●平成17年5月3日(火), 現地日帰り ★ 総所要時間: 4 時間 15分 ★ ハイキング標高差: 94 m
美ヶ原高原は、八ヶ岳中信高原国定公園の最北端に位置する、標高2000mの広大な溶岩
台地である。 主峰(最高峰)の「王ヶ頭」(2034m)を中心として、北に「武石峰」(1973m)、南に 「茶臼山」(2006m)、西に「王ヶ鼻」(2008m)、東には「牛伏山」(1990m), 「物見石山」(1985m)と 続く約1千haを超える大草原は、高原台地としては日本一の広さを誇るそうだ。 牧歌的な草原風景に加え、北・南・中央の日本アルプス, 八ヶ岳, 浅間山, 北信五岳といっ
た日本の屋根といわれる中部山岳の大展望が、高原のどこからでも360度の大パノラマとして 楽しめる。 現在では山頂付近までビーナスラインが通っているので、登山の対象となる山で はないが、ここも日本百名山の1座として登録されており、軽装で手軽に雲上のハイキングを 楽しめるのが最大の魅力だ。 美しさを満喫するには、やはり大草原に200種類以上の亜高山植物が咲き乱れる夏場が一
番なのだが、残雪の残るこの時期も 真っ白なアルプスが、壁のように横一列に連なる風景は 壮観である。 また、冬眠明けの足慣らしとしても最適の選択だ(笑)。 ( …実はこの地も郷里 から近いため、過去に何度も訪れているので、その美しさを良ーく知っているせいもある… ) 美ヶ原へのアプローチも何通りかあるが、今回は山本小屋から山頂の王ヶ頭を抜けて、断崖
の王ヶ鼻に至るメインルートを往復する ” 最も手軽な山歩きコース “ とした。 美ヶ原牧場を背に
![]() ゴールデンウィークの真っ只中なので、混雑を予想して早めに長野市内を出発。道路は比較
的順調に進み、松本ICで下りてからR158経由で「よもぎこば林道」をぬけて、扉峠からビーナ スラインに合流。 好天にも恵まれ、快適なドライブで美ヶ原高原に到着。 「山本小屋」の隣 にある村営の無料Pに駐車した。 山本小屋は「展望レストラン・山本小屋」となって、ずいぶんと立派な建物になっていた。1
階が売店と喫茶・レストラン、2階が団体用のレストラン・宴会場、3階は「山本小屋自然資料 館」と充実した施設で、観光にもハイキングの起点基地としても、非常に便利に利用できる。 9時の開店に合わせて、喫茶コーナーで小休止 (いきなり!!) したあと、山歩きを開始した。
ほぼ平坦な歩道 (車道でもあるが、一般車は通行禁止) を高原のシンボルである「美しの
塔」を目指して進む。 中間地点で山本小屋の別館としてスタートしたと言われる「美ヶ原高原 ホテル」という山小屋風のホテル(!?)を通過する。ここでは、ジンギスカンが名物で、宿泊客以 外でも敷地内のジンギスカンコーナーが利用できるそうだ。また、このジンギスカンは山本小屋 のレストランでも、簡易型の「ジンギスカン定食」として食べられるので、時間に余裕のない人で も気軽に楽しめるのがイイ(笑)。 ![]() そこから5分ほどで、美しの塔に到着。 高さ6mのオベリスク風の鐘楼で、高原のシンボル的
存在となっているが、本来の目的は濃霧の際に方向を見失った人々を導くために鳴らす鐘で、 遭難防止の避難場所として建てられたものだ。ちなみに同様の鐘楼が、お隣「霧ヶ峰」の「忘 れじの丘」にもある。 しばし休憩した後、先に見えている電波塔が林立する一段高くなった王ヶ頭の山頂を目指し
て進む。 周囲一帯は牧草地で、時期には広大な草原に放牧された牛の姿が見られるはず だ。 途中、その牛たちに塩を与える補給所の「塩くれ場」を通過する。塩くれ場から30分程、 緩やかな登り勾配を歩いて王ヶ頭の山頂部分に着いた。ここにも立派な「王ヶ頭ホテル」が建 っており、ロビーの喫茶コーナーでおいしい高原牛乳を飲みながら休憩をとった。なんだか、今 回は休憩ばっかりだ!! (笑) ![]() 三角点のある山頂の最高地点は、このホテルの裏側(西側)にあった。高台なので美ヶ原全
体が良く見渡せるのだが、いかんせん周囲にニョキニョキ立っているテレビ局の電波塔が邪魔 だ。生活に必要なものであることは良くわかっているのだが、個人的には自然の景観を著しく 損なっているように思えてならない。もうチョット、どうにかならないものなのだろうか…!? 西の下の方に王ヶ鼻らしき岩場が見えている。いったん下って鞍部に降り、王ヶ鼻へと向か
う。 王ヶ鼻は、王ヶ頭から西に伸びた尾根の突端で、その頂上は剥き出しの岩場となっており断
崖絶壁だ。 風雨にさらされた数体の小さな石仏がある。王ヶ頭より低いのだが、余計な人工 構造物(!!)が無い為、この頂からの眺めのほうが美しく感じた。 この日は上空に雲がほとんど 無く、まだ雪化粧の残った日本アルプスの白い連なりが青空に良く映えて美しい眺めだ。 ![]() 眼下に広がる松本平と北アルプスの展望
大展望を楽しんだ後は、往路をそのまま引き返す。王ヶ頭の山頂部分を過ぎると、電波塔群
が視界から消失してすっきりした景観となり、気持ちの良いハイキングとなった。 進行方向の 右側には、八ヶ岳連峰と蓼科山が (距離的に近い為) 大きくハッキリと見えているし、正面のや や左方向には白い噴煙を上げる浅間山の姿も見られた。そして、左側には白いアルプスの壁 が続いている。この日は、本当に良い景観に恵まれた。 ![]() ![]() 王ヶ鼻(2008m) と 石仏群 蓼科山(左側) と 八ヶ岳連峰
塩くれ場、美しの塔と辿って山本小屋に戻ったのは、すでに2時ちかくだった。高低差がほと
んど無く距離も短かったが、タップリと時間をかけて歩くのもたまにはいいものだ。 少し遅めの昼食は、山本小屋のレストランで美ヶ原名物のジンギスカン定食(1500円) にし
た。やわらかくて味の良い羊肉は絶品だ!! 高原の野外で食べれば、もっと美味しくなるに違い ない (笑) ちなみに今回は行かなかったが、山本小屋から北に15分ほどで、隣の牛伏山(1990m) に登
ることができる。 ここも展望が雄大で気持ちがいい。また、この山の東斜面一帯が「美ヶ原高 原美術館」となっており、箱根の「彫刻の森美術館」の姉妹館でもある。野外の広大な草原状 斜面に400点余りの彫刻が立ち並ぶ様子は、帰りの車窓からも覗くことができた。 ![]() と、いう訳で… 車に乗り込み、帰りは登ってきた道を引き返さずに美術館側へ直進し、ビー
ナスラインの終点から武石峠を通って降りることにした。 山の反対側 (武石村) に出たことになる。以前にも訪れた、武石温泉「うつくしの湯」に立ち寄
ってから家路へとついた。 温泉から振り返ると、ついさっきまで歩いていた美ヶ原の山並みが 美しく青空に映え、対面には浅間山の姿も見られる。 少し汗ばむくらいの、のどかな春の一日であった。 ( 2005.5.16 記 )
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