安達太良山 ADATARAYAMA
安達太良山 (1700m)

鉄山 (1709m)

薬師岳 (1350m)
   薬師岳から望む、安達太良山(1700m )
平成24年10月14日(日), 日帰り
   ★ 総所要時間:5時間 20分
   ★ ハイキング標高差: 755 m
   行程行程・ハイキング
   行程ルートマップ


 磐梯朝日国立公園の南端に位置し、那須火山帯に属する 安達太良連峰は、南北に約10
kmにわたる火山群で、会津磐梯山 と共に福島を代表する日本百名山の一員だ。 「万葉集
や 高村光太郎の 「智恵子抄」 に登場する事でも知られており、知名度も人気も高い。
主峰の 「安達太良山」 (1700m) を中心として、南に 「和尚山」 (1602m)、北には 「鉄山」 (17
09m), 「箕輪山」 (1718m), 「鬼面山」 (1481m) が主脈として連なっており、麓から見るとなだら
かで優美な姿をしている。 しかし、山頂部では火山特有の荒涼とした風景が広がり、特に西側
の 「沼ノ平」 では水蒸気爆発時の 爆裂火口跡が荒々しくて凄まじい。

     
          東側から見た、安達太良山・山頂部                      北側から見た、安達太良山

安達太良山の登山コースは多く、主なものでも 6本ある。 この内、最も楽チンに山頂に立てる
のがゴンドラリフトを利用する 「奥岳登山口」 であり、今回我らが登頂したコースである事は
言うまでもない (笑)。 ゴンドラ利用で山頂を往復するだけのコースならば、トータルで3時間程
度の山歩きなので、ファミリー登山や初心者にはうってつけの優しいお山だ (笑)。
しかし、さすがの "インチキ山屋" でも、それではあまりにも インチキすぎるので (笑)、今回は
往路だけゴンドラを利用して安達太良山の山頂に至り、稜線を鉄山方面に少しだけ縦走して
峰ノ辻」 に下り、「くろがね小屋」 を経由して登山口 (ゴンドラの山麓駅) に戻る周回コース
を選択した。 首都圏からはやや距離があるが、東北道の 二本松IC から登山口の 奥岳 まで
は車で 約20分なので、アクセスが良く首都圏からの日帰り登山も充分に可能だ。

                        峰ノ辻 付近より

 二本松IC を降りて、国道459号線に入り 「岳温泉」方面に向かう。 「あだたらエクスプレス
と 「あだたら高原スキー場」 の看板が随所に設置されているので、それに従って進めば迷う
ことなく ゴンドラリフトの山麓駅 に辿り着ける。 当日は、この辺りの紅葉が最盛期に近い日曜
日という事もあって、大混雑していた (困)。 1500台位を収容できるスキー場の大駐車場がオフ
シーズンには無料開放されているのだが、到着した午前10時頃で 既に満車状態なのには、
正直タマゲタ! 何とか最下層の 臨時P に止めることが出来たが、そこからゴンドラの山麓駅ま
で10分も道路を歩く (登り) ハメになった。 そして山麓駅に着いた所で再びタマゲタ! 今度は
ゴンドラ乗車待ちの行列があるではないか! (汗) 良く見れば、行列はチケット購入のための列
も別にあって、ここでいきなり時間のロスをしてしまった。
いやあ〜、しかし凄いウニ?…でなくて、ヒトデ(人出) だ!?  (寒っ)  登山ツァーの団体さん達も
かなり多く来ていたようだ。 ただ、ゴンドラへの乗車は効率が良かったので、思ったほど時間
はかからなかった (汗)。 ゴンドラリフトは、奥岳登山口から 「薬師岳」 の山頂1350mまでの標
高差400m をおよそ6分で運んでくれる。 上に向かうにつれ、辺りの紅葉が増してくる。 最盛
期は来週あたりといったところだが、充分に綺麗だ。

                       
                                薬師岳より望む、安達太良連峰の山並み

 ゴンドラの山頂駅を降りると、そこはもう安達太良山の中腹に当たり、木道を少し北側に進ん
だ所が 薬師岳の山頂 (展望台)だ。 続々と集まってくる観光客と登山者でごった返している。
薬師岳の山頂標と共に 「この上の空がほんとの空です」 と書かれた 智恵子抄にちなんだ
碑も立てられており、それらの前で記念写真を撮る人達が ウヨウヨしていたのでロクに景色を
堪能できなかったが (笑)、ここからは安達太良山のなだらかな山並みを見渡せる。 生ごみ同
様、人ごみ も嫌いなので (!?)、サッサと展望台を後にして安達太良山へと向かう。
しばらくはシッカリとした造りの木道を進むが、人が多いので 一列に並んで全体のペースで
進むしかない。やや狭いが良く整備されており、傾斜も緩やかなので歩きやすい。 「仙女平
の辺りから灌木帯となって眺めも良くなる。 分岐点の近くに石がゴロゴロした広い場所があり、
休憩ポイントとなっていたので 我らもここで小休止することにした。

     
                    仙 女 平 ・ 分岐                                  仙女平から、鉄山 を望む

やや傾斜を増した登山道は、低木中心の樹林帯をえぐるように刻まれており、相変わらず良
く整備されているのだが、部分的にかなり狭い所がある。 この日はとにかく人が多いので、狭
い所で登山者と下山者がすれ違えなくなって 一方が待機すると、後続が次々と流れ込んで
くる為に、しばしば渋滞が発生した。 やがて樹林帯を抜けると、今度はガレた道を緩やかに
登るようになる。 周囲が見渡せて気持ちがいい。

                       安達太良山・山頂直下の広場

前方に特徴的な安達太良山の山頂部が見えてくると、まもなく山頂直下の広い場所に出る。
和尚山や鉄山を始めとした、雄大な山岳風景が視界いっぱいに広がっていて爽快な場所だ。
" ほんとの山頂 " は目の前にある小高い岩峰の上だが、頂点に立つ前に適当な場所を見つ
けて、まずは昼食休憩をとることにした。 この辺り一帯は強風が吹き荒れている事が多いそ
うで、この日もやや冷たい風が吹き抜けていた。

     
        山頂直下より北側、 鉄山 と矢筈森 方面               山頂直下より南方面、和尚山

 山頂部の岩峰へは梯子や鎖を頼りによじ登る感じだが、山頂は狭い為… またしても 順番
待ちが発生していた。 暫く並んでから、岩の間を縫うようにして岩峰の上に立つと、そこには
遮るものは何もなく、360度の大展望が待っていた。 まずは安達太良連峰の主脈、南側の和
尚山から、本山を跨いで 北側に、鉄山, 箕輪山, 鬼面山へと続く 連峰が一望の下だ。
やや雲が多めだったが 遠方の展望も良好で、西側に 「磐梯山」 (1819m) と 「猪苗代湖」、
その右奥に 「飯豊連峰」(2128m) を挟み、北側には 「吾妻連峰」(2035m) の山々が広がっ
ている。 右端には 「一切経山」(1949m) の茶色い山肌も見える。 東側には二本松方面の市
街地と、遠方に 阿武隈の山々を見渡すことが出来た。

    山頂より、船明神山 と磐梯山(奥)  

     
             安達太良山・山頂より北西方面の展望、 奥は 吾妻連峰 と 一切経山 (右端)

     
        山頂より東側、 薬師岳 と二本松方面                 山頂部を降り、「牛の背」 を進む

 さて、狭い山頂にあまり長居は出来ないので、岩峰の下に戻って 鉄山方面に続く稜線に
向かう。 そこは「牛ノ背」と呼ばれる尾根道だが、火山らしく荒涼とした景観が広がっている。
15分 ほど進んで西端に出ると、硫黄臭と共に もの凄い光景が飛び込んできた。 西斜面に
広がる 「沼ノ平」 と呼ばれる爆裂火口跡である!!  それは、明治33年に起きた水蒸気爆発
によるもので、直径は500m にも及ぶそうだ。 もちろん草木も生えぬ死の世界で、立入禁止区
域となっている。

         沼 ノ平


牛ノ背に戻ると 「矢筈ヶ森」の手前で 「峰ノ辻」 に下る分岐が現れるので、ここで主稜線
を離れて下山する。
              
                   牛ノ背より、 峰ノ辻・下降点方面に向かう

ウヨウヨしていた登山者達の殆んどは、沼ノ平を見てから 往路を引き返すルート (ゴンドラを
利用した安達太良山の往復コース) をとるようなので、ここからは 極端に人の数が減り快適
な山歩きができる (笑)。 ガレ場をトラバースするように10分ほど下ると 峰ノ辻に到着した。
ここは安達太良山の山頂直下から下る道と、「勢至平」 に直通するルートとの分岐点となっ
ている。 我らは、やや遠回りとなるが 「くろがね小屋」を経由するルートを辿ることにした。

       やや急になったガレ場を下る 

ここから山小屋までの下りは 途中に若干の急坂路を含むが、周囲の紅葉が特に美しく見事
な区間だった (嬉)。 やがて、温泉付きの山小屋として知られる くろがね小屋 に到着する。
すぐ近くには、登山口と 麓にあった 岳温泉の源泉があり、その上には鉄山が聳えている。
因みに麓では、この源泉を約10km下の 温泉街まで引湯して使っているそうだ。 辺りには温
泉の臭いが立ち込めており、まるで山あいの "秘湯" そのものの雰囲気である (笑)。 通年営
業の山小屋で、立ち寄り入浴のみも可 (500円前後)という事だ。 我らはトイレを借りて小休止
した後、先へと進む。

           温泉付きの 山小屋を離れる

 小屋を過ぎると樹林帯に入り、やがて 「金明水」 なる水場が現れる。 冷たくて美味しい水
を頂き、更に進むと 勢至平の分岐に到達した。 その先からは、良く整備された林道 「馬車
」 がゴール地点の 奥岳登山口まで続いているので、そのままゆったり歩いて帰還する事
もできるが、距離的には やや長い道程となる。 林道をしばらく進むと、右脇から 旧道 (登山
道) への入口 (接続口) が現れ、いずれか一方の ルートを選択して下ることができる。 登山
道は、林道をショートカットするように 直線で貫いているので林道を歩くよりも 遥かに速いが、
滑りやすい急坂路となっており、所々で 泥濘 (ぬかるみ) もあるので細心の注意が必要だ。
無論、我らは迷うことなく 登山道を選択して突き進む (笑)。 何回か林道と交差しながら下降
するので、ルートを間違いないように !! (まあ、間違えても最終的には同じ所に出るので、問
題ないけど…!?)

     
           峰ノ辻付近から、見上げる 鉄山                  峰ノ辻付近から、見上げる 安達太良山

 やがて 「鳥川」に架かる橋を渡ると、まもなく 奥岳登山口に辿り着いた。 ゴンドラリフトの山
麓駅も すぐ右手に見えており、終点まで あと僅かの距離だ。 左側には 「あだたら高原・富
士急ホテル
」 が建っており、ここで "あの温泉" に立ち寄って帰還する筈であったが、残念
ながら 全面改修工事中との事で 休業中だと!! (涙)。 やむなく、そのまま駐車場まで戻って
装備を解き、麓の 岳温泉 「岳の湯」 に向かうことにした。

 今回の 安達太良山周回コースは、往路にゴンドラリフトを使って 実質350m程の緩やかな
登りだけで、楽チンに山頂に辿り着ける 初級者向け のコースだ。 山頂から先の下山ルート
を含めても、キツい所は 殆んど無いので安心して、変化に富んだ快適なトレッキングが楽し
める。 もちろん、多くの団体ツアーが採用するように、安達太良山の山頂を ゴンドラで往復
するだけでも この山の魅力は充分に味わえるが、時間が許すのであれば 是非、インチキな
我らでも 快適に歩けた 周回コース がお奨めだ。 そうそう、麓の 岳温泉に立ち寄ることも
お忘れなく (笑)。
                                                               ( 2012.10.21記)

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