●平成19年10月7日(日), 現地日帰り ★ 総所要時間: 6時間 10分★ ハイキング標高差: 964 m
三つの日本アルプスに次ぐ規模を誇る山脈が、八ヶ岳連峰である。 この 「八ヶ岳」 とは、
むろん総称であり、そこに連なる山岳は、穏やかな山容が特徴の 「北八ヶ岳」 と、荒々しい岩 肌を特徴とした 「南八ヶ岳」 とに、大別される。 ( 八ヶ岳の概略については、No.7「天狗岳」の 前文を参照 ) インチキ山屋としては、ほぼ中央に位置する 「天狗岳」 (2646m) と、最北端に位置する 「蓼科
山」 (2530m) の二山は、既に踏破している。 で、次は最南端に位置する山へ…、というツモリ ではなかったのだが…(笑) 今回は、南八ヶ岳の 「編笠山」 (2524m) に挑戦した。 ![]() その名のとおり、編笠を伏せたような緩やかな山容が特徴だが、その山頂からの展望は360
度の 大パノラマ が広がっていた。 とりわけ、直近に聳える南八ヶ岳主脈の迫力は素晴らし い。 まさに、この山は八ヶ岳連峰全体を見渡す ”最高の展望台” と言えよう。 コースは、南中腹の観音平から周回する日帰りルートで、数値上の標高差は900mを超えるの
で、インチキで運動不足の足腰にはチトきつかった (笑)。 南アルプス・甲斐駒ヶ岳 (編笠山・山頂より)
![]() 中央自動車道の小淵沢ICを出て、右に道なりに進めば八ヶ岳はすぐ目の前だ。 道路は自
然に 「八ヶ岳高原ライン」 へと変わるが、この道はかつて 「八ヶ岳公園道路」 と呼ばれる有 料道路だった。 近年、八ヶ岳南麓のこの辺りには大型の商業施設が進出し、集客観光施設も 付随するかのように増加しており、一年を通して人や車の数がかなり増えてきている。 この道 路がまだ有料だった頃とは雲泥の差で、ここにも文明の侵食が確実に進行しているようだ。 おっと、話が逸れてしまったが…、しばらく進むと観音平への分岐に出るので、標識に従って左
方向に曲がる。 舗装された山道を登り詰めて、突き当たりが 観音平 の駐車場 (無料)だ。 50台ほどが停められるのだが、朝の7時頃に到着した時点で既に満車、手前の道路脇に数台
がはみ出して縦列駐車していたので、その最後尾に停めて身支度を整える。 連休中で人気も 高い山なので、やむを得まい。 支度をしている間にも、続々と車列が伸びており、駐車場口か ら数えて10台目位の場所だったから、まだ良い方だろうと思った (笑)。 ![]() 登山口は、その駐車場の左奥にある。 笹に覆われたミズナラの林道を緩やかに登ってゆく
と、次第に斜度が増し大きな岩の間を抜けて進むようになる。 たいした急登も無く、最初の休 憩ポイント 「雲海」 の分岐点に出る。 小さなベンチが置かれているので、しばし休憩して分岐を直進する。 岩場が多くなり、コメツガ
やシラビソ、ダケカンバの樹林帯へと入るが、勾配は依然として緩やかなので、比較的登りや すい登山路だ。 途中、樹林の切れ間から後方に、文字通りの雲海が覗き、そこに浮かぶ富士 山の姿も見ることができた。 通路が不明瞭になる部分もあったが、樹木や岩に付けられた印を見落とさないようにすれば
迷うことは無い。 さらに岩場が続いて、いったん傾斜が緩むと前方が開け、ちょっとした広い窪 地となった 「押手川」 の分岐地点に着いた。 ![]() ![]() 樹林の切れ間から、雲海に浮かぶ富士山 押手川・分岐 (2090m)
川があるわけではないが、苔むした岩場で部分的に水が湧き出しており、辺りの空気も冷たい
ので、少し汗ばんだ体を休めるにはちょうど良い。 適当な岩に腰掛けて休憩することにした。 押手川・分岐を右に進むと、巻き道を経て編笠山の反対側鞍部にある 「青年小屋」 へと続
いているが、このルートは帰路として使うので、ここは、左方向に直進して編笠山への直登に 取り掛かる。 10分ほど進むと急登となり今回一番の頑張りどころだが、それも長くは続かずに5分ほどで樹
林帯を抜け、日当たりの良い場所に出る。 ![]() 小高い丘より、後方に南アルプスの展望が広がる
立ち枯れた木々の間からは、後方 (南側) の展望が大きく開けている。 一面に広がる雲海
の先に北岳、仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山などの 南アルプス・北部 の秀峰がハッキリ と同定できる素晴らしい眺めだ。 岩の間に延びた狭い道を急登し、鉄の梯子を登ると、やがて森林限界に達してハイマツ帯とな
る。 岩礫の斜面を登りきったところで、岩のゴロゴロとした編笠山の広い山頂(2524m) に到着 した。 編笠山・山頂 (2524m)
![]() そこには、期待した通りの雄大で素晴らしい展望が広がっていた。 山頂に上がって、最初に
視界に飛び込んできたのが、正面に聳える南八ヶ岳・主峰群の迫力ある姿だ。 めずらしく天 候にも恵まれ、アルペンムードたっぷりといったところだ (笑)。 右端、直近の 「権現岳」 (2715m) から左に連なる 「ギボシ」、「ノロシバ」 のピークを眺め、 そのすぐ後ろに 最高峰の 「赤岳」 (2899m)、そして間に 「横岳」(2829m) と 「中岳」(2700m) を
挟んで 「阿弥陀岳」 (2805m) が大きく眼前に迫っている。 もちろん、視界は360度の大パノラマだから、日本の屋根と言われる三大アルプスも横並び
に一望の下だ。 ![]() ![]() 編笠山・山頂より、八ヶ岳連峰主脈の大展望 左側=北端)
蓼科山から西方向 (左) へ視線を移してゆくと、まずは北アルプスの 「白馬三山」、「鹿島槍
ヶ岳」、「立山連峰」、「燕岳」、「槍ヶ岳」、「穂高連峰」 と続き、やや距離を置いて「乗鞍岳」、 更に距離を置いて西方向に 「御嶽山」 の大きな山塊を眺める。 ![]() ![]() 北西方面、北アルプス (乗鞍岳) (穂高連峰) (槍ヶ岳) (立山連峰) (白馬三山)
そして、南西方面には南アルプス・北部の山々が、先程下の方で見たときよりも、より大きな
スケールで鮮明に見えている。 右側から 「仙丈ヶ岳」、「甲斐駒ヶ岳」、「北岳」、「鳳凰三山」 と、容易に山座同定することができた。 ![]() ![]() 南西方面、南アルプス・北部 西方面、中央アルプス 南アルプスを背に、山頂に立つ登山者たち
![]() 全方位の展望を満喫しながら、充分な休息をとったところで下山に取りかかる。 往路とは反
対方向の、権現岳方面へと向かう。 北側の樹林帯を抜け、岩とハイマツの間の細い通路を下るが、かなりの急坂で直線的に一気
に降下する。 正面には更に近づいた権現岳が大きく聳え、その鞍部に当たる最下地点に建つ 「青年小屋」も見えてくる。 樹林帯を抜けると、大きな岩石がたくさん堆積した場所に出る。 目指す青年小屋は、この岩の
大河を渡った向こう岸にある。 赤ペンキで記された岩の上を、10分ほど辿ってクリアし、青年 小屋に到着した。 権現岳へ縦走するコースの場合は、この山小屋を利用することになる。 ここから編笠山を振り返ると、山頂部はホントに編笠を伏せたように見える (笑)。
![]() 鞍部・青年小屋と、ギボシから右に連なる権現岳
小休止した後、帰路は編笠山の山腹を巻くように迂回して、先の分岐点「押手川」へと戻る。
はじめは右上に編笠山を眺めながら緩やかに下り、樹林帯では多少のアップダウンを繰り返 しながら進む。 1時間ほどの長丁場だが、ほど良い森林浴になったような気がする (笑)。 広く開けた場所に出たと思ったら、そこが押手川だった。 小休止して、ここから雲海の分岐 までは往路を戻る。 雲海からは、別ルートで 「紅葉台」 を
経由して下ることにした。 富士見平方面の道標に従い、右側のなだらかな下り道へ入る。 笹の生茂る樹林帯を進むと、
壊れかけた…、と言うより 壊れた!! 休憩小屋(?) があり、「展望台」 と書かれた立看板とベン チの置かれた場所に出た。 どうやら、ここが 「紅葉台」 らしい。 しかし、ここは樹木に囲まれ ており展望の 「て」 の字も期待できない (笑)。 なんだこりゃ!! と思ったが、せっかくベンチもあ ったので小休止する。 紅葉台という場所なのに、展望台と書かれているのも変だなあ…と、考えていると、あることに
気が付いた。そうか、ここはきっと紅葉が見事な所で、その時期に紅葉を展望するための所な のだ…!! と、理解した (笑)。 紅葉台からは、「観音歩道入口」 の立看板がある遊歩道に入る。 適度に整備された山腹
のなだらかな林道だ、途中に 「千畳岩」 と書かれた大きな岩や ( 確かに大きな岩だが、いくら なんでも千畳は大げさすぎる!! ) 、「富士見台」 と名付けられた場所 ( ここからは富士山は見 えないが…? ) を通過し、観音平へと戻った。 出発時に入った登山口より、やや下側で駐車 場の入口付近に到着し、そこにも観音歩道入口の看板が立てられていた。 ![]() 後半の下りが結構長かったせいか、最後の方は下肢、特に膝の痛みが増してきたので、
少々ペースダウンを余儀なくされたが、良好な天候と大展望に恵まれたので充実した山歩きと なった。 駐車場所に戻り、足の痛みを癒すために(?) 早速、温泉へと向かう。 小淵沢IC入口まで戻っ
て、これを通過し国道20号線に出て、しばらく走ったところにある 白州塩沢温泉の「フォッサ・ マグナの湯」 を利用した。 高アルカリ性温泉で泉質は良いのだろうケド、露天風呂は周囲をガッチリ囲われていたため開
放感に乏しく、湯の方もあまり気持ちよく感じなかったのは何故だろう…。 循環利用のしすぎな のか…?、なんだか温泉自体に ”活きおい” が感じられなかったのだ!! ( ちょっと、キビシイか な…、笑 ) それはまあ、ともかく、一応の疲れと汗を流したところで小淵沢ICへと引き返し、帰路へとつい
た。 中央道からの車窓にも、八ヶ岳はクッキリと映えていた。 ( 2007.11.5 記 ) 山頂から望む天狗岳の双耳峰
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