●平成16年5月23日(日), 日帰り ★ 総所要時間: 3時間 55分 ★ ハイキング標高差: 135 m
日本百名山に数えられる草津白根山とは、中央の鞍部にある「逢ノ峰」(2110m)を隔てて南
北に対峙する双子火山を中心とした、広大な山域の総称である。南側の火山が最高峰の「本 白根山」(もとしらねさん,2171m)、北側が単に「白根山」(2160m)で、これらが正式な名称であ る。 白根山と言えば、南アルプスにある日本第二位の高峰「北岳」を含む白根三山や昨年登頂
した栃木県の白根山(日光白根山)など、有名所だけでも各地に幾つもある。いずれも正式に は単に「白根山」であって、これらと区別する為に呼ばれる呼称が「草津白根山」という訳だ。 ![]() この一帯は、草津、万座、志賀といった有名所の温泉郷に囲まれた一大観光地である。度
重なる火山活動によって形成された幾つかのピークは、標高差があまりないので全体が大き な台地のようだ。 志賀草津道路により2010mまで、車で簡単に登れるので主要観光コースとしていつも賑わっ
ているが、それは北側の白根山にある火口湖「湯釜」がメインである。エメラルドグリーンのと ても美しい神秘的な湖は、一度見たら忘れないであろう。自分は幼少の頃からここへは何度も 訪れているが、昔は水に触れる距離の湖畔まで降りられた。だが、美しさとは裏腹に、この水 は湖底の噴気孔から出る硫化水素によりpH 0.86と世界一の強酸性湖である。危険なため現 在では立ち入り禁止となっており、展望所から眺められるだけである。 家族としては近いところで1997年に来ているが、強烈な印象からかマユ(当時4歳)もハッキリと
記憶していた。 観光客で賑わうのはここと弓池までで、南側の主峰・本白根山に向かう人は多くない。 今回のルートとして選択したのは、勿論こちらの方だ。高低差は殆んどないし、景観の極めて
美しいところなので自然をたっぷり楽しみながら快適なハイキング‥‥、のハズだったのだが ‥‥?! ![]() 日帰り可能圏内なので、早朝から関越道を走るが天候はイマイチ。途中パラパラと小雨は降
るし、濃霧のため関越道は渋川伊香保ICから先が通行止めになっていて、全車このICでおろ される始末。幸い、我らは始めからこのICでおりるツモリだったので、その点はいいのだが、出 口料金所で大渋滞 (!!)。かろうじて雨こそ降っていなかったが、今回は天候に恵まれなかった ようだ。 国道145号線から大津で292号線(草津道路)に入り、草津温泉を抜けると数年前から無料
開放された「志賀草津道路」に進む。標高が増すにつれて霧が濃くなり、視界が殆んど無くなっ て来た。強烈な亜硫酸ガスが噴気する「殺生河原」あたりでは、霧とガスの区別がつかないほ どの濃霧。徐行運転で、なんとか白根火山レストハウス前の駐車場に辿り着いた。 絶望しかけていたのだが、少しずつ空が明るくなってきて、観光バスの団体客が「湯釜」に向
けて動き出した。急速に霧が晴れ、白根山が見えてきたではないか。我らも身支度を急ぎ、行 動に移る。山の天気は変わりやすいと言うが、昔からこの辺りは特に変化が激しい事で有名で ある。まずは、駐車場から観光客が向かう湯釜とは反対方向の「弓池」へと向かう。 ![]() 弓池と湿原の木道を周回して、両白根山の中間にある「逢ノ峰」の頂上を通過して本白根山
へと抜ける。逢ノ峰の山頂には東屋があり、ここ草津白根山全体を見渡せる格好の展望場所 となっている。湯釜も少しだけ見えている。しばし休憩して、草津国際スキー場と、白根火山 ロープウェイ山頂駅のある南側へと下山するが、最後はゲレンデの急斜 面をそのまま歩いて 下る。いっその事、転がって降りたい位の急斜面だった(笑)。 本白根山(前方)へと向かう
![]() 下りきった鞍部に「本白根山登山口」を示す立札があり、ゲレンデの中を登り樹林帯へと入っ
てゆく。ひとしきり登り樹林帯を抜けるにつれて、再び視界が悪くなり始めた。平坦な鞍部に出 たところで霧が濃くなり、周りの景色が真っ白になってしまった。 登山道脇のガレ場に「コマクサ群落地」の札と立ち入り禁止のロープが張ってあった。今は
まだ花の時期ではないが、貴重な高山植物の女王・コマクサが自生する関東で唯一の場所だ そうだ。 もう、この辺りで本白根山の幾つかのピークと、すり鉢状にえぐられた旧火口跡である「涸釜」
が見られるはずである。が、霧の為何も見えない。しばらくして涸釜の表示(案内板)があったの で、「きっと、ここなんだなあ‥」と、三人とも溜め息混じりにつぶやいた (涙)。 ![]() 少し待ってみたが、霧は一向に晴れそうもない。ちょっとでも距離が開くと姿が見えなくなり、
離れ離れになってしまうのでカタマって歩く。やがて、T字の鏡池分岐点に着く。ここで、周回ル ートをはずれて南に向かうと本白根山の三角点へと至る。 白根山と同様、本白根山も現在は火山性ガスの危険性があるため、山頂へは立ち入ること
ができない。本白根山の山頂(2171m)は、すでに過ぎてきた涸釜のすぐ西上にある。 三角点(2165m))は、山頂とはかなり離れており、ここも途中で通行止め。今はその手前にある
「本白根探勝歩道最高地点」(2150m) までが、現在登れる限界の高さである。 ここからは、浅間山が間近に見え、金峰山を始めとした奥秩父の山並みに加えて、北アルプ
スも一望できるはずであった。勿論、最高地点へも行きたかったのだが、濃霧で1m先も見え ない状態なので、このコースを割愛して分岐をそのまま直進した。 ハイマツの中をゆっくり登っていくと、もうひとつのピークである「本白根山展望台」(2145m)
に達した。ここも、同様の展望が得られるとの事だが、“ 本日は真っ白なり!! “ (笑)。あきらめ て周回コースを下山する。 ![]() ![]() 本白根山・展望台峰(2145m) 鏡 池
やがて、「鏡池下降点」に出る。池のほとりまで10分との事なので、降りてみる。とても美しい
池で、氷河期の名残である「構造土」といわれる地形の作用で、貴重で珍しい亀甲模様が水 中に見られるそうだ。勿論、この霧では確認はできなかった。 また元の周回路に戻り、先に進むとダケカンバの幻想的な林に差しかかる。とても長い橋状
の木道が林を貫いているが、ナント! その入口に「木道腐食。危険の為、一人ずつ静かに通 行してください。」と、書かれていた!? ![]() 霧は幾分薄くなってきたが、まだ視界は良くない。と思ったら、ついに雨が降り出してきた。 コースも終盤、ここまで来てスッキリ晴れ上がったら、逆に悔しい思いになるので、ダメ押しの
雨ならば仕方がない。と、無理に納得して、常備していた雨具(ポンチョ)をスッポリとかぶった。 こちら側の斜面には、残雪が随所に多くあり、通路が分断されているところもあった。雨で更
に滑りやすくなっているので、雪の上は慎重に歩く。 やがて、周回路の終点であり起点でもある、本白根山登山口に戻った。スキー場リフト操車小
屋? の軒下を借りて、雨をしのぎながら昼食休憩をとった後、白根火山ロープウェイ・山頂駅の 方面に向かい、先ほど乗越えてきた逢ノ峰を東側からトラバースする山道へと進む。 ![]() ようやく、白根火山レストハウスの駐車場に帰ってきたら、悪天候の為すでに観光客は皆無
に等しかった(苦)。最後に寄るつもりだった「湯釜」もあきらめて、早々にこの地を離れる事にし た。 結局、肝心のところで濃霧にみまわれ ”只の山歩き” となってしまった。雄大な本白根山系
の景観をほとんど見られなかったのは残念でならない。日帰り圏内だし、草津温泉からも近い ので、是非もう一度訪れてみたい。そうと決まれば、早く温泉に行こう‥。 草津温泉はすぐその先だ。 (2004.6.16 記)
![]() ★2004.9.20 再訪しました。
↓↓ 続編・(Part-2)も、ご覧ください。
![]()
|