横浜の内視鏡医療過誤事件 4医師を書類送検 「倫理観の欠如許せぬ」 『東京新聞』夕刊(2007.2.23)

 

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070223/eve_____sya_____006.shtml

 

 

資料

「脳卒中から助かる会」ホームページ

“市民派”中田市長のダーティーな素顔

「ひでーなあ、こんな事をやっているのか」 市長は全部知っていた!! ――“青戸病院と同じ”・“マズイ。何があっても削れ” 醜悪!!「横浜市立脳血管センター」医療ミス“市長ぐるみ”隠蔽工作の全貌(2006.2.2)

“市民派”中田宏横浜市長の“ダーティーな素顔” 「一楽重雄: 松岡滋子先生不当人事不服提訴 第1回口頭審理傍聴記」 横浜市立大学の未来を考える『カメリア通信』第36号(2006.1.10)

松岡慈子先生不当人事不服審査、第3回公開口頭審理を傍聴して(2006.5.10)

『手術は実績作り』 脳血管医療センター訴訟 「東京新聞」神奈川(2006.6.15)

松岡慈子先生不当人事不服審査 第4回公開口頭審理を傍聴して 横浜市立大学の未来を考える『カメリア通信』第41号(2006.7.1)

《横浜市はまったくの「クロ」である。医療事故を隠蔽し、不当にも隠蔽の責任をセンターの医師に押し付けたのであった》 松岡慈子先生不当人事不服審査第6回公開口頭審理を傍聴して――真実はひとつ――国際総合科学部 一楽重雄 横浜市立大学の未来を考える『カメリア通信』第46号(2006.12.18)

 

 

横浜の内視鏡医療過誤事件 4医師を書類送検 「倫理観の欠如許せぬ」 『東京新聞』夕刊(2007.2.23)

 

 横浜市立脳血管医療センター(同市磯子区)で二〇〇三年七月、内視鏡手術を受けた同市の女性(53)が意識不明の重体となり重度の後遺症を負った医療過誤事件で、神奈川県警捜査一課などは二十三日、業務上過失傷害の疑いで、当時の脳神経外科部長(55)や執刀医(38)ら四人を横浜地検に書類送検した。

 

 調べでは、四人は〇三年七月二十八日、高血圧性脳内出血患者の女性に対し、未経験の内視鏡手術を行い、使ったことのない器具の操作で脳内の血管を傷つけて脳幹部に損傷を負わせ、高度機能障害に陥らせた疑い。

 

 四人は、内視鏡手術が初めてだった点などは認めたが、出血についての過失は一部否認しているという。

 

 女性はその後、開頭手術に切り替えられたが、全身まひなど重度の障害が残り、現在も寝たきりの状態が続いている。

 

■消えぬ家族の怒りと悔しさ

 

 やったことのない内視鏡手術で、女性患者に重い障害を負わせたとして医師四人が書類送検された横浜市立脳血管医療センター事件。識者からは、三人の医師が業務上過失致死罪に問われた東京慈恵会医大付属青戸病院の事件に似ていると指摘する声もある。命を預かる医師たちに慢心はなかったのか。長い闘病生活を強いられる女性患者と家族の苦しみは深い。

 

 「妻を壊し、人生を奪った倫理観のない医者を許せない」−。女性の夫は消えることのない怒りと悔しさをにじませた。

 

 二〇〇三年七月、救急車で運ばれる時、女性は会話ができた。今は、調子が良ければ家族の話に口の動きやまばたきで答えることはあるが、目を開けていても意識がないことや眠ったままのことが多いという。

 

 横浜市が依頼した外部の専門家が「医療過誤」と結論づけた調査報告によると、医師らには開頭手術をするか、手術せず保存的療法を行う選択肢もあった。なのに、未経験の内視鏡手術を院内の倫理委員会に諮らず、訓練もせず試みた。

 

 医師らは女性の夫に、内視鏡手術を唯一の選択肢のように説明した。夫はそのことに怒る一方、「いいかげんな医師から守ってやれなかった。手術の承諾書にサインする時、少しでも疑問を持てば妻を助けられたのではないか」と今も自身を責めて苦しむ。

 

 「警察にはよく調べていただいたが、節目は起訴。そのとき妻に初めて報告ができる」。夫は、書類送検のことを女性に伝えないつもりだ。

 

 未経験な腹腔(ふくくう)鏡手術で患者を死なせた「青戸病院事件」との類似を指摘する専門医もいるが、女性と夫が損害賠償を求めた民事訴訟で、被告の医師と市は今も過失を否定し、争っている。 (横浜支局・木村留美)

 

■退職相次ぎ定数の半分

 

 横浜市立脳血管医療センターは全国有数の脳卒中専門病院として期待を集めながらも、事件後は医師の退職者が相次ぎ、一時は医師不足から救急・急性期患者の受け入れを一部制限する事態にまで陥った。現在は当直体制を見直すなどして、通常の救急の受け入れを再開しているが、医師が定数の半分程度しかいない状態が続いている。

 

 同センターによると、常勤の医師は定数三十二に対し十六人。「四月になれば若干増える見込みだが、定数が埋まるほどではない」という。

 

 医師不足を補おうと、横浜市大病院から非常勤医師の応援を受けているが、それでも入院患者はベッド数三百床のうち二百床程度しか受け入れられない。

 

 

(写真説明) センターへの憤りと悔しさをにじませる被害者女性の夫=横浜市内で

 

 

(表)

横浜市立脳血管医療センターの医療過誤事件の経過

 

2003年

7月27日 女性が市立脳血管医療センターに運ばれる

28日 内視鏡を使った脳内出血の除去手術が行われ、女性が一時意識不明の重体に。全身まひなど重度の障害が残る

2004年

5月27日 センター内部から「手術に問題あり」との指摘を受け、市が外部の尊門家による調査委員会設置を発表

9月24日 外部調査委員会が内視鏡手術の経験不足による「医療過誤」と結論づける報告書をまとめる

2005年

1月25日 市が衛生局長やセンター長ら25人を停職や減給などとする懲戒処分を発表

26日 中田宏市長が当時のセンター長ら幹部3人を更迭する人事異動を発表

3月17日 女性の家族が執刀医らを業務上過失傷害容疑などで県警磯子署に告訴。横浜地裁に損害賠償を求める民事訴訟を起こす

5月29日 横浜地裁で民事訴訟の第1回口頭弁論。医師と市側は医療過誤を否定

2006年

3月9日 県警がセンターと市病院経営局を業務上過失傷害容疑で家宅捜索

2007年

2月23日 県警が同容疑で医師4人を書類送検