KINPUSAN
金峰山 (2599m)

鉄山 (2531m)

朝日岳 (2579m)
  鉄山を従えた、金峰山の優美な稜線
平成15年11月2日(日), 夜行日帰り
   ★ 総所要時間: 6時間 00分
   ★ ハイキング標高差: 239 m
   行程行程・ハイキング
  行程ルートマップ


 奥秩父の西端、長野・山梨両県に跨る金峰山は、名実ともに奥秩父の盟主。山頂には15m
もある巨大な五丈岩を立て、周囲に瑞牆山(みずがきやま)などを従えて両翼を強く張り、どっ
しりとした山容は正しく盟主そのものである。
奥秩父の最高峰は、わずかの差で北奥仙丈岳(2601m)に譲ったが、標高2599mは森林限界を
越え、山頂周辺からの眺望は「素晴らしい」の一言に尽きる。もちろん、日本百名山の一員で
ある。
 日帰りも不可能ではないが、やはりユトリある計画が望ましいことから、前日のうちに石和温
に入り一泊。朝7時過ぎに出立し、林道を通って大弛峠へと向かった。大弛峠の標高は、す
でに2360m。車道が越える峠としては、我が国トップクラスの高さだ。残り標高差は239mだか
ら、金峰山への登山コース中、最も ”インチキ度” が高い事は言うまでもない(笑)。

 大弛峠へと向かう川上牧丘林道は、山梨県側からの道路は舗装されてはいるものの、随所
に細くなっておりすれ違いのできない箇所もある。また、冬季は閉鎖されるそうだ。頂点の大弛
峠には、山小屋と公衆便所、無料駐車場がある。約30台分の駐車場所はすでに満車であり、
そこから道路脇に延々と路肩駐車の列がつながっている。これに混じって、当方も最後尾に駐
車した。車を降りて身支度を整えている間に、後続車が次々に路上駐車の列を延ばしていっ
た。聞くところによると、休日ではいつもの事らしく、トップシーズンでは150台もの列ができる事
もあるそうだ(!!)。駐車場所から5分ほど歩いて、峠の頂点に着いた。これはまだ、良い方だっ
た様である(笑)。

            樹林帯の間から富士山が出現

 周辺の幾つかの山への登山口が集まっていたが、「金峰山方面」と書かれた登山口から入
る。しばらくは、見晴らしのないシラビソの樹林帯の中を進み、朽ちた丸太で作られた階段状
の登り道が続く。
小さな鞍部の朝日峠を越えて登り詰めていくと、次第に樹林の間隔が広くなり、明るい青空が
見え始めたところで、先行していた登山者達から大歓声が聞こえてきた。何かと思い更に進む
と、見事な富士山が視界に飛び込んできた。
「うわー、凄い!!」誰もが、思わず唸ってしまうほどの絶景である。まるで、絵に描いたように美し
く整っている。下界からでは絶対に見られない、感動的な富士山の出現である。天候や周囲の
景観との相性など、好条件が重なったせいもあると思うが、本当に富士山は美しい山だと改め
て実感した。
「いやー、日本人に生まれてよかった! (笑)。」‥ところで、我らインチキ山屋の富士登頂の日
はいつの日になるのであろうか‥!? ( 今のところ、予定は未定である。)

     
    朝日岳・東側の岩場、展望場所で小休止       朝日岳・山頂(2579m)からの眺め

 その先に進むと、朝日岳手前(東側)の岩場に着く。ここからの展望も素晴らしい。何組かの
人達が岩場に腰を下ろし、富士を眺めながら休憩していたので、我らもここで小休止する事に
した。北東方面の甲武信岳国師ヶ岳の稜線もくっきりと見わたせた。
ここを過ぎると、間もなく朝日岳山頂(2579m)に到着する。展望は更に広がり、目指す金峰山
鉄山を 従えて眼前に聳え、その大きな山容を見せてくれた(冒頭の写真)。 
遠く、南アルプス甲斐駒ヶ岳白根三山 も遠望できる。
 朝日岳からガレ場の急斜面を下ると、ベンチのある「朝日岳西のコル」に至る。しばらくは平
坦な樹林帯を歩き、ここらで鉄山(2531m)を北側から巻いて進んで行くと、いよいよ金峰山への
登りに差しかかる。
やがて森林限界に達し、ケルンの積まれた金峰山の東肩に飛び出した。ここも、展望台と呼べ
るくらいに、素晴らしい景観が見られる場所である。マユがケルンの最頂部に、更に一枚の石
を積み重ね、満足気だ。
 そして、ここからはハイマツが茂る斜面の快適な稜線歩きとなり、富士山と向かい合ったまま
進むと、大きな岩場が続いたところで、金峰山の山頂(2599m)に達した。

     
     森林限界を抜け、金峰山・東の肩に出る           金峰山・山頂(2599m)

 シンボルの五丈岩が全貌を現し、大きく聳え立っている。山頂からの展望は360度に広がり、
富士山もひときわ美しく、高い位置で裾野を広げた姿はまさに日本一!!。
 富士山から右方向にグルリと首を回してみると、南アルプス・中央アルプスの高峰群が横一
列に連なっている。西方面には、特徴的な岩峰の瑞牆山(2230m)が下の方に小さく見え、その
背後には八ヶ岳の主峰群がはっきりと見渡せる。そこから更に右方向、遥かに見える大きな
山影が浅間山だ。北には奥秩父の山々が幾重にも連なり、東方向のすぐ隣には、あの大菩薩
も確認できた。好天に恵まれたこの日の展望は、いずれも申し分のない眺めであった。

     
          山頂に聳える、五丈岩           山頂より、瑞牆山と八ヶ岳連邦を望む

      山頂から、富士山を眺望

 広い山頂で昼食をとったあと、早速マユが五丈岩に登りはじめた。しかし、中腹あたりまでが
限界である。こんなに巨大な岩(石?)が、まるで積み上げたかのように山頂に聳えているのは、
考えてみればとても不思議な事である。どうして、このような景観になったのだろうか?! 
 岩の下、正面には金峰神社の鳥居がある。ここで、お約束の記念写真を撮り、名残惜しか
ったが、この山を後にした。

           金峰神社・鳥居 

 下山は、往路をそのまま戻る。多少は雲が増えてきていたが、最後まで見事な富士山の景
観が、我らインチキ登山隊のお供をしてくれた(笑)。
午後3時すぎ駐車場所に戻ると、まわりの車は殆んど引き揚げており、取り残された状態になっ
ていた。登って来た車道をそのまま引き返す。途中の車窓からも、金峰山と朝日岳の稜線が
青空に良く映えていた。山頂の五丈岩が目印になるので、遠くからでも判り易い。
 麓にある日帰り温泉施設の、窪平温泉「花かげの湯」に立ち寄り、山登りの疲れをゆっくり
と癒してから帰路についた。
                                         (2003.11.9 記)

       帰路。 川上牧丘林道から、金峰山を遠望

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