KIRIGAMINE
八島ヶ原湿原

車山 (1925m)

蝶々深山 (1836m)
     八島ヶ原湿原・鎌ケ池
●平成14年8月7日(水), 現地日帰り
   ★ 総所要時間 : 5時間58分
   ★ ハイキング標高差 : 279m
   行程行程・ハイキング
  行程ルートマップ


 気温35℃超。眺望には抜群の日であったが、とにかく暑い。しかし、最後まで良く頑張った。
大自然の中に立つと本当に気持ちがいい、暑さも疲れも一気に吹き飛んでしまうようだ。前回
に較べると、「山登り」としては楽であったが、歩行距離はかなり長い。気温がもう少し低かった
ら、きっと快適に歩けたと思う。まあ、贅沢は言うまい。好天に恵まれ絶景を拝めたのだか
ら・・・。
 
湿原入口から見た全コース遠景              さあ、出発だ。

 夏休みの帰省中だったので、長野の家から出発。ママはお仕事のため欠場だ。諏訪I.C.から
本年より無料開放されたビーナスラインを通って霧ヶ峰を目指す。
ビーナスラインは、茅野から蓼科・白樺湖・霧ケ峰・美ヶ原を結ぶ、わが国屈指の山岳観光道
路で、その名に恥じない極めて美しい景観を誇る快適なドライブルートとして人気が高いが、通
行料金も高く、全線を通ると3000円にもなっていた。それが20年の歳月を経て、無料化され
た。料金もさることながら、5箇所もあった料金所でいちいち止まって停滞していたのに較べる
と、快適さも段違いだ。その中でも、車山高原と霧ヶ峰はラインのちょうど中央に位置する、観
光のハイライトともいえるエリア。

 霧ヶ峰とは、車山から噴出した溶岩でできた広大な高原で、車山、踊場(通称・池のくるみ)、
八島ヶ原の三大高層湿原とススキ草原に囲まれた一帯を指す。今回は、その 最大湿原であ
八島ヶ原を起点として、霧ヶ峰の最高峰・車山を目指す全長約13kmのコースを選択した。難
易度は「家族向き」で、コースの標高差は279m。ちなみに、霧ヶ峰・車山は日本百名山の一つ
であ る。
              八島ヶ原湿原・入口

 八島ヶ原湿原入口の公共P(無料)に車を停め、いよいよ出発だ。
八島ケ原湿原は日本最南の高層湿原で、一万年以上も昔から泥炭層が堆積して8mにも及ん
でいる貴重な湿原で、国の天然記念物に指定されている。東西700m,南北800mの広大なエリ
アの周囲を、1周 1時間30分ほどの木道コースが設定されている。 

 ここでは、入り口から左側の鎌ヶ池方面を歩き、まずは鎌ヶ池キャンプ場を目指した。良く整
備された木道で、すれ違いも楽で歩きやすい。クロユリ、ミズゴケなど200種以上の高山植物が
自生しているらしいが、どれが何なのかよくわからない(^^); 。しかし、とにかく美しい(!!)。
 キャンプ場からは湿原を離れて、いよいよ山道だ。と言っても、草原の中のトレッキングとい
った感じで徐々に登って行った。振り返ると、かなり登っていたのに驚いた。下の写真がそれ
だ、いつのまにか湿原が一望できる位置にいた。湿原のはるか後方に見える赤い小さな屋根
が、出発点の駐車場のある場所である。

          

 さらにひと登りして、小高い展望台である「物見岩」に到着した。
この時点でようやく全コースの4分の1である。ここで、最初の休憩を取った。マユは持ってきた
靴が山歩きには向かず、とても歩きづらそうで、しきりに足を気にしていたが「最後まで頑張
る。」と、気力は充分だった。けっこう小さな子供を連れた家族連れも何組か来ていた。

    
          物見岩にて、後方に湿原               目的地の車山が、視界に入る

 山歩きでは、すれ違った人たちが「こんにちは。」と、声を掛け合うのが常態化しているが、こ
の日のマユの声はひときわ大きく、ハッキリとした口調でとても気持ちよかった。自分もちょっと
鼻高々な気分となった (笑)。 物見岩を後にして、先へ急ぐ。
ここからは草原歩きで、少し下った後ふたたび登り始め、蝶々深山の山頂(1836m)にたどり着
いた。

     
           物見岩(後方)を後にする               蝶々深山・山頂

     
                       蝶々深山から車山へ

 地元の小学生らしき団体がたくさん来ていて、賑やか(と、言うよりうるさかったが)だった。山
頂から尾根伝いに下っていく、だんだん車山の山頂が近づく。車山山頂には巨大な天球ドーム
型の気象レーダーが設置されているので、何処からも容易に見つけやすい。以前はここに山
小屋風の売店があったのだが、平成11年に富士山レーダーに代わり、ここに設置されたらし
い。
やがて、少し登り返したところで、「車山乗越」の分岐点に着いた。緩やかに頂上に至る車道
と、急斜面の登山道に分かれたが、ここでは二人とも一致して階段状の急斜面ルートを選ん
だ。今回のコース中最大の難関である。これを、リフトで楽チンに上が ってくる連中を横目で睨
みながら、やっとこクリアするとついに車山山頂(1925m)に到着し た。

     
                              車 山 ・ 山 頂

 山頂からの360度の眺望は、期待通りに素晴らしかった。遥か彼方に富士山の雄姿も見ら
れ、近くにそびえる蓼科山も堂々たる姿をしている。麓に白樺湖も見えた。さらに、美ヶ原に続
く台地や、アルプスの山々、八ヶ岳連峰もくっきりと見渡せた。
車山山頂へ来たのは、これで確か4回目である。最近では数年前に親兄弟を含めた家族6人
でリフトを使って登った。マユにとっても2回目となる。自分の足で登ったのも初めてではない
が、以前は車道(この後の下山コース)を40分ほど歩いて登ったので、本格的な登山コースとし
ては始めてである。いずれにしても、今回の眺望が最高だったと思う。

「来てよかった。」マユがそう言ってくれたのがとてもうれしい。山頂の売店を期待していたのが
唯一の誤算だったが、残っていたおにぎりと飲み物で食事と休憩を取り、山頂を後にした。よう
やくコースの折り返し地点を過ぎ、後半に突入。ここからは、一般の観光客が歩いて登ってくる
車道を下りコロボックルヒュッテやドライブインのある観光スポットを目指して進む。ドライブイ
ンで高原牛乳やら軽食を取り、飲み物を補給。ふたたび、草原の道を抜けて沢渡へ。
 
             後半に突入、沢渡へ                八島ヶ原湿原に戻ってきた

 途中に小さな小川があった。冷たくきれいな水だったので、手や顔を洗いちょっと汗を流し
た。いくぶん広い山道(車道)に出て、しばらく進むと旧御射山遺跡に近いヒュッテ御射山にた
どり着いた。ここには湧水があったので、喉を潤しただけで足早に帰路を急いだ。
 ようやく、八島ヶ原湿原の南端に出た。残り5分の1程度の道のりになった。振り返ってみる
と、超えてきた蝶々深山と車山が遥か彼方に小さく見えている。
「ずいぶんと歩いてきたものだ。すごいねえ。」二人の言葉が一致する。そして、お互いに称え
合う(?) 美しき親子愛(??)
往路と反対側の八島池側の木道を進み、出発地点に戻ったのは、すでに午後4時を過ぎてい
た。

 本当によく頑張った。よく歩いた。炎天下の山歩きは想像以上に体力を消耗した。腕と後ろ
首、そして帽子からむき出しの耳が、日焼けで真っ赤になり痛いほどであった。
 長い道のりだったが、今回も怪我をすることなく、たくさんの「よかった」を得ることができたと
思う。ママにも是非この美しき景色と、感動を共有してほしかったところだが、また次がある。
自分の足で歩けるうちに、より多くの「よかった」を家族と共に重ねていきたいと願う。 

           2002.8.11 (記)




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