白  山 HAKUSAN
御前峰 (2702m)

剣ヶ峰 (2677m)

大汝峰 (2684m)
      白 山  ( 弥陀ヶ原より )
平成25年8月22日(木)〜23日(金), 1泊2日
   ★ 総所要時間: 12時間 10分
   ★ ハイキング標高差: 1452 m
   行程行程・ハイキング
   行程ルートマップ


 富山、石川、岐阜、福井、滋賀の5県に及ぶ 「両白山地」 に位置する 「白山国立公園」 の
盟主が、日本三名山(三霊山) に数えられる 霊峰 「白山」 (2702m) だ。 古くから 「越の白嶺
(こしのしらね)」 と呼ばれて 山岳信仰の御神体として崇められており、最高峰の山頂には 「
山比
(しらやまひめ) 神社」 の奥宮が鎮座している。
太古の白山は 3000m 級の成層火山であったが、山体の中心部はほとんど失われてしまい、
堆積した山地の上に 更に幾つもの火山が噴出するなど、長きにわたる火山活動の末に 現在
の姿になったとされている。 トロイデコニーデなど種々の火山地形から構成されており、全
体としては大きな盾状火山を成している。  山頂部にはそれらの火山活動を物語るように、大
小7つの池が点在するが、それらは いずれも火口湖と考えられており、白山の代表的な景観
の一つとなっている。

白山の名も他の山岳同様に総称であり、主峰は最高峰の 「御前峰 (ごぜんがみね)」 (2702m)
で、隣接する 「大汝峰 (おおなんじみね)」 (2684m), 「剣ヶ峰」 (2677m) の三山で構成されて
いる。 白山より西に 2000mを越える山岳はなく、山域全体は日本でも有数の 多雪地帯である
ため、真夏でも万年雪が残りハイマツの緑とのコントラストが美しい。 ハイマツの分布面積は日
本一の広さを誇り、山腹には本邦随一といわれるブナの原生林が広がっている。 また、高山植
物の宝庫でもあり、「ハクサン」 と名の付く花は18種にも及ぶそうだ。

            

ちなみに、日本三名山とは 「富士山」 (3776m), 「立山」 (3015m) と白山を指すのが一般的とさ
れており、これで "インチキ山屋" もようやく日本の三名山に足跡を残すことになったという訳で
ある (汗)。
登山ルートには幾つものコースがあるが、我らは一般的によく利用されている 「別当出合」 を
起点とする 「砂防新道」 から最高峰の御前峰に登り、山頂部の「お池めぐりコース」を経て 、
白山室堂」 (2450m) の山小屋に一泊、下山には一部が別ルートとなっている 「観光新道
を利用して 別当出合に戻る事とした。 もちろん "インチキ" の通じる山ではないので、我らにと
っては久々にハードな山登りである!!  標高差では1400mを越え、富士山に次ぐ 歴代2番目の
試練か?!  (もちろん、標高差だけでは何とも言えませんが…、笑)

           白山室堂平 (2450m )

 前日のうちに山麓の一角 「一里野高原」 の温泉宿に宿泊した。 途中、世界遺産の 「白川郷
を観光して、全長33kmに及ぶダイナミックな山岳道路 「白山スーパー林道」 を経由しての現地
入りだ。 林道の展望台からも白山が望めるはずだったが、霧に覆われてまったく見えない。 雨こ
そ降っては いないものの、明日の雲ゆきも怪しい…、予報も かなり微妙な状況だ (悲)。
しかし、気温だけはホントに蒸し暑い !! 
         

翌朝、宿を出立し県道・白山公園線に入る。 登山口に隣接する別当出合・駐車場へはシー
ズン中の週末を中心にマイカーの乗り入れ規制が行われている。 この場合は、約6km手前の
市ノ瀬で駐車し、シャトルバス (有料) を利用して別当出合・登山口に向かう事となる (所要約25
分)。我らが訪れたのは木曜日だったので規制されておらず、直接マイカーで別当出合の駐車
場に入る事が出来た。 早速、身支度を整えて登山口へと向かう。

     別当出合・登山口 (砂防新道方面)

10分ほど登ったところで、別当出合の登山口が現れた。予報に反して、今のところ天気はまず
まずで青空も見えているが 黒っぽい雲も見え隠れしているので、先行きに不安を残しながらも運
を天に任せて出発するしかない! (笑)。 別当出合の広場には トイレと休憩舎、飲料の販売機も
あり、その奥に 砂防新道と 観光新道の登山口が左右に分かれて並んでいる。
我らは下山に観光新道を使う事にしたので、右側の砂防新道・登山口に向かう。 いきなり金属
ワイヤーで吊られた 頑丈そうな長い吊り橋にて渓谷を渡り、対岸の樹林帯から登りはじめる。

山頂下の、山小屋と多くの登山道が集結する 「室堂平」 (白山室堂) までは約5.2kmの道のり
だが、急登ではないものの 緩急を織り交ぜた上り坂がずっと連続している。 登山道自体は、か
なり良く整備されているので歩きやすい方だとは思うのだが、長く続く上り坂は運動不足の足腰
には ケッコウつらい!  (汗)。

            中飯場(1550m )

登山口から40分ほどで、最初の休憩ポイント 「中飯場」 に到着した。 トイレと水場があり、東面
の遠方には 「別山」(2399m) との縦走路下にあたる 「大屏風」 と思われる岩壁がそそり立って
見えていた。 天気の方は、山頂方面に時おり霧が架かるものの、なんとか晴れているので喜ば
しい事なのだが、その反面 日差しが強く気温も高いので…、こりゃまたケッコウつらい!! (油汗)。
相変わらず連続する上り坂を、小休止を繰り返しながら ひたすら歩き、やや開けた場所の 「
当覗
」 (1750m地点) を経て、さらに1時間ほど登ったところで、ようやく 「甚之助避難小屋
(1970m) に到着した。 立派な造りの小屋で、トイレと水の補給だけでなく シッカリとした休憩室も
備えており、周囲の広場にもテーブルセットがたくさん設置してある。 多くの登山者達に混ざり、
我らも ここで大休憩して昼食を摂ることにした。

        甚之助避難小屋 (1970m) 

避難小屋を過ぎると 標高は2000mを越え、時々吹き抜ける涼風がとても心地良い。やがて、白
山のもう一つの宿泊拠点 「南竜ヶ馬場」 へと続く 「南竜分岐」 を通過したあたりから、背の高
い樹木がなくなって視界が開け、周囲に 高山植物が見られるようになってきた。 8月下旬では
あるが、まだまだ 沢山の花たちが 色とりどりに斜面を覆っており、まさに "お花畑" の状態で、
さすがは "花の名山" である。

 
           白山延命水                  黒ボコ岩 手前に広がる お花畑

分岐から さらに1時間弱のところで、登山道の脇に小さな水場 「白山延命水」 があった。ちょう
ど下山してきた オジさんが 「これを飲むと3年は長生きできる…」 と言って、ゴクゴク飲み干して
いた。それを聞いて、先ほど 避難小屋で詰めてきた ペットボトルの水を (まだ半分ほど残って
いたのだが…) すべて捨てて延命水に入れ替え、さらにその場で ゴクゴクゴク (オジさんより1回
多い!) と飲んだ。 うーん、とても 冷たくて美味しい!! (笑)。

              黒ボコ岩( 2320m )

やがて前方に巨大な黒っぽい2つの岩が現れた。そこが「黒ボコ岩」 と名付けられた分岐点で、
別当出合からの もう一つの登山道 観光新道 と合流する場所だ。 標高は2320mで森林限界
超えており、この先はハイマツ帯が広がっている。小休止して少し進むと一気に視界が開け、広
大な 湿原の平坦地 「弥陀ヶ原」 に到達した。 

 
             弥陀ヶ原                   五葉坂より、弥陀ヶ原を見下ろす

木道の先には、雪渓を伴い 一部の山肌を露わにした白山の山頂部、めざす 御前峰の雄姿が
青空に映えて眩しい。 いやはやナントモ、壮大で美しい光景であろうか!!  これまでの疲れが一
気に吹き飛んでしまったかのような感動的な景観である。
ずっと 上り基調が続いていた登山道にあって、ようやく平坦部分の道が現れた事と相まって、軽
快な足取りで 長い木道を進む (笑)。木道が終わり 「五葉坂」 と呼ばれるハイマツ帯の坂を登り
切ったところで、山小屋と ビジターセンターの建つ山頂下の平坦地 「白山室堂平」 (2450m) に
到着した。

               白山奥宮・祈祷殿 (白山室堂平)

まず 室堂ビジターセンターに立ち寄り、山小屋のチェックインを済ませる。 白山でも、基本的に
山小屋は予約制となっている。 この室堂平では昨年の夏から、完全個室タイプ の宿泊棟 「
山雷鳥荘
」 が新築オープンした。 計6室しかないのだが、運よく我らはその1室を予約する事が
出来ていたのだ!  何しろ新しい施設なので、トイレも, タタミも, フトンも…(なぜにカタカナ??) 全て
がキレイで、各部屋にテレビまでついており、おまけにインターネットやマッサージ機も 自由に利
用できるのだ。 お陰さまで快適な "山小屋ライフ(?)" が送れました (笑)。 ママのように山小屋が
ニガテな御人には、ぜひ早めのご予約をお勧めします! (観光協会とは無関係です、念のため…)
おっと、話がそれてしまいました (笑)。

      いざ、白山(御前峰)・山頂へ… 

さて、当初の計画では 1日目はここまでとし、2日目の早朝に山頂 (御前峰) へ登って御来光を
拝み、そこから お池めぐりコース を経由して室堂に戻り下山する というプランだったのだが、
先ほどビジターセンターで確認したところ、明日は朝から 霧&小雨 の悪天候との予想だったの
で、天気の良い本日中に山頂へ向かう事にした。 時刻は午後3時すぎ。 室堂から山頂へは約
45分、お池めぐりを含めても 所要2時間位ということなので、夕飯までには充分まにあう計算だ。
天候も 午前中よりむしろ安定している。足腰に疲れはあるが、リュックを部屋に置いて身軽にし、
いざ山頂へ…!!

                高天原 (山頂まで、あと500m )

ビジターセンターの裏手には、霊峰白山の奥宮・祈祷殿と鳥居があり、そこから山頂に向かっ
て 「霊峰白山登拝道」 が続いている。 はじめは緩やかな登りだが 「高天原」 からの 500mは
傾斜が強くなり、やがて大きめの岩がゴロゴロとした 御前峰の山頂 (2702m) に到着した。山頂
標の少し下には立派な 「白山奥宮」 が建てられている。 そして、山頂に立って初めて、その裏
側にあたる 山頂部の火口湖群と、大汝峰 (2684m), 剣ヶ峰(2677m) の二山を一望する事が
できる。 雄大で壮観な眺めだ。北アルプスなど遠方の景観までは望めなかったが、前日までほ
ぼ諦めかけていた天候が、ここまで好転してくれたのだから 充分である (祝)。 山頂からは室堂
平も遥か下に小さく見え、その先には 弥陀ヶ原を含めた広大な裾野が広がっており、奥には
を含む山塊も見えている。

 
                       御前峰 ・ 山頂 ( 2702m )

        
             御前峰・山頂より、裏側に点在する 火口湖と 2つの山岳

一休みした所で、山頂の裏側に下り お池めぐりコースの案内板に従って進む。 まずは剣ヶ峰
の麓にある 「紺屋ヶ池」 に降りて縁を通り、大汝峰と剣ヶ峰の間に位置する 白山最大の火口
湖 「翠ヶ池(みどりがいけ)」 に立つ。 深い青色をした水をたたえて、神秘的な雰囲気を漂わ
せている。 好天時には、池の奥に北アルプスの山並みが見られるそうだ。

 
      山頂より、剣ヶ峰(2677m ) と 紺屋ヶ池                   山頂を下り、紺屋ヶ池 に向かう

 
      紺屋ヶ池から眺めた 御前峰               大汝峰(2684m )と、翠ヶ池

続いて「油ヶ池」を遠目に眺めつつ、「血ノ池」の畔に立つ。 別に血の色をしているわけではな
いが、ここでは容易に澄んだ水に触れることができる。 コースの分岐点まで進んだところにある
千蛇ヶ池」 は、わが国で唯一の 夏でも雪と氷に閉ざされた湖として知られているそうだ。
一見しただけでは雪渓との違いが判らなかったが… (笑)、ここにも幾つかの伝説が秘められて
いるようだ。
このあと、お池めぐりコースは大きく裾野をトラバースして、お花畑を見ながら室堂平に戻るよう
だが、我らはここをショートカットして分岐を直進し室堂平へと戻った。

 
      白山最大の火口湖 翠ヶ池                 血ノ池と、奥に 剣ヶ峰

 
     雪と氷に閉ざされた、千蛇ヶ池              お池めぐりコースを外れ、室堂へ

 例によって、山小屋での夕飯は早い。 食事はなかなかの内容で、ご飯とみそ汁は おかわり自
由で、けっこう満腹となった。 それにナント!  ここには生ビールもあるではないか!!  (中サイズの
紙コップ 1杯で800円。ちなみに350mlの缶ビールは500円) もちろん、購入して乾杯した。これが
また、格別の旨さでサイコーだ!! 先ほどの延命水よりも 寿命が延びた気がした (笑)。 満足げに
個室に戻り、早々に快適な眠りについた "インチキさん御一行" であった。

  翌日は、早朝から 予報通りの濃霧となった。 昨日のうちに 山頂&池めぐり をしておいて正解
だった。 こうなれば後は ひたすらに下るだけであるから、急いで出立する必要はない。 山小屋
では ゆっくりめの朝食を摂り、身支度を整える。 気温は15℃位といったところだが、やや風が強
いので少し寒く感じる。 幸い雨の方は まだ降っていないようだったが、ひどくならない内に下山
に取り掛かる。

            黒ボコ岩・分岐、右側の 観光新道へ

視界は 10m程度で、当然景色は望めない。 弥陀ヶ原の先、黒ボコ岩・分岐で 予定通りに往路
とは別のルート、観光新道を通って下る事にした。
この観光新道は、往路の砂防新道と 距離的には殆んど変らないが、やや段差の大きい 階段状
の登坂が随所にあるせいか "健脚向きのコース" とされている。 ただ、コース全般が 尾根上に
つけられているため、高山植物が豊富なうえ 展望も良いので下山に適しているとの事だった。
しかし、残念ながら 霧の中ではそれらの恩恵は受けられない (悲)。 まあ、昨日一日は晴天だっ
たのだから贅沢は言うまい。 やや小雨交じりの中、滑りやすい足下に注意しながら黙々と下る。

 
    真砂坂、この辺りはお花畑のはずだが       別当坂・分岐 (別当出合まで、あと2km )

途中にあるはずの 「殿ヶ池避難小屋」 に気付かないまま通過してしまい、2時間ほどで別当坂
の急坂を下りて 「別当坂・分岐」 に達した。  ここで尾根道を離れ、ブナ林の斜面を横に巻い
て谷側へと向うが、階段状に重ねられた 石の上を歩く箇所が多く 濡れて滑りやすいうえに、けっ
こうな急坂が連続しているので 足下の注意は怠れない。 砂防工事用の車道を横切ってさらに下
ると吊り橋が見え、ようやく別当出合の登山口に帰還した。

      別当出合・登山口に 帰還 

 何はともあれ、無事に帰還できたことに安堵する。 空は相変わらずの曇天で、いつ雨が降り出
してもおかしくない。 別当出合の広場でトイレを済ませて 小休止した後、もうひと頑張りして 駐車
場へと向かう。 この日は麓の白峰温泉に宿をとってあったので、昼食を済ませたところでさっそ
く宿に向かい、温泉で山登りの疲れを癒した。
                                                                                          ( 2013.8.31記)

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