筑 波 山 TSUKUBASAN
女体山 (877m)

男体山 (871m)

御幸ヶ原 (790m)
      筑  波  山  ( 877m )
平成25年7月19日(金), 日帰り
   ★ 総所要時間:4時間 00分
   ★ ハイキング標高差: 356 m
   行程行程・ハイキング
   行程ルートマップ


  一昔前だと "ガマの油売り"、近年では最も低い日本百名山として有名な、名峰 「筑波山
を訪れた。 広大な関東平野の北東部に位置する 筑波山の標高は900m にも満たないが、独
立峰であるため 遠方からでもすぐにそれとわかり、特徴的で美しい姿をしている。周囲に高い
山がないので 低山でも眺めは良好で、関東平野一帯の好展望台となっている。
筑波山は典型的な双耳峰の総称で、西側のやや低い方が 主峰の 「男体山」 (871m)、東側
の最高峰が 「女体山」 (877m) と呼ばれ、それぞれの山頂には 「筑波神社」 の 「男体山本
殿
」, 「女体山本殿」 がある。 その名とは裏はらに 女体山の方が荒々しい印象で、山頂部は
巨岩の積み重なった ロックガーデンの様相を呈している。
 登山に関しては、二つのピーク それぞれの山頂直下まで、男体山は 「筑波山ケーブルカ
」, 女体山は 「筑波山ロープウェイ」 が運行されているので、インチキが満載である (笑)。
実際、登坂にいずれかの機関を使えば、両ピークをハシゴして歩いても 1時間もかからないで
あろう。 なお、筑波山神社は男体山側の麓、ケーブルカーの 「宮脇駅」 に隣接し、その路線
とほぼ並行した登山道が 表参道となっている。 ちなみに、30年ほど前に観光目的で訪れた
際には、ケーブルカーで往復して 女体山まで歩いた記憶がある (汗)。
               
               ロープウェイから望む、女体山(手前)と男体山(奥)

 さて、どちら側から登るか? どこまでインチキするか? …によって、幾つもの選択肢があるわけ
だが (笑)、今回われらが選択したルートは次の通りだ。 女体山側からロープウェイを利用して、
まず 女体山の山頂に登ってから 男体山へ向かい、山頂を踏んだ跡に 山腹を一周する 「
波山自然研究路
」 を散策する。 それから再び 女体山側に戻り、今度はロープウェイを使わ
ずに 奇岩景勝が連続する登山道を下って 出発点の山麓駅・Pに戻る…、というプランだ。
敢えて 往復でロープウェイを使わずに、美味しい所 (楽な所) だけ歩き、いかにも登山しまし
た…的なレポートを 平気でかます当たりが、インチキのインチキたる 所以である (笑)。

 常磐自動車道の土浦北ICを降りて、一般道から表筑波スカイラインを辿って 約23kmで女
体山中腹の 「つつじヶ丘」・P (有料) に到着する。 筑波神社のある 表側のケーブルカー駅
ほどではないが、こちらも 観光の拠点となっているため 休日等はそれなりに混雑するそうだ。
身支度を整え、つつじヶ丘レストハウス内の つつじヶ丘駅からロープウェイに乗る。 高低差
298m を約6分で、女体山駅に到着。 既にここからも 関東平野が一望でき、運がよければ 「
富士山」 (3776m) も見えるという事だが、まずは真上に聳える 女体山の山頂へと向かう。

          女体山・山頂 (877m)

駅舎を出て、舗装された通路を少し登ると 山頂下の休憩所 (分岐) に出る。 岩の階段をひと
登りで 女体山祠が現れ、その裏が巨岩を積み上げたような女体山の山頂だ。 筑波山随一
の展望が得られ、霞ヶ浦や関東平野、太平洋も望めるが、足下は 四方が切れ落ちた断崖
となっているので 注意が必要だ。 西側には、もう一方のピーク 男体山も見えている。

  
         女体山頂からの眺め                 女体山から望む、男体山

 山頂下に戻り、分岐を直進して男体山へと進む。 少し下ると、すぐに "ガマの油売り口上"
発祥の地 とされる 「ガマ石」 がある。 確かに、大きく口を開けたガマガエルのように見える。
さらに 売店前の 「せきれい石」を見送り、「かたくりの里」 休憩所を過ぎると、鞍部の広く平
坦な広場 「御幸ヶ原 (みゆきがはら)」 に出る。 ケーブルカーの山頂駅の他に、土産物店
が幾つも立ち並び、とても山上とは思えない光景に驚いた。 平日にも関わらず、この日も賑わ
いを見せており、完全に観光地と化しているようだ。 保育園か幼稚園の遠足と思われる集団
と、小学校・低学年の 学校登山らしき団体も来ていた。 軽飲食のできる店も多々あるので、
この山には 食料を持参しなくても OKかもしれない (笑)。

  
                名物の 「ガマ石」                                 中央の鞍部 御幸ヶ原 (800m)

御幸ヶ原の西端から 岩混じりの登山道に入り、少し登ると男体山祠のある 男体山・山頂に
到着する。 ここからの展望も素晴らしく、関東平野の大パノラマが広がっている。 しばし休憩
してから男体山を下り、同じく御幸ヶ原から始まる 筑波山自然研究路 へと進むことにした。

         男体山・山頂 (871m)

男体山の中腹を ぐるりと一周する、約1.5km の気持ちの良い散策路だが、けっこう上り下り
があるので 登山靴の着用が望ましい。 コース中には 3ヶ所の展望台や、少年時代の 間宮
林蔵
が立身を祈願したとされる 「立身石」 や 「大石重ね」 などの見どころも多い (1周、約
1時間弱 )。 御幸ヶ原の売店の呼び込みと喧騒にはウンザリだが、それ以外の場所では豊
かな自然が残されており、この地で発見された ツクバ の名がつく植物 も数多く存在して
いるとの事だ (汗)。

 
                       筑 波 山 ・ 自 然 研 究 路

ふたたび御幸ヶ原に出て休憩した後、往路を引き返して女体山下の分岐まで戻る。 ここか
らの下山には ロープウェイを利用せず、南東面の登山道 「おたつ石コース」 を下る。
穏やかな山容からは想像できないが、この山 (特に女体山側) には巨大な岩石が多く、以
外に険しい。 この登山道では、奇岩・景勝の類が次から次へと現れるので、ややキツイ勾
配ではあるが 楽しみながら歩けるコースだ。下り始めから イキナリ急勾配の露岩帯となり、
丸みを帯びた岩の表面は滑るので注意が必要だ。 やがて大仏さまにそっくりな「大仏石
が現れ、そこから先は 名前の付けられた奇岩たちが 次々と現れるようになる。 

 
    屏風岩から、女体山の岩峰を見上げる              母の胎内くぐり

それぞれの奇岩には、名前の由来となった伝説 (?) などの短い説明の札が添えられてい
るので 結構おもしろい (笑)。 ざっと順に並べると、屏風岩, 北斗岩, 裏面大黒, 出船入
, 国割り石, 陰陽石, 母の胎内めぐり, 高天原…。 そして最後の 「弁慶七戻り」 は、
狭い巨岩に挟まれた 石門なのだが、今にも落ちそうな巨大岩が 頭上に引っ掛かった状態
で止まっており、弁慶がそこをくぐる際に 七回も行きつ戻りつして迷った…、という シロモノ
だ!! (笑)。  実際に現物を見ると、けっこうな迫力で タマゲルかも !? 勇気を出して石門をく
ぐった先が、中間点にあたる 「弁慶茶屋跡」 で、広々とした休憩所となっていた。

      弁慶七戻り (石門)

弁慶茶屋跡からは 表登山道の起点 筑波神社へと続く道も分岐しているが、ここは直進し
てロープウェイ・つつじヶ丘駅方面に向かう。 傾斜が緩んで、巨岩の替わりに ブナなどの
大木の間を進むようになり、やがて樹林を抜けると 視界が大きく広がった 「つつじヶ丘高
」 に出る。 この辺りは その名の通りツツジ園となっており、5月頃の開花時には一面が
赤く染まり とても美しいそうだ。 眺めも良好で気持ちがいい、終点の 駅舎&駐車場 も下に
見えている。 後は、セメントで固められた歩きやすい石の歩道を10分ほど辿り、つつじヶ丘
の駐車場に帰還した。

    つつじヶ丘高原 (上り方向)

 百名山に選ばれているかどうかは どうでもいい事だが、この山があらゆる意味で名山であ
る事は 間違いないようだ。 ただ、インチキな自分が言うのもなんだが… (笑)、この規模の山
にケーブルカーとロープウェイは、いずれか一方だけで 充分だったのではないだろうか ?!
どうやら、観光地として集客しようとする 思惑が強く、過剰なまでの人工設備を作り過ぎてし
まった感は否めない。 まあ、それはともかく… 筑波山は、観光・娯楽地としても、軽いトレッ
キングの場としても、あるいは一部に残された自然観察の場としても、それぞれの目的に充
分応えられるだけの 素晴らしい所だと思った。
最寄りの温泉としては、南山麓に 「筑波温泉」 があるが、今回は 以前に訪れた事がある
八郷町の日帰り温泉施設 「やさと温泉・ゆりの郷」 を利用して帰路についた。

                                  (2013.7.26記)

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