MIZUGAKIYAMA
瑞牆山 (2230m)

大ヤスリ岩

富士見平 (1810m)
    瑞 牆 山 ( 2230m )
平成17年10月20日(木), 日帰り
   ★ 総所要時間: 5 時間 5分
   ★ ハイキング標高差: 720 m
   行程行程・ハイキング
   行程ルートマップ


 緩やかで おとなしい姿の山々が連なる奥秩父の中にあって、ひときわ異彩を放つ、奇岩と
岩峰の集合体のような山が 「瑞牆山」 (みずがきやま) である。 秩父連山の西端に位置し、
東隣りには五丈岩を突き立てた盟主 「金峰山」 (2599m) が聳えている。
両山は、共に日本百名山に選定された名峰で人気も高い。 シーズン中の週末などは登山者
がたくさん訪れ、各登山口の駐車スペースは常に満車状態であると聞く。
中でも、瑞牆山は変化に富んだ登山路と、岩峰群の奇勝、山頂からの眺めの良さなど…、多く
の魅力に溢れている。 我らインチキ山屋は2年前に金峰山の山頂から、尖った岩がニョキニョ
キと生えたハリネズミのような姿の瑞牆山を初めて見た。
      ( 山と高原遊歩記・No.13「金峰山」、参照 )

早朝に出立し中央高速に入る、韮崎ICから一般道に出て 明野村に入ると次第に上り勾配と
なり、やがて民家が少なくなって視界がパーっと開ける。 のどかな田園風景が広がり、前方に
八ヶ岳が裾野までクッキリと見渡せる快適な道だ。
やがて「増富ラジウムライン」と名づけられた道路は、峠道となりカーブが連続してグングンと
標高をあげてゆく。  通仙峡、「増富温泉」 (帰りに立ち寄る) を通過すると、渓流沿いに走る
美しい林道に変わる。 木漏れ陽が射し込み、なだらかなカーブが続く景観は実に素晴らし
い。 ガードレールも丸太で組んだ趣のあるものが設置され、とても良く整備された気持ちの良
い道路だ。
これを過ぎると「瑞牆山荘」のある宮里平に到着。 100台ほどが留められる無料の駐車場
の他に、トイレや山荘の売店などが揃っており登山口もここにある。
身支度を整えて、さあ出発だ。

                登山口からしばらく続く広々とした美しい林

この登山口は瑞牆山の他に、「飯森山」(2116m) 経由の金峰山登山口にもなっている。まずは
白樺やブナ、ミズナラの広がる広々とした雑木林の中を進み、いったん林道を横切って里宮神
社参道の道標に従って更に登る。 けっこう急な勾配をしばらく登ると、大きな岩をくり貫いて置
かれた里宮神社の祠を通過し、ベンチのある1722m地点に出る。林間からわずかに瑞牆山
らしき岩肌が見えている。 しばらく緩やかな登りが続いて、「富士見平小屋」の建つ富士見平
に到着した。 インチキをしない金峰山への登山路 (笑) は、ここで分岐する。

                 富士見平小屋の分岐( 1810m )

休憩をとって、瑞牆山方面と記された方に向かう。この当りは飯森山から張り出した尾根に
あたり、コメツガなどの薄暗い樹林帯を抜けて、いったん急降下する。 途中、瑞牆山の白い岩
峰と、代表的な奇岩「大ヤスリ岩」が見えた。 特徴的な奇岩には、このように名前が付けられ
ており、他にも「弘法岩」や「十一面岩」等があるらしいが、まったく特定は出来なかった(笑)。
小川山分岐」を見送って、下りきったところが「天鳥川出合"八丁平分岐)」で、天鳥川が清
らかに流れていた。
数歩の飛び石で川を渡ったところに小さなベンチが置かれ、休憩ポイントとなっているので一
休みする。

     
        天鳥川出合・付近から覗く、大ヤスリ岩       巨大な岩に取り付けられた丸太の階段

ここからが、いよいよ瑞牆山への実質的な登山路になり、梯子やロープを使う箇所が連続す
る岩場の急登となる。
いきなり大きな岩に取り付けられた階段を上がると、枝沢沿いに荒れた岩場を登る。その後は
岩の上や間を縫うように進むが、ハッキリとした道がある訳ではないので、木の枝などに巻き
つけられた赤や黄色のテープかリボンが目印になる。 これを見落とさないようにしないと、迷
い込んでしまうだろう。
岩と樹林の間をよじ登ってゆく感じの急登がしばらく続くが、それほど危険というわけでもない。
ルートを見誤らずに、一歩一歩しっかりと登っていけば大丈夫であり、むしろ単調な登り一辺倒
の登山路よりも変化に富んでいて楽しいと思った。

                     大ヤスリ岩 の真下に出る

紅葉は殆ど終わっていたが、残された緑と赤や黄色の木々もなかなか綺麗だ。次第に大ヤ
スリ岩に近づき、やがてその真下に辿り着く。
林の間からそそり立つ巨岩は、まるで灯台のようにも見え、下から見る迫力は物凄い。 この岩
を右から回り込むように岩場を登ると、山頂下の鞍部「黒森分岐」に出る。 ちょっとした南側
の展望が得られ、大ヤスリ岩の頂部が間近に見える位置に立つ。
ここから北側に、また大きく回り込みながら樹林の中に入り、短い木の梯子を上がると目前に
巨大な岩が現れる。 この岩の上が瑞牆山の山頂 (2230m)で、そこには360度の大展望がイ
キナリ広がっていた。

         
      梯子やロープを多用する、道なき道を登る         瑞 牆 山 ・ 山頂 (2230m)

山頂は巨岩を積み上げたような所なので、標識の左右に多少の休憩場所はあるものの、狭
いし傾斜もしているので歩き回るのは危険だ。 大展望に気をとられて足を滑らせたら、大惨
事になるだろう。 特に南側はストンと切れ落ちた断崖絶壁で、要注意である。
 久々に良い天候に恵まれ、この日の展望は良好だった。 山頂には、主な展望山名を記し
た方位盤が岩の中に埋め込まれていたので、山座同定がしやすい。

     
                   金 峰 山 ( 2595m )             国 士 ヶ 岳 ( 2592m )

すぐ東隣には金峰山が大きく、山頂のシンボル五丈岩も視認できた。 その北には、同じく奥
秩父山系の「国士ヶ岳」(2592m)、これらに対面する西方向では「八ヶ岳連峰」がクッキリと全
貌を見せてくれていた。 この位置からは、南の 「編笠山」 (2524m) から 北の 「蓼科山
(2530m) まで、南北八ヶ岳連峰が正に横一列にズラリと並んで見えるので圧巻だ。  
北面の遠方では 「浅間山」 (2568m) がひときわ大きく、更に左側の奥には北アルプスの山並
みも遠望できた。
そして、南面ではすぐ真下に 大ヤスリ岩 を始めとした 瑞牆山 の奇岩群を見下ろし、正面に
は幾重にも重なった山並みの一番高い位置に 「甲斐駒ヶ岳」 (2967m) と 南アルプスの高峰
群が並んでいる。 少々残念だったのは、南側ほど雲の量が多めで 「富士山」 (3776m) が雲
の中に隠れてしまった事だけだ。

     
                 八 ヶ 岳 連 峰                   南アルプスを遠望、手前は大ヤスリ岩の頂部

 ほど良い気候と展望に恵まれた山頂で、早めの昼食と大休憩をとる。 この日は平日で、時
間的にもまだ早かったので登山者も少なめで、狭い山頂だがノンビリとできて快適だった。
人気の百名山でもあり、これが休日だったら、こんなにノンビリとは出来なかっただろう(笑)。
 下山は往路をそのまま戻る。 岩場の下りなので充分に注意しながら、ゆっくりと戻ることに
した。 このところ下山時、膝を痛くすることが続いているため、特に気を使って降りたのだが、
富士見平あたりまで戻った時点でやはり痛みが出てきた。 
少し休憩してから、あとは駐車場までゆっくりと下りきる。 痛みは増していたものの、なんとか
歩ける程度なので大丈夫だが、ナントも情けない足だ(笑)。

            下山後、麓から見上げる山頂

 麓から瑞牆山が良く見える場所に車で移動して写真に納めた後、往路を韮崎ICに向かって
そのまま引き返す。 峠を下った麓、増富温泉日帰り温泉施設 「増富の湯」に立ち寄っ
て、足腰の痛みをほぐしながら、"嗚呼〜 ヤッパリこれが最高 !!" と、いつものワンパターンを
唱えてから(笑)、帰路についた。
    ( 2005.10.31 記 )

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