●平成15年11月2日(日), 夜行日帰り ★ 総所要時間: 6時間 00分 ★ ハイキング標高差: 239 m
奥秩父の西端、長野・山梨両県に跨る金峰山は、名実ともに奥秩父の盟主。山頂には15m
もある巨大な五丈岩を立て、周囲に瑞牆山(みずがきやま)などを従えて両翼を強く張り、どっ しりとした山容は正しく盟主そのものである。 日帰りも不可能ではないが、やはりユトリある計画が望ましいことから、前日のうちに石和温
泉に入り一泊。朝7時過ぎに出立し、林道を通って大弛峠へと向かった。大弛峠の標高は、す でに2360m。車道が越える峠としては、我が国トップクラスの高さだ。残り標高差は239mだか ら、金峰山への登山コース中、最も ”インチキ度” が高い事は言うまでもない(笑)。 大弛峠へと向かう川上牧丘林道は、山梨県側からの道路は舗装されてはいるものの、随所
に細くなっておりすれ違いのできない箇所もある。また、冬季は閉鎖されるそうだ。頂点の大弛 峠には、山小屋と公衆便所、無料駐車場がある。約30台分の駐車場所はすでに満車であり、 そこから道路脇に延々と路肩駐車の列がつながっている。これに混じって、当方も最後尾に駐 車した。車を降りて身支度を整えている間に、後続車が次々に路上駐車の列を延ばしていっ た。聞くところによると、休日ではいつもの事らしく、トップシーズンでは150台もの列ができる事 もあるそうだ(!!)。駐車場所から5分ほど歩いて、峠の頂点に着いた。これはまだ、良い方だっ た様である(笑)。 ![]() 周辺の幾つかの山への登山口が集まっていたが、「金峰山方面」と書かれた登山口から入
る。しばらくは、見晴らしのないシラビソの樹林帯の中を進み、朽ちた丸太で作られた階段状 の登り道が続く。 小さな鞍部の朝日峠を越えて登り詰めていくと、次第に樹林の間隔が広くなり、明るい青空が
見え始めたところで、先行していた登山者達から大歓声が聞こえてきた。何かと思い更に進む と、見事な富士山が視界に飛び込んできた。 「うわー、凄い!!」誰もが、思わず唸ってしまうほどの絶景である。まるで、絵に描いたように美し
く整っている。下界からでは絶対に見られない、感動的な富士山の出現である。天候や周囲の 景観との相性など、好条件が重なったせいもあると思うが、本当に富士山は美しい山だと改め て実感した。 「いやー、日本人に生まれてよかった! (笑)。」‥ところで、我らインチキ山屋の富士登頂の日
はいつの日になるのであろうか‥!? ( 今のところ、予定は未定である。) ![]() ![]() 朝日岳・東側の岩場、展望場所で小休止 朝日岳・山頂(2579m)からの眺め
その先に進むと、朝日岳手前(東側)の岩場に着く。ここからの展望も素晴らしい。何組かの
人達が岩場に腰を下ろし、富士を眺めながら休憩していたので、我らもここで小休止する事に した。北東方面の甲武信岳や国師ヶ岳の稜線もくっきりと見わたせた。 ここを過ぎると、間もなく朝日岳山頂(2579m)に到着する。展望は更に広がり、目指す金峰山
が鉄山を 従えて眼前に聳え、その大きな山容を見せてくれた(冒頭の写真)。 遠く、南アルプスの甲斐駒ヶ岳や白根三山 も遠望できる。 朝日岳からガレ場の急斜面を下ると、ベンチのある「朝日岳西のコル」に至る。しばらくは平
坦な樹林帯を歩き、ここらで鉄山(2531m)を北側から巻いて進んで行くと、いよいよ金峰山への 登りに差しかかる。 やがて森林限界に達し、ケルンの積まれた金峰山の東肩に飛び出した。ここも、展望台と呼べ
るくらいに、素晴らしい景観が見られる場所である。マユがケルンの最頂部に、更に一枚の石 を積み重ね、満足気だ。 そして、ここからはハイマツが茂る斜面の快適な稜線歩きとなり、富士山と向かい合ったまま
進むと、大きな岩場が続いたところで、金峰山の山頂(2599m)に達した。 ![]() ![]() 森林限界を抜け、金峰山・東の肩に出る 金峰山・山頂(2599m)
シンボルの五丈岩が全貌を現し、大きく聳え立っている。山頂からの展望は360度に広がり、
富士山もひときわ美しく、高い位置で裾野を広げた姿はまさに日本一!!。 富士山から右方向にグルリと首を回してみると、南アルプス・中央アルプスの高峰群が横一
列に連なっている。西方面には、特徴的な岩峰の瑞牆山(2230m)が下の方に小さく見え、その 背後には八ヶ岳の主峰群がはっきりと見渡せる。そこから更に右方向、遥かに見える大きな 山影が浅間山だ。北には奥秩父の山々が幾重にも連なり、東方向のすぐ隣には、あの大菩薩 嶺も確認できた。好天に恵まれたこの日の展望は、いずれも申し分のない眺めであった。 ![]() ![]() 山頂に聳える、五丈岩 山頂より、瑞牆山と八ヶ岳連邦を望む
![]() 広い山頂で昼食をとったあと、早速マユが五丈岩に登りはじめた。しかし、中腹あたりまでが
限界である。こんなに巨大な岩(石?)が、まるで積み上げたかのように山頂に聳えているのは、 考えてみればとても不思議な事である。どうして、このような景観になったのだろうか?! 岩の下、正面には金峰神社の鳥居がある。ここで、お約束の記念写真を撮り、名残惜しか
ったが、この山を後にした。 金峰神社・鳥居
![]() 下山は、往路をそのまま戻る。多少は雲が増えてきていたが、最後まで見事な富士山の景
観が、我らインチキ登山隊のお供をしてくれた(笑)。 午後3時すぎ駐車場所に戻ると、まわりの車は殆んど引き揚げており、取り残された状態になっ
ていた。登って来た車道をそのまま引き返す。途中の車窓からも、金峰山と朝日岳の稜線が 青空に良く映えていた。山頂の五丈岩が目印になるので、遠くからでも判り易い。 (2003.11.9 記) ![]()
![]()
|