●平成17年10月20日(木), 日帰り ★ 総所要時間: 5 時間 5分 ★ ハイキング標高差: 720 m
緩やかで おとなしい姿の山々が連なる奥秩父の中にあって、ひときわ異彩を放つ、奇岩と
岩峰の集合体のような山が 「瑞牆山」 (みずがきやま) である。 秩父連山の西端に位置し、 東隣りには五丈岩を突き立てた盟主 「金峰山」 (2599m) が聳えている。 両山は、共に日本百名山に選定された名峰で人気も高い。 シーズン中の週末などは登山者
がたくさん訪れ、各登山口の駐車スペースは常に満車状態であると聞く。 中でも、瑞牆山は変化に富んだ登山路と、岩峰群の奇勝、山頂からの眺めの良さなど…、多く
の魅力に溢れている。 我らインチキ山屋は2年前に金峰山の山頂から、尖った岩がニョキニョ キと生えたハリネズミのような姿の瑞牆山を初めて見た。 ( 山と高原遊歩記・No.13「金峰山」、参照 ) 早朝に出立し中央高速に入る、韮崎ICから一般道に出て 明野村に入ると次第に上り勾配と
なり、やがて民家が少なくなって視界がパーっと開ける。 のどかな田園風景が広がり、前方に は八ヶ岳が裾野までクッキリと見渡せる快適な道だ。 やがて「増富ラジウムライン」と名づけられた道路は、峠道となりカーブが連続してグングンと
標高をあげてゆく。 通仙峡、「増富温泉」 (帰りに立ち寄る) を通過すると、渓流沿いに走る 美しい林道に変わる。 木漏れ陽が射し込み、なだらかなカーブが続く景観は実に素晴らし い。 ガードレールも丸太で組んだ趣のあるものが設置され、とても良く整備された気持ちの良 い道路だ。 これを過ぎると「瑞牆山荘」のある宮里平に到着。 100台ほどが留められる無料の駐車場
の他に、トイレや山荘の売店などが揃っており登山口もここにある。 身支度を整えて、さあ出発だ。
![]() この登山口は瑞牆山の他に、「飯森山」(2116m) 経由の金峰山登山口にもなっている。まずは 白樺やブナ、ミズナラの広がる広々とした雑木林の中を進み、いったん林道を横切って里宮神
社参道の道標に従って更に登る。 けっこう急な勾配をしばらく登ると、大きな岩をくり貫いて置 かれた里宮神社の祠を通過し、ベンチのある1722m地点に出る。林間からわずかに瑞牆山 らしき岩肌が見えている。 しばらく緩やかな登りが続いて、「富士見平小屋」の建つ富士見平 に到着した。 インチキをしない金峰山への登山路 (笑) は、ここで分岐する。 富士見平小屋の分岐( 1810m )
![]() 休憩をとって、瑞牆山方面と記された方に向かう。この当りは飯森山から張り出した尾根に
あたり、コメツガなどの薄暗い樹林帯を抜けて、いったん急降下する。 途中、瑞牆山の白い岩 峰と、代表的な奇岩「大ヤスリ岩」が見えた。 特徴的な奇岩には、このように名前が付けられ ており、他にも「弘法岩」や「十一面岩」等があるらしいが、まったく特定は出来なかった(笑)。 「小川山分岐」を見送って、下りきったところが「天鳥川出合"八丁平分岐)」で、天鳥川が清 らかに流れていた。 数歩の飛び石で川を渡ったところに小さなベンチが置かれ、休憩ポイントとなっているので一
休みする。 ![]() ![]() 天鳥川出合・付近から覗く、大ヤスリ岩 巨大な岩に取り付けられた丸太の階段
ここからが、いよいよ瑞牆山への実質的な登山路になり、梯子やロープを使う箇所が連続す
る岩場の急登となる。 いきなり大きな岩に取り付けられた階段を上がると、枝沢沿いに荒れた岩場を登る。その後は
岩の上や間を縫うように進むが、ハッキリとした道がある訳ではないので、木の枝などに巻き つけられた赤や黄色のテープかリボンが目印になる。 これを見落とさないようにしないと、迷 い込んでしまうだろう。 岩と樹林の間をよじ登ってゆく感じの急登がしばらく続くが、それほど危険というわけでもない。
ルートを見誤らずに、一歩一歩しっかりと登っていけば大丈夫であり、むしろ単調な登り一辺倒 の登山路よりも変化に富んでいて楽しいと思った。 ![]() 紅葉は殆ど終わっていたが、残された緑と赤や黄色の木々もなかなか綺麗だ。次第に大ヤ
スリ岩に近づき、やがてその真下に辿り着く。 林の間からそそり立つ巨岩は、まるで灯台のようにも見え、下から見る迫力は物凄い。 この岩
を右から回り込むように岩場を登ると、山頂下の鞍部「黒森分岐」に出る。 ちょっとした南側 の展望が得られ、大ヤスリ岩の頂部が間近に見える位置に立つ。 ここから北側に、また大きく回り込みながら樹林の中に入り、短い木の梯子を上がると目前に
巨大な岩が現れる。 この岩の上が瑞牆山の山頂 (2230m)で、そこには360度の大展望がイ キナリ広がっていた。 ![]() ![]() 梯子やロープを多用する、道なき道を登る 瑞 牆 山 ・ 山頂 (2230m)
山頂は巨岩を積み上げたような所なので、標識の左右に多少の休憩場所はあるものの、狭
いし傾斜もしているので歩き回るのは危険だ。 大展望に気をとられて足を滑らせたら、大惨 事になるだろう。 特に南側はストンと切れ落ちた断崖絶壁で、要注意である。 久々に良い天候に恵まれ、この日の展望は良好だった。 山頂には、主な展望山名を記し
た方位盤が岩の中に埋め込まれていたので、山座同定がしやすい。 ![]() ![]() 金 峰 山 ( 2595m ) 国 士 ヶ 岳 ( 2592m )
すぐ東隣には金峰山が大きく、山頂のシンボル五丈岩も視認できた。 その北には、同じく奥
秩父山系の「国士ヶ岳」(2592m)、これらに対面する西方向では「八ヶ岳連峰」がクッキリと全 貌を見せてくれていた。 この位置からは、南の 「編笠山」 (2524m) から 北の 「蓼科山」 (2530m) まで、南北八ヶ岳連峰が正に横一列にズラリと並んで見えるので圧巻だ。 そして、南面ではすぐ真下に 大ヤスリ岩 を始めとした 瑞牆山 の奇岩群を見下ろし、正面に
は幾重にも重なった山並みの一番高い位置に 「甲斐駒ヶ岳」 (2967m) と 南アルプスの高峰 群が並んでいる。 少々残念だったのは、南側ほど雲の量が多めで 「富士山」 (3776m) が雲 の中に隠れてしまった事だけだ。 ![]() ![]() 八 ヶ 岳 連 峰 南アルプスを遠望、手前は大ヤスリ岩の頂部
ほど良い気候と展望に恵まれた山頂で、早めの昼食と大休憩をとる。 この日は平日で、時
間的にもまだ早かったので登山者も少なめで、狭い山頂だがノンビリとできて快適だった。 人気の百名山でもあり、これが休日だったら、こんなにノンビリとは出来なかっただろう(笑)。 下山は往路をそのまま戻る。 岩場の下りなので充分に注意しながら、ゆっくりと戻ることに
した。 このところ下山時、膝を痛くすることが続いているため、特に気を使って降りたのだが、 富士見平あたりまで戻った時点でやはり痛みが出てきた。 少し休憩してから、あとは駐車場までゆっくりと下りきる。 痛みは増していたものの、なんとか
歩ける程度なので大丈夫だが、ナントも情けない足だ(笑)。 ![]() 麓から瑞牆山が良く見える場所に車で移動して写真に納めた後、往路を韮崎ICに向かって
そのまま引き返す。 峠を下った麓、増富温泉の 日帰り温泉施設 「増富の湯」に立ち寄っ て、足腰の痛みをほぐしながら、"嗚呼〜 ヤッパリこれが最高 !!" と、いつものワンパターンを 唱えてから(笑)、帰路についた。 ( 2005.10.31 記 )
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