KINTOKIYAMA
金時山 (1213m)

長尾山 (1150m)

乙女峠 (1000m)
  金時山 (1213m), 東名・足柄SAより
平成22年11月11日(木), 日帰り
   ★ 総所要時間: 4時間 10分
   ★ ハイキング標高差: 498 m
   行程行程・ハイキング
   行程ルートマップ


 「マサカリ担いだ金太郎」 でお馴染の伝説が残る、箱根外輪山の最高峰が 「金時山
(1213m) である。 箱根の全山でも主峰の 「神山」 (1438m), 「駒ヶ岳」 (1356m) に次ぐ高さを誇
るが、ハイカー人気では恐らく箱根で1番高いのではないだろうか。 「富士山」 (3776m) と箱根
の眺望に優れ、シーズン中の土曜・休日では山頂もコースも満員状態になることは珍しくな
いという。 この日も平日であったのに、けっこうな数の登山者たちが訪れていた。
童話ではクマと相撲を取った怪力の持ち主とされた “金太郎さん” は、平安時代後期の武将
坂田金時」公の幼名で、この山には金時公を祀る 「金時神社」 をはじめ、数々の伝説が残
されている。 山名の由来は、その金時公にちなむものだが、山の形が尖っていることから 「
鼻岳
」の別名もある。 また、山頂に建つ二つの ”茶屋” も、この山の名物となっているそうだ。

                
                    箱根山の最高峰、神山 (1438m) と大涌谷

 東名高速道路の御殿場ICから国道138号線を仙石原方面に向い、乙女峠トンネルを過ぎ て
3kmほどの所にある金時神社の駐車場を利用する。 神社の駐車場は無料だが20台ほどしか
停められず、既に満車状態。 そのすぐ手前にあるゴルフ場の駐車場 (1日500円) を利用し
た。 余計なことだが、このゴルフ場は本業の客よりもハイカーによる駐車の方が多いのではな
いだろうか!? (笑)。

 まずは金時神社の社殿に向かう。 境内には小さな土俵があり、マサカリも安置されている。
その神社脇のヒノキ林から延びる登山道を歩くのだが、うす暗くひんやりとした道だ。 左側に
坂田金時公の碑と、「金時手鞠石(てまりいし)」 を見て緩やかに登っていくと、明神林道を横
切って「金時神社・奥の院」入口 に到達する。 右手の林の中に少し入ると、大岩の上に小さ
な祠が建ち、ここにもマサカリが安置されていた (笑)。
そこから更に進むと、パックリとふたつに割れた巨大な岩の正面に出た。 「金時宿り石」の札
が立てられた巨岩は、伝説によるとあまりの寒さでふたつに割れ、この岩の下で金太郎と母親
の山姥が夜露をしのいだという事だ。 左脇から登って岩の上に出た後は、しばらく平坦路が続
き山腹を東に横切ったところで傾斜が増してくる。

                    金時 宿り石

 灌木の斜面を着々と登っていくと、後方に神山と 「大涌谷」, 「芦ノ湖」 が見渡せるようにな
り、やがて外輪山の稜線上 「仙石分岐」 に達する。 ここからは、仙石原の広い視界と丹沢の
山並みを望みながら稜線上を進むが、滑りやすい赤土とゴロゴロとした溶岩が目立ち、若干の
鎖場を含む急登となる。 最後に急な階段状の道を登り切ると、大きな岩が露出して荒々しい
感じの山頂に出た。

                 
                     稜線上からの 箱根町・仙石原方面の展望

 山頂では何と言っても大きく裾野を広げた富士山の展望が素晴らしいが、大きな山頂標の前
にはテーブルやベンチが置かれ、その横に2軒の名物茶屋が建っている。 どちらも通年営業
だそうで、そば・うどんなどの軽食だけでなく、オリジナルの “金太郎グッズ” なども売られてい
た。もちろん、あの “丸金印の腹掛け” もあった (笑)。 夏場では、自家製の金時豆を使用し
た “氷金時” が特に人気のメニューとなっているそうだ。

    
          金時山・山頂 (1213m)             富士山を望む、絶好の展望台

 朝から良い天気で麓からは富士山もスッキリと見えていたのだが、山頂到着時には雲の量
が増えて中腹に大きな雲塊が横たわっていた。 それも刻々と厚みを増して、20分もしないうち
に富士山はスッポリと覆い尽くされてしまった。 あと少し遅かったら全く見えなかったので、”ま
あ良し” としておこう (苦)。
この日はやや不鮮明だったが、富士山の右奥には南アルプスの 「北岳」 (3192m), 「甲斐駒ヶ
」 (2967m), 「鳳凰三山」 (2840m) が見えるそうだ。 左側には 「越前岳」 (1504m), 「位牌
」 (1458m) をはじめとした愛鷹連峰がよく見えている。 地続きで連なる箱根外輪山の先、
南方面では神山と駒ヶ岳が大きな山容でどっしりと構え、中腹の大涌谷からは白い蒸気が立
ち上っているのがわかる。 その手前に 「早雲山」 (1151m)、右には芦ノ湖の水面が輝き、最
奥の 「三国山」 (1102m) までクッキリと見渡すことができた。

   
    山頂から望む、愛鷹連峰 ( 右が越前岳 )        山頂より、箱根外輪山と芦ノ湖

 さすがに人気の山らしく、平日でも山頂の人口は多めだ。 広さはあるが、仙石原側は断崖と
なって切れ落ちているので注意が必要だ。 早めの昼食と、たっぷりの休息をとった後、下山に
取り掛かる。
外輪山の稜線伝いの尾根道を南側に進み 「乙女峠」 方面に下る。 はじめのうちは大岩の
間を縫うように急勾配を下るが、すぐに傾斜は緩やかになり見通しの良い笹原の尾根道とな
る。 後方を振り返ると樹林越しに金時山の山頂部が見え、この山の別名が猪鼻岳であること
の理由がよくわかった。 40分ほどで本コース稜線上の中間点にあたる 「長尾山」 山頂
(1144m) に到着した。 平坦な広場のような山頂で、標識がなければ気がつかないであろうし、
展望も得られない。 一息だけついて、そのまま尾根道を直進し乙女峠へと向かう。 15分ほど
の緩やかな下りで 乙女峠・分岐点に到着した。 ここにも立派な茶屋が建ち、ゆっくりと休憩
するには最適な場所だ。 西側には展望台も造られていて、ここからでも良好な富士山の眺望
が得られる (この時は、すでにお隠れ中であったが…)。

           乙女峠 ( 1000m )  

 ここでも軽く休む程度に留めて先へと進む。 今回はここまで比較的楽な下山路だったので、
いつもはヘロヘロになっている足腰が、まだまだ元気だったからである (笑)。 しかし、調子に
乗っていられるのもここまでだ。 気持ちのいい稜線歩きが終わり、この先は昼でも暗い樹林帯
に入り 勾配もキツクなってくる。 狭い個所や石がゴロゴロして歩きにくいところもあり、 “軟弱
印のインチキ足
” には試練である! (汗)。
ヒノキの植林地帯まで降りてくると、下の方で道路を走る車の音が聞こえはじめ、やがて国道
138号線に面した 「乙女口 (登山口)」 へと辿り着いた。 こちら側から登る人も多いようだが、
難易度はどちらからでも大差ないと思われた。

        長尾山から続く 箱根外輪山 (下山方向 )

 ここからは国道の車道脇を15分ほど歩いて (緩やかな下り勾配)、金時神社・登山口 (駐車
場所) へと戻る。 国道といっても狭い片側1車線路で、歩道は殆んど無いに等しいので注意が
必要だ。 交通量も多めで すぐ脇を車が通り抜けてゆくので、山道よりもこちらの方が危険度
は高いかもしれない (苦)。
 お約束の温泉は、国道138号線から 仙石原温泉の「湯遊の里・南甫園」 を利用した。

 さすがに人気者の “天下の秀峰・金時山” だけあって、適度な運動量で快適なハイキングが
楽しめたのではないかと思う。 「初級向け」 とされているガイド本が多いようだが、初〜中級
レベルの経験者でも決して物足りなくはないだろうと思った。 キツ過ぎず、首都圏からのアクセ
スも良いし、周辺の観光施設も充実している。 ファミリー単位でのワンデーハイキングにはうっ
てつけの秀峰であると、太鼓判を押しておこう!! (笑)。
                                             ( 2010.11.28 記 )

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