HINATAYAMA
日向山 (1660m)

ガンガワラ (雁ヶ原)

錦 滝 (1340m)
   日向山 (ガンガワラ, 1660m)
平成22年7月28日(水), 日帰り
   ★ 総所要時間: 3時間 50分
   ★ ハイキング標高差: 530 m
   行程行程・ハイキング
   行程ルートマップ


 およそ2年弱の休止期間を経て、インチキ山屋の活動再開である(笑)。 その記念(?)すべき
第1弾として選んだお山は、南アルプス甲斐駒ヶ岳」 (2967m) の前衛峰で、ナント! “山の上
に砂浜がある” という(?!) 不思議な山 「日向山(ひなたやま)」 (1660m) をめざした。
 日向山の山頂部西斜面は、広い範囲にわたって花崗岩が風化して白い砂礫と化しており、
まるでビーチと見間違うばかりの珍しくも美しい景観が展開しているのだ。 「ガンガワラ (雁ヶ
原)
」 と呼ばれる ( “愛の国” の事ではない! …あ、あれは “ガンダーラ” か?! 寒っ) その山
頂部は、甲斐駒ヶ岳や 「鳳凰三山」、「八ヶ岳連峰」 の好展望台でもあり、よく晴れた日は白
砂がキラキラと光って眩しく、文字通り ”日向ぼっこ” にも最適な所なので(笑)、一度訪れたな
ら決して忘れられない山となるに違いない。

                    日向山・登山口 (1130m )

 中央自動車道の長坂ICを出て、国道20号線の 「道の駅・はくしゅう」 をめざす。35℃近い猛
暑で天気は良いのだが、雲が多く高速道からは八ヶ岳, 甲斐駒ヶ岳はいずれも雲に覆われて
見えていなかった (晴天時は両山とも良く見える)。 また今回も展望は無理かな (苦) と、思い
つつも微かな希望を胸に (笑)、 道の駅の手前を折れて 「尾白川林道」 へと向かう。
この林道は舗装されているものの車1台分位の幅員しかなく、車同士がすれ違いできる箇所は
かなり少ないので注意が必要だ。 舗装が切れて砂利道に変わったところで、しばらく進むと 少
し広くなった場所 (駐車スペース) に出る。 そこが事実上、林道の終点にあたる 「矢立石
(1130m) で、「日向山ハイキングコース入口 (登山口)」 の立札がある。
この辺りの脇に車を停めるのだが、6〜7台分のスペースしかないので、休日などで満車の場
合はマイカー登山ができない可能性もある。 ちなみに、麓にある 「駒ヶ岳神社」 から歩く古い
登山道もあるようだが、整備状態が悪く 現在では矢立石から登るのが一般的だそうだ。

    
          雑木林の急登を進む                カラマツ林と笹原に変わる

 矢立石に車を置き、身支度を整えてハイキングコースの道標に従って登山道に入る。 雑木
林の中をジグザグに、しばらく急登が続く。 樹林に妨げられて日差しは当たらないので、まだ
いい方なのだろうが…、とにかく暑いっ!!  猛暑, 酷暑に、 ドッコイ暑 (!?) まで加わって(笑)、
久々の山登りなので体力的にもキツイのだ (汗)。
少し登ってはちょっと休み…、を繰り返しながら40分ほど経過したあたりから徐々にカラマツ林
へと変わり、傾斜が緩くなってきた。 途中で富士山展望所とか、八ヶ岳展望所と書かれた小さ
な札が木につけられている。 ずっと樹林帯の中の登りが続くので、時々林間からそれらの展
望が得られれば、かなり励みになる事だろうと思うが…、本日は雲が多くて展望はない(悲)。
 やがて、クマザサの中を登山道が貫くようになると勾配はかなり緩やかになり、身体の方も
順応してきたので(笑) だいぶ楽になった。 笹原をさらに進むと、ゆるい下りになって鞍部に到
達する。 そこには小さな 「雨量観測計」 が据え付けられていた。

     
     鞍部(1650m )に設置された雨量観測計          日向山・山頂 (1660m )

 しばし休息したところで、鞍部から登り返してゆく。 10分ほどの登りで分岐点に出る。 これを
右に折れるとすぐに、笹と樹木が円形に払われた場所に埋め込まれた二等三角点が現れ
た。 どうやら、ここが日向山の山頂にあたるらしい。 なんとも目立たない所で、樹木に囲まれ
ているため展望もない。
すぐに分岐点に戻り、元の登山道を直進して しばらく進むと樹林帯の切れ目に突き当たる。
そこを飛び出た所が、目の前が真っ白に広がった ガンガワラ である。

    
     樹林帯の切れ目、これを抜けると…          山上の砂浜 ・ ガンガワラ (1660m)

 思わず「おおーっ!!!!」と、唸らずにはいられない眩しい光景であり、まるで別世界にワープして
しまったかのような錯覚さえ感じる (ちょっと大げさすぎる…?! 笑)。 登山道から出てすぐの場
所に立つと、本当に白い砂浜の 「ビーチ」 そのものだ。 「日向山・山頂」 を示す標識 (立札)
は、そのすぐ左端に立てられていた。

    
     西側の先は急激に切れ落ちた断崖               八ヶ岳連峰 方面

 かなり広い範囲にわたる “砂浜” を歩いて散策してみる。 所々に花崗岩が風化してできた
岩塔群がニョキニョキと生えているように見えたり、様々な形の巨大な風化した岩が散在して
おり芸術的でさえある。 青空と白砂のコントラストや、外れ (端) の方ではダケカンバの美しい
緑とも調和しており、いつまでも留まっていたいような不思議な気持ちになる。
ただし、ガンガワラの先 (西側) の方は、急激に切れ落ちた崖になっているので、あまり近づく
とズルズル引き込まれて谷底に落ちる “アリ地獄” 状態となるので非常に危険だ。

          
               甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山 は、雲に覆われたまま

 ところで…、しかしである (怒) ! 残念ながら (いつもの事だが…)、周囲の山岳展望は殆んど
得られなかった (涙)。 正面方向の 「雨乞岳」 (2037m) が見えているだけで、大きく見えるは
ずの 甲斐駒ヶ岳や、鳳凰三山、八ヶ岳連峰に 富士山…、といった面々はいずれも厚い雲の
カーテンに隠れたままだ (悲)。 これらの眺望もガンガワラの白い砂礫ごしに見ると、また格別
であったに違いない。

   
  ガンガワラの南西方面へ、砂礫をトラバースする   さらに砂礫を急降下(滑降)し、先端の鞍部へ

 去りがたい場所ではあるが、充分に休憩したところで下山に取り掛かる。 ガンガワラを南西
方向に砂礫の斜面をトラバースする。 登山者や獣に踏み固められて薄茶色に変色した跡を辿
って行くと、続いて砂礫の急降下となる。 かなりの急斜面で、ズルズル滑り足場が殆んどない
ので慎重に下る…と言うか、慎重に場所を選んで滑り降りる…の方が正しい表現だ (笑)。

                           
                        降下した後、ガンガワラを振り返る

 下り切った砂礫の鞍部に立札があるので、「錦滝」 方面の左側へと更に下る。 ガンガワラの
周縁部に降り、その先は再び樹林帯へと続いている。 ここで立ち止り、後ろのガンガワラを振
り返ってみると、白い砂漠の山を見ているかのような不思議な光景だ。

    
       樹林帯に戻り、沢づたいに下山する     鉄梯子や鎖場を含め、急勾配の下山路

 樹林帯に入ると急に暗くなったような感じで (眩しい位の白砂の別世界から、イキナリ現実の
山道に戻された訳だから、無理もないが… )、沢混じりの樹林帯を下ってゆく。 すぐに急勾配
の下山道となり、一気に高度を下げる。 この下り道は足腰の弱い人には辛いかもしれない。
実際、自分はその部類の人種(?) なので、ゆっくりと慎重に下ったのだが、腰をかばって歩く為
に膝に負担がかかる…という悪循環で、最後の方では膝が笑ってしまい少々難儀した。
途中、鉄梯子やロープを使っての下りなどがあり、ガンガワラを出てから約1時間 (標準タイム
は約40分) ほどで 「錦滝」 のすぐ脇に到着した。

                   錦滝 (1340m)

 岩肌に沿うように流れ落ちる滝で、水量は多くないが涼しげで趣もあり、綺麗な滝だ。 小川
の脇には滝見の東屋が建てられており、休憩場所にもなっている。 そのすぐ目の前を通る林
道が、登山口の矢立石から続いている尾白川林道だ。
おいしい天然水を補給したところで、その尾白川林道を歩いて矢立石へと戻る。 殆んど平坦
な未舗装道で、すでに車両通行止めとなっているので車は来ないが、所々で倒木や崩落した
跡があるので注意が必要だ。 40分ほどのんびり歩いて、初めに車を止めた矢立石に無事帰
還した。
           
              車両通行止め区間の尾白川林道を歩いて戻る

 車で尾白川林道を下り麓まで戻ると、道の駅・はくしゅうの手前に 「白州・尾白の森名水公
園べるが
」 という観光施設がある。 その中に日帰り温泉の 「甲斐駒ヶ岳温泉・尾白の湯
があるので、お約束である山登りの後始末 (?) をする事にした (笑)。
 久々の山登りとして選んだ日向山は適度の体慣らしになったし、何と言っても山頂部のガン
ガワラは魅力的な所である。 眺望に恵まれなかった事でもあるので、是非もう一度訪れて、ガ
ンガワラからの甲斐駒と八ヶ岳を眺めに来ようと思った。
                                             ( 2010.8.9 記 )


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