NIKKOU-SHIRANESAN
日光白根山 (2578m)

丸沼高原

弥陀ヶ池 (2250m)
  日光白根山 (2578m)
平成15年7月20日(日), 現地日帰り
   ★ 総所要時間: 6時間45分
   ★ ハイキング標高差: 618 m
  行程行程・ハイキング
  行程ルートマップ


 群馬県と栃木県の県境にある日光火山群の主峰が、日光白根山(奥白根山)である。昭和
27年の噴火を最後に沈黙しているが、いまでも活火山である。関東以北では最高峰であり、周
辺からも孤高で威風堂々とした迫力のある山容だ。特に群馬県側、丸沼高原ゴンドラ山頂か
らの姿(上の写真)が最高に素晴らしい。
 幾つもの別名があるらしく、栃木県(日光)側では、「奥白根山」や「女体山」、群馬県(丸沼高
原)側では「荒山」とも呼ばれる、日本百名山の一員だ。
座禅山(2317m), 前白根山(2373m), 五色山(2379m), 白桧山(2394m)らの外輪山を従え、その
内側に弥陀ヶ池五色沼や、大凹地がある。山頂部が三峰に割れているのも大きな特徴だ。
 丸沼高原から日光中禅寺湖へと抜ける金精道路(R120)の外側にある、丸沼、菅沼、大尻
沼は、この山の噴火によってせき止められた湖である。
  登山ルートは幾つかあるが、古くからあるコースはいずれも体力に自信がある人向けのも
ので、かなりキツイ。ゴンドラができてからは、2000mまで楽チンに運んでくれるだけでなく、そ
れに合わせてルートも急坂を避けた比較的楽に登れるコースができた。おかげで、我ら「イン
チキ山屋」でも、この山頂からの素晴らしい眺望が拝めるようになったというわけである。(笑)

 前日(7月19日)から、登山口に近い「老神温泉」に1泊して、現地から朝一番の出発を待機
していた。もし、19日の方が天気が良ければその日のうちに登ってしまうことも考えていたの
だが、この日の天気は曇り時々雨と、最悪。仕方ないので、この日は以前にも訪れた、日帰り
温泉「湯元・華亭」にてくつろいだ後、老神温泉の宿に入り、翌日の天気に望みをかける事にし
た。だが、この3連休の天気予報は何処を見ても曇り〜雨で、晴天の期待はできそうもなかっ
た‥‥のだが、
 ところが!! である。日頃の行いが良いのであろうか!? なんと、翌朝、陽が差し始めたかと思う
と、いきなり好天気となった。ラッキーな事に天気予報は大ハズレ!!
 これで迷わず「山登り」決行となった。

      整備された登山道を、不動岩へ向かう

 老神温泉からR120号を、尾瀬方面との分岐を見送ってそのまま進み、丸沼高原に至る。丸
沼高原スキー場の駐車場に車を停め、「丸沼高原ゴンドラ」山麓駅(1400m)へと向かった。
 所要時間15分の長いゴンドラの中間点を過ぎたあたりで、目指す日光白根山の雄姿がドー
ンと視界に飛び込んできた。「荒山」の別名にふさわしい迫力ある姿である。終点の山頂駅を
降りると、そこはもう2000mの標高である。
 展望台やレストランなどの観光施設が充実しており、ここまでは登山者よりも観光客の方が
多い。レストラン前の広場では、中学生の学校登山と思われる大集団がミーティングをしてい
た。(後にわかったのだが、埼玉県深谷市中学の学校行事との事であった。)
 すでにミーティングは終わりかけており、今にも出発しそうな雰囲気だったので、先行されな
いうちに急いで身支度を整えて出発した。(笑)

 レストラン南側の広い登山道から入る。しばらく進むと、「不動岩」なる巨岩を過ぎたあたりか
ら、道が狭くなり勾配もキツクなりだした。すぐ後ろから引率の先生に先導された中学生の集
団が付いて来ている。女の子達のグループで、最初はキャーキャーとうるさかったのだが、こ
の辺りまで来ると言葉も少なくなり、ゼーゼーとした息遣いと悲鳴が聞こえてきた。山歩きに慣
れてきているとはいえ、小6のマユの方がずっとシッカリしている。

    
    立ち枯れた疎林越しに山頂部が見えた       地獄ナギを過ぎ、更に勾配がきつくなる

 樹林帯をひたすら登って汗がにじむ頃、立ち枯れした疎林越しに山頂部が見えた。
やがて「大日如来」なる、小さな半身の石仏(2120m地点)を過ぎると七色平分岐に着く。さらに
進むと、傾斜が増して道が二股に分かれた。左は、ガレ場と直登りを繰り返して展望の良い
君待岩」を経由する旧コース。ここでは、無理をせず右側の新道(迂回路)コースをとった。

    
         ようやく森林限界をぬける              ザレ場を登り砂礫の丘へ

 標高2200m付近からジグザグに登っていくと、森林限界を抜けて開けた斜面に出た。ハクサ
ンシャクナゲや、ツガザクラ、イワカガミなどのお花畑と、草原の登山道を過ぎると、その先は
砂礫の急坂。砂が滑ってめり込み、とても歩きづらい。やっと、一つ目の砂丘の頂に着き下を
振り返ると、先の中学生達がお花畑付近で休憩に入っていた。さらに遥か下方には、ゴンドラ
の山頂駅が小さく見えており、ずいぶんと高く遠くまで歩いてきたことを実感させた。

      
           火口原の内輪尾根               山頂部への最後の岩場を登る

 ようやく砂礫の道を登りきると、火口原の内輪尾根に入った。山頂の一角(南峰)がすぐ上に
見えている。山頂への最後の岩場を登り始めると、南峰との隙間からエメラルドグリーンの五
色沼が覗けた。
         山頂直下と南峰(右)の間から五色沼が覗く

 さらに一登りして、四方さえぎるもののない断崖絶壁の日光白根山・山頂(2578m)に到達し
た。山頂部は非常に狭く、岩山の上なので少し足元がすくむ。近くにはこれ以上高い山もなく、
展望は360度素晴らしいものがある。
 この日は長引く梅雨の最中にあって奇跡的な晴れの一日だったので、陽射しは強かったの
だが全体に雲が多く、またもや(!!)、残念ながら遠方の景色を眺めることはできなかった。雲が
もっと少なければ、日光連山中禅寺湖男体山などの一家の山々や、すぐお隣の尾瀬の
燧ケ岳(ひうちがたけ)や、至仏山(しぶつさん)、那須連山会津駒ヶ岳皇海山(すかいさん)
赤城山など、周囲の山々を一望できる他、さらに後方には谷川岳草津白根山浅間山など
も見わたすことができるそうだ。

    
        日光白根山・山頂 (2578m)          北峰に登り返して山頂の断崖を眺める

 足元に充分注意しながら急な崖を下り、北峰に登り返す。ここから山頂を見ると、その断崖
絶壁ぶりが、より一層はっきりとする。
 下山は、ここから北側の弥陀ヶ池方面に進むが、かなりの急勾配でガレ場が続き、落石と滑
落に注意しながら慎重に下る。緊張が続く場面が過ぎ、勾配も落ち着いた辺りで休憩をとっ
た。
 ハクサンシャクナゲのトンネルを抜けてから、ふたたび急勾配を下りると座禅山(2317m)との
鞍部、反魂平にたどり着いた。この分岐点を左下方へ行けばゴンドラ駅へと帰れるのだが、
せっかくなので一旦右方向に下りて弥陀ヶ池に立ち寄ってから戻ることにした。
 と、その時である。あたりに動物の匂いと気配を感じた。ふと顔を上げると、正面方向の座禅
山の斜面に鹿(ニホンジカ)がいるではないか。ちょっと小柄ではあるが、とても美しく鮮やかな
毛色で、こちらの方を見て留まっている。しばし、息を潜め夢中で写真を撮った。
 しばらくは付近を歩いていたが、また林の奥のほうへと姿を消していった。野生の鹿を見るの
は無論初めてのこと。特に、動物好きのマユにとっては、感動的であったに違いない(笑)。
 そこから、弥陀ヶ池へは10分ほどの距離だ。透明度の高い、静かな池のほとりで休憩をとる
ことにした。

    
           ニホンジカを発見                弥陀ヶ池 (2250m)

 反魂平まで戻って、そのまま苔むした原生林の中をさらに下っていく。七色平北分岐では、往
路をそのまま戻るのでは面白くないので、少し大回りして、六地蔵経由で戻ることにした。
 この辺りまで来ると勾配は殆んどなく、ほぼ平坦に近いハイキングコースであるので、我らイ
ンチキ屋でも少々 ”余裕” をみせたツモリである(大笑)。「血の池地獄」を通り、「賽の河原
に至るが、これらはいずれも名前ほどのものではなく、ちょっと期待はずれ。「六地蔵」を見た
のち往路に合流し、まもなく起点のゴンドラ山頂駅に戻った。
 今一度、登ってきた日光白根山の堂々たる雄姿を見納めして、ゴンドラへと向かった。

            丸沼高原ゴンドラ・山頂駅前より

 車に戻り、沼田ICへと向かう途中。例によって、お約束の日帰り温泉に立ち寄る。実は、ゴン
ドラの山麓駅と同じ建物内に「座禅温泉」があったのだが、なんと先の中学校の団体が利用
中だったので (我々が六地蔵方面に寄り道している間に追い越されたらしい!?)、やめておい
た。R120号沿いにある「白根温泉・薬師の湯」を利用した。(結果的に、こちらの方が良かっ
た。)  
 温泉を出て仰天。辺りは、まるで滝のような豪雨となっているではないか!! 白根山にいた時
の晴天が、ウソのようだ。ちょうど、自分達が山に登っている間だけ晴れていたという訳であ
る。よほど、日頃の行いが良いのであろう‥‥‥、と。固く信じて疑わない、三人であった。

(2003.8.10、記)  



トップへ

戻る