小川学長の「虚ろに響く“決意表明”」(2003.12.22):

《「学問の自由と大学の自治」は、絶対重要ですし、もしそれを侵すようなことがあれば、私は身を挺してですね、それを阻止したい。いま、○○さん、笑ってますが、私、○○さん以上にそういうこと思ってますから。あのー、真剣です、私は。》 

 

小川恵一学長とサイレント・マジョリティー3教授

03/12/04 『学長との対話集会』の記録(2003.12.22 より

 

 

【抜粋の抜粋】

本学では初めてとなる小川恵一学長との“対話”集会が、2003124日午後6時より大学院総合理学研究科の主催でとり行われた。・・・

 

(一般教員)

・・・そこで、学長は「学問の自由と大学の自治」の精神が、なぜ大事なのか、どのような経緯で、憲法23条や教育基本法などの法律でこういった規程が設けられるようになったのかを、いったい、ご存知なのかどうか、非常に基本的なことで恐縮なんですが、お答え願いたい。

 

(小川学長)

あのー、私は、・・・時の為政者がですね、支配した場合、どういう悲劇が起こるかということを、身をもって体験した人間ですから、学問の自由だとか大学の自治が大切だということは百も承知です。・・・「学問の自由と大学の自治」は、絶対重要ですし、もしそれを侵すようなことがあれば、私は身を挺してですね、それを阻止したい。いま、○○さん、笑ってますが、私、○○さん以上にそういうこと思ってますから、あのー、真剣です、私は。 (脚注1)

 

(一般教員)

具体的なことで、お答えにならないですね。

 

(小川学長)

今は一般論ですから、一般論で答えたんですね。・・・私は、それはいま多分、答えはないんだと思うんですね。それは、これからみんなで答える。ただ、ひとつはっきりしているのは、だからといって為政者がですね、学問の自由を侵していいか。それは絶対にありえない。そんなことしたら、学問はもう死んでしまう。・・・

 

(一般教員)

・・・この改革案を実らせて確実に実行した場合、大学から「学問の自由と大学の自治」の精神が根こそぎにされてしまうと、普通は考えます。一方で改革案を確実に実行し,一方で学問の自由と大学の自治を守る、学長は「○○さんよりも守る」と先ほどおっしゃいましたが、そのようなことが、どうしたらできるのか具体的に言って頂きたい。

 

(小川学長)

あの、具体的に答えろと言ってもですね、具体的にというのは、一つずつ実行していくということだと思うんですね。だからここで、なにか私に、「一般論の具体論」を答えろと言われても、私は答えを持っていない。先ほど、煙に巻くというのが、私の得意技であるというのは、まさしく逆に、私から言わせれば、○○さんの得意技であって、私はそんなことを言われるおぼえはない。私は、わたしの論理思考を正直にみなさんにお伝えしているだけで、(脚注2)○○さんがもしそれを、なんか煙に巻く得意技だと言うなら、それはもうしようがない。

 

(一般教員)

・・・具体的にどうやって守るかといえば、人事制度をどうするか、任期制などという教員の身分を不安定にする制度を導入するのがよいのか等、あるわけですよ。それに対してはまったく答えないで、あいまいなことを言ったり、これから考えるだのと言ったりするのはおかしいんじゃないですか。つまり、小川先生は、まったく分かってないってことじゃないんですか。

 

(と、ここまで懇切丁寧に、“具体的”に、どうやって「学問の自由と大学の自治」を守ればよいのか、そのヒントを与えられて初めて、どう答えれば“ピンボケ”回答にならずに済むのか、学長もようやく気づいたらしく、次のように回答したが、それは、教授会から人事権を剥奪して、経営審議機関や外部有識者からの非専門家の委員を通じて市長および横浜市官僚による統制が容易に行えるように設計された人事制度に関するステレオタイプな説明(しかも、虚偽の内容を含む説明)だけであり、同じく、問題の多い全員任期制や年俸制については触れることはなかった。これでは、「学問の自由と大学の自治」を守れる訳がない。“暖簾に腕押し”とはこういう状態を指すのだろう。(2005.11.27加筆))

 

(小川学長)

学長の諮問機関として人事委員会があって、人事委員会は、内部の教員と外部の人から構成するということになっています。市会でも、人事委員会の主たる構成メンバーは教員であるということを、きちんと私、市会の方でも答弁してますけれども(これは、ウソ。脚注3を参照のこと)。あの、なるべくそういう意味では、教員の主体性がきちんと現れるように、そういう人事委員会にする。為政者に振り回されるようなことはしないということで。だから、具体的な制度設計についてはですね、これからそういう方向で考えていくということですから、べつに、具体的に考えていないということではない。

 

 

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【抜粋】

本学では初めてとなる小川恵一学長との“対話”集会が、2003124日午後6時より大学院総合理学研究科の主催でとり行われた。・・・

 

 

(一般教員)

一人一問程度、しかも簡潔にやれと、最初に言われましたので、最も基本的なことをお聞きしたい。教員組合の報告によりますと、1111日の市議会での質疑応答の際に、関美恵子議員という方がいらっしゃいますけども、次のようなことを学長に要請しました。つまり、「憲法23条大学の自治の基本精神をもって進めてほしい。その立場でやっていただきたい。」と要請したのに対して、学長は、「人事委員会や他のことにも十分配慮している。私はその精神に乗ってやっていくつもりである。具体的に、大学改革をすすめるときもその精神を守っていきたい。」と答弁しましたが、「大学自治の精神を守っていきたい」という、そういう学長の答弁にもかかわらず、多くの良識的な大学人の間では、全国のことですけれども、改革案の真のねらいが「大学の自治」の破壊、すなわち、“官僚統制大学化”であって、これが先例となって全国の国公立大学に広がるのではないかと非常に危惧されておりまして、いまや全国の注目の的となっている、ということは学長もよくご存知だと思います。私には、さきほど学長が説明されたような事務局主導による改革案作成の過程、それ自体が、すでに大学自治の精神に反していると思うんですが、市議会での答弁では、

「大学自治の精神を守っていきたい」などと矛盾したことを言っているわけです。どうも、学長は、自分が矛盾しているということにまったく気がついていないふうに、私は思います。そこで、学長は「学問の自由と大学の自治」の精神が、なぜ大事なのか、どのような経緯で、憲法23条や教育基本法などの法律でこういった規程が設けられるようになったのかを、いったい、ご存知なのかどうか、非常に基本的なことで恐縮なんですが、お答え願いたい。

 

 

(小川学長)

あのー、私は、学問の自由と大学の自治は大切だということは理解していますし、私自身、身にしみてですね、私なりに、私は小学校3年生のときに終戦でしたから、そのなんて言うんですか、時の為政者がですね、支配した場合、どういう悲劇が起こるかということを、身をもって体験した人間ですから、学問の自由だとか大学の自治が大切だということは百も承知です。で、それだけではなくてですね、こういう自由がなければ、大学での研究なんていうのは、あの、クリエーティブな研究なんていうのは進まない。つまり、クリエーションていうのは、新しいものをつくっていくわけですから、そこにですね何らかの束縛があったら、クリエーションなんていうのはあり得ないわけですから。したがって、私は、学問の自由と大学の自治は、絶対重要ですし、もしそれを侵すようなことがあれば、私は身を挺してですね、それを阻止したい。いま、○○さん、笑ってますが、私、○○さん以上にそういうこと思ってますから、あのー,真剣です、私は。 (脚注1)

 

 

(一般教員)

具体的なことで、お答えにならないですね。

 

 

(小川学長)

今は一般論ですから、一般論で答えたんですね。それでね、もう一つ、逆に○○さんにお聞きしたいことがあるんですが、その、学問の自由とか大学の自治とかっていうのが、一方で非常に大切ですよね。で、もう一方でですね、学問、つまり中世のですね修道院が、大体ケルビン(?よく聴き取れない)の思想がそうなんですが、修道院から出てきているんですけれども、そういう、非常にですね学問が、何て言うんですかまだ、こう非常に揺籃期でですね、メンデルの大豆じゃなくて、エンドウをまいて、実験をやって花の種を数えてたという、そういう時代の学問とですね、今の学問では、科学の大きさというのが全然違うんですね。特に理系の場合、お金がまるで違うんですから。医系もそうです。そうするとですね、社会との接点というのを忘れることができないわけですね。学問というのが一方であって、もう一方では、社会との接点。また学問がですね、産学連携なんて言うのは、社会が雇用を創出するなんていうのも関係して、経済も関係して、というふうになってくる。そうするとですね、社会と学問との関係が非常に密接になってくる。そうすると、学問はですね全く自由に何でもやっていいかという、そういう問題になってくる。私は、それはいま多分、答えはないんだと思うんですね。それは、これからみんなで答える。ただ、ひとつはっきりしているのは、だからといって為政者がですね、学問の自由を侵していいか。それは絶対にありえない。そんなことしたら、学問はもう死んでしまう。だから、そこをなんとかその、緩衝地帯を作りながら。だけど、社会との接点、経済とも政治とも関係してきますけれども、そういう接点をですね、きちんとにらみながら、そして、大学の自治とですね、学問の自由を確立していくという、そういう難問に取り組まなければならない。で、この大学はですね、「あり方懇」でも厳しく問われたのは、やはりその、財政的な問題がひとつあるんですね。で、そういうことになってくると、これは学問の自由というのだけでは解決できない問題なんです。だから、そういう2つの点をどういうふうに調和していくか。これは是非ですね、みなさんも考えていただいて、あの、お知恵をですね、拝借したいというふうに思う。それはやっぱり、これから考えていく。だれも答えを持っていないというふうに、私、思いますけれども。これから、だから、この大学は、そういうふうにいいモデルを作って行くという、そのくらいの気概でやっていかないと、いい答えが出てこない。

 

 

(一般教員)

学長の得意技に、「その場限りの言い訳をとっさに思いついて言い逃れる」、あるいは、「あいまいな議論に誘導して煙に巻く」という得意技がありますが、いままさに、それが出たと思います。学問の自由は大事であると言うが、具体的にはどうするのか。10月17日の「学長声明」で「この改革案を実らせる」と言い、市長も12月1日の記者発表で「改革案を確実に実行する」と言明しておりますけれども、この改革案を実らせて確実に実行した場合、大学から「学問の自由と大学の自治」の精神が根こそぎにされてしまうと、普通は考えます。一方で改革案を確実に実行し,一方で学問の自由と大学の自治を守る、学長は「○○さんよりも守る」と先ほどおっしゃいましたが、そのようなことが、どうしたらできるのか具体的に言って頂きたい。

 

 

(小川学長)

あの、具体的に答えろと言ってもですね、具体的にというのは、一つずつ実行していくということだと思うんですね。だからここで、なにか私に、「一般論の具体論」を答えろと言われても、私は答えを持っていない。先ほど、煙に巻くというのが、私の得意技であるというのは、まさしく逆に、私から言わせれば、○○さんの得意技であって、私はそんなことを言われるおぼえはない。私は、わたしの論理思考を正直にみなさんにお伝えしているだけで、(脚注2)○○さんがもしそれを、なんか煙に巻く得意技だと言うなら、それはもうしようがない。

 

 

(中略)

 

 

○○(一般教員)

市長から人事と任期制と独法化の3つはしっかりやれと言われた。それから、「あり方懇答申」を踏まえてやれといわれた。これはやらないといけないわけですね。先ほど、小川先生は、自分は戦争中の経験もあると。だから学問の自由が大事であるということも分かっていると。これを体を張ってでも守ると。それでは、具体的にどうしたら守れるのかというと、何も出てこない。学問の自由を守るにはというあいまいな問いかけだから、あいまいに答えるしかないなどと言う。だけど、学問の自由と大学の自治の根幹は、人事や任期制。それと、独法化。これは教育公務員特例法はずしをねらっているんですが。ということで、具体的にどうやって守るかといえば、人事制度をどうするか、任期制などという教員の身分を不安定にする制度を導入するのがよいのか等、あるわけですよ。それに対してはまったく答えないで、あいまいなことを言ったり、これから考えるだのと言ったりするのはおかしいんじゃないですか。つまり、小川先生は、まったく分かってないってことじゃないんですか。

 

 

(小川学長)

学長の諮問機関として人事委員会があって、人事委員会は、内部の教員と外部の人から構成するということになっています。市会でも、人事委員会の主たる構成メンバーは教員であるということを、きちんと私、市会の方でも答弁してますけれども(これは、ウソ。脚注3を参照のこと)。あの、なるべくそういう意味では、教員の主体性がきちんと現れるように、そういう人事委員会にする。為政者に振り回されるようなことはしないということで。だから、具体的な制度設計についてはですね、これからそういう方向で考えていくということですから、べつに、具体的に考えていないということではない。

 

 

・・・・・・・・・・

(脚注1)

 小川学長は、《「学問の自由と大学の自治」は、絶対重要ですし、もしそれを侵すようなことがあれば、私は身を挺してですね、それを阻止したい。・・・あのー、真剣です、私は。》と、実際にやっていることとまったく矛盾する大見得を切って、満場の聴衆から失笑を買ったが、その後の評議会でも、この件について一楽教授により追及されて答えることができず、あらためてその厚顔無恥な無責任ぶりを暴露されて、公式の席上で、再度、アカハジを掻くことになった。

 

 『・・・大学ではなく市が改革を進め、人事の公募などをするのは、大学の自治の侵害である。学長は「大学の自治の侵害に対しては身を挺する」と言ったけれど、この点どう考えているのか、私と意見は異なるかも知れないけれど、学長の考えを聞かせてほしい」と質間したところ、「これまでの大学は、社会の期待に十分は応えていなかった、そこで、よい大学へ大学改革をしているわけで…等々、… 一楽さんの質問には答えられない」という、ある意味正直な回答がありました。私は「答えられないのですね」ということで、それ以上の追求はしませんでした。・・・』

 

『評議会報告』6月(2004/7/2up)学長は答えられなかった(2004.7.2 より

 

 

(脚注2)

この発言から、学長が「学問の自由と大学の自治」の本質をまったく理解していないことが分かる。なお、「学問の自由と大学の自治」の本質に関しては、下記の「大学人の会」による声明を参照されたい。

 

「横浜市立大学の新たな大学像について」に関する大学人の声明−「官僚統制大学」化をおそれる−(2003.11.25

 

 

(脚注3)

教員組合の報告によれば、実際には、学長がそのように答弁したところ、高井事務局長から異議が出て、報告書に書かれているものが全てである。』と答弁を訂正した。

なお、報告書(『大学像2003.10.29』)には、人事委員会の委員は、学長が理事長と協議して、教育研究審議機関、経営審議機関、および、外部有識者の中から決定する仕組みになっており、教員が主たる構成員になるなどとの記述はないので、明らかに学長の回答はウソと言える。

 

 実際には、さらに、《市大の特殊事情を配慮する。今までの通りで良くないところは、是正していきたい。》という“意味不明”の答弁が続いた。“市大の特殊事情”、“今までの通りで良くないところ”とはなにか?

 

教員組合:横浜市会大学教育委員会報告ほか(2003.11.18

 

(2005.11.27 up)