビソ樹林帯を一気に急下降する。やがて林が開け、横
手山スキー場に出る。ゲレンデの先には、目指す志賀山と笠ケ岳の姿が良く見えている。 しばらくゲレンデ沿いに歩いて、再び樹林帯に入り「彦兵ェ尾根」を下る。途中、小さなピーク
を2回越えると「草津峠」と書かれた場所を通過し、登り勾配に変わる。その先の分岐を右に 向かうと、鉢山への急登となり15分ほどで、樹林に囲まれた鉢山の山頂(2041m)に至る。立札 がなければ山頂である事に気づかない様な所である。 四十八池と志賀山 (右が裏志賀山)
![]() 山頂を過ぎるとしばらく急な下りが続き、樹林を抜けたところが標高1900mの高層湿原「四十
八池」だ。”池めぐりハイキングコース“ のハイカー達とも合流し、少し賑やかになる。池の正面 には志賀山の二つの峰が、大きく立ちはだかっている。湿原の規模は大きくないが、小さな池 があちこちに散らばって清らかな水を湛えていた。花の季節ならば、一面に湿生植物が咲き乱 れ、もっと美しかったに違いない。 湿原内を縦貫する木道を通り抜けてゆくと、いよいよ志賀山の登山口となる。「大沼池」との
分岐を左方向に向かい、志賀山神社の鳥居をくぐって進むといきなり急登が始まる。ここから が今回のメインで、一番のガンバリどころだ。ぐんぐんと標高が上り、振り返ると四十八池の湿 原がまるで箱庭のように小さく見え、さらに右下には「黒姫池」が姿を現す。 ひとしきり登り切ったところで、志賀山と裏志賀山の分岐点に出た。横手山や鉢山、四十八池
と、過ぎてきた景色が一望の下である。 ![]() (奥から、横手山, 鉢山, 湿原, 黒姫池)
まずは、裏志賀山へと向かう。分岐から10分ほどで裏志賀山山頂(2037m)に到着。 志賀山神社の祠がある山頂部は展望がきかないが、少し先に樹林の切れ間があり、ここから
マリンブルーの鮮やかな大沼池が見下ろせた。岩菅山や館山方面の山岳展望も見事だ。 分岐点まで戻って、次は志賀山の山頂(2036m)へと向かう。いったん鞍部まで急下降すると、
今度は「志賀の小池」と名づけられた神秘的な小池が見え、志賀山山頂へと続く裸地の尾根 を登り返す。 三角点のある山頂の少し手前が丘状になっていて、そこからは横手山方面の展望が素晴らし
いが、山頂部は樹林が多く展望はイマイチだった。 ![]() ![]() 裏志賀山から望む、大沼池 志賀山山頂へと向かう
志賀山からの下りは、岩場まじりの暗い樹林帯で、かなりの急勾配が続く。膝に負担がかか
ってきており、少し痛みを覚えたのでゆっくりと下る。 薄暗い森の中の「釜池」を過ぎると下り勾配も緩やかになり、やがて池めぐりコース遊歩道と
の合流点に出る。あとは快適なハイキング遊歩道を進む。途中の「渋池」は静かな雰囲気で、 心まで休まるような感じだ。池の後ろには横手山がクッキリと見えている。 渋池を過ぎると、小じんまりとした「前山湿原」に出て、本コースもいよいよ終点が近い。ここ
からも横手山の眺めがきれいだが、かなり遠く離れて見える。あの山頂からここまで歩いてき たことを考えたら、急に足腰に疲れが襲ってきた(笑)。 ![]() 前山湿原から終点の硯川までは、「前山リフト」が架けられている。本来ならば歩いて帰るべ
き所だったが、迷わず! リフトを利用した(笑)。 リフトを降りた場所は、最初に車を停めた硯川Pのすぐそばである。コースの終点に車を停め
ておいたのは、やはり正解だった。硯川の近くには「熊の湯・ほたる温泉」の源泉があり、温 泉宿がたくさん集まっている。当日はここに宿をとっていたので、早速チェックインして、天然温 泉で疲れを癒す事にした。 湯は掛け流しの緑がかった乳白色の硫黄泉で、まさに ”極楽” のひとときであった。(笑)
(2004.9.27 記)
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