MYOUGISAN
白雲山 (1104m)

金洞山 (1081m)

金鶏山 (856m)
   第二見晴から金洞山(1081m)を望む
平成14年11月10日(日), 日帰り
   ★ 総所要時間: 6時間30分
   ★ ハイキング標高差: 430 m
   行程行程・ハイキング
  行程ルートマップ


群馬県の横川から碓氷峠を越えて長野県の軽井沢へ抜けたことがある人なら、そこに至
る前に必ずや目にしているであろう。岩肌をむき出しにした荒々しい不気味な岩峰群、それが
日本三大奇勝のひとつ妙義山だ。群馬地方では、この山を含めて赤城山榛名山を「上毛
三山
」と呼ぶそうだ。一般に、妙義山とは白雲山(1104m),金洞山(1081m),金鶏山(856m)の3
山(いわゆる表妙義山)を指す。いずれも標高の低い山であるが、その特異な山容と迫力でと
ても大きく見える。
金鶏山へは入山禁止となっており、主な登山コースは白雲山と金洞山を縦走するいくつかの
コースとなる。稜線へと登る道、山頂間を縦走する上級コースは、ルートファインディングがか
なり難しく、相当山慣れした熟達者向きである。そこで、今回は山頂を目指すのではなく、中腹
の奇岩怪石や石門群を縫うように歩く「お中道」と呼ばれる、一般(健脚向け)コースを選択し
た。ここは、「関東ふれあいの道」の一部としても整備されているというが、それでも落石、滑
落などの危険箇所も多く、鎖場や急坂の鉄梯子ありと、かなりスリリングなコースだった。ま
あ、あれだけ奇怪な形の岩山なのだから当然か‥‥。「ふれあいの道」の言葉に惑わされて、
決して侮ってはいけない。軽装での入山は避けるべし。

          浅間山と妙義山(上信越道より)

 上信越道に入って、富岡あたりから見えてくるはずである。すでに正面には真っ白く雪化粧し
た、ひときわ大きな浅間山が目立っている。近づくにつれて、その浅間山の下に横一列に並ん
だ奇岩山群が見えてきた。白く美しい浅間山とは対照的な姿である。だが、さらに近づいて行く
と、その荒々しく不気味な姿も、紅葉との見事なマッチングで美しく見えてくるから不思議であ
る。
                       紅葉との見事なマッチング

コースは白雲山側の端にある妙義神社から、奇岩・石門の乱立する金洞山ふもとの中之岳
神社
に続く「お中道」を進む。妙義神社前の町営無料駐車場に車を停め、いよいよ出発だ。

 まずは妙義神社に向かう。参道に入り長い石段をやっとこ登りきると、小さいながら見事な権
現造りの本殿が現れる。黒漆塗りに金色の精巧な彫刻が施された、落ち着いた雰囲気だ。こ
の本殿の左脇からお中道が始まる。しばらく登りながら歩いていくと「第一見晴」に着いた。妙
義・松井田方面、関東平野が見渡せる。小休止し、さらに進むと「大黒の滝」という岩の滝壺を
通過する。川は殆んど水がない状態だった。「第二見晴」まで登ると金洞山がよく見えた。石門
群はあの下あたりにあるのだろう。タルワキ沢分岐を見送り、登り下りを繰り返してゆくうちに
コースの中間地点を示す「本読みの僧」という自然石を見る。

        
           急勾配の長い鉄梯子                    岩稜の険しい道

それを過ぎたあたりから岩稜の険しい道となる。途中、急勾配の長い鉄梯子を使って小さな尾
根を乗り越す。一歩踏み外して落下したら、間違いなく大怪我をするだろう。また、岩が頭上に
迫るほど狭いオーバーハングを這うように通過したりと、極めて変化に富んだスリリングな山道
である。さっきまで疲れたとか言ってダラダラと歩いていたマユだが、そういうところが好きな
為、いきなり調子が出てきて先頭を歩き始めた。(^^);   

       
          落石・頭上注意 !!                 鎖場が連続する、滑落注意 !!

 さらに先に進むと、ようやく奇岩の乱立する場所(鎖場)に出た。いくつかの岩には登れるよう
に鎖がついており、足形をたどって鎖場をよじ登れば岩峰の頂上に立つことが出来る。最も有
名なのは「大砲岩」、他に「天狗のひょうてい」など、の名前がつけられた幾つもの岩峰が乱立
していた。岩上からの眺めは本当に素晴らしく、そこから見る妙義山の景観はまるで中国の山
水画を見るようだ。”ミニ桂林” と言ってもよいほどだ。しかし、高所恐怖症ではない自分でも、
そこに立ち上がって下を見るとさすがに足がすくむ。ママは膀胱が「キュッ!!」と、したそうだ
(笑)。なるべく自然のままにしてあるようで、手すりや柵のようなものは付いていない。もし滑落
したら大惨事になるだろう。

      
        「天狗のひょうてい」岩によじ登る          前方にあるのが 「大砲岩」

         
          中国の山水画や「桂林」を連想させる奇勝、写真ではちょっと伝わりにくいか‥‥!? 

一度にたくさんの人は登れないし、場所によっては登りと下りが交互に鎖を使う所などもあ
る。年輩の女性のように、一人当たりの通過時間が多かったり介助の必要な場合もあり、当然
の如く渋滞が発生していた。そんな訳で、ここでだいぶ時間がかかってしまったが、下りて少し
先に進んだところにコースのハイライトである「第四石門」が現れた。
アーチ型の巨大な石門をくぐると、ちょっとした広場があり休憩所となっていた。門の中から
越えてきた大砲岩などが見える。ここで、長い休憩をとることにした。このあと、そのまま「お中
道」を進み見晴台を経て、中の岳神社まで行って折り返すルートと、「石門めぐり」コースには
いり第一石門から「妙義紅葉ライン」に出て、一本杉経由で帰るルートに分かれる。ここでは、
迷わず後者の石門めぐりの方を選んだ。
         
             第四石門から大砲岩が見える              難所、第二石門へ向かう鎖場

第四石門から急な下り坂を下りると、前方に巨大な石の壁。中央に三日月状の穴が開いて
おり、そこから長い鎖が続いている。これが最大の難所「第二石門」である。鎖場を登って門
(穴)をくぐると、いきなり断崖絶壁。道(足場)が途切れて いる。門に続いている岩壁の、ほぼ垂
直に近い側面を、鎖を頼りに横移動する。これが有名な、いわゆる ”カニの横ばい” である。
少し怖いが、三人とも無事にクリアーする。ただ、この場所は高齢者や体重の重い人にはかな
り厳しいと思う。それに、一方通行になっていないので、門の両側から登ってきた人が足場の
少ない危険な部分ですれ違わなければならない。当然、ここで人の大渋滞が起こり、休日では
相当な時間のロスをする。登山道を管理している人たちに是非とも何らかの対策をしてほしい
ところだ。
ここを過ぎると、すぐに「第一石門」がある。大きな平たい石に大きな穴が開いている。見上げ
てみないと気づかずに過ぎてしまう位の大きさだ。後はもう、下りのみである。「石門入口」で、
妙義紅葉ライン(車道)に出る。道路脇に無料休憩所があったので休息を取る。しばらく歩くと
右手に、現在は入山禁止となっている金鶏山と筆頭岩が見える。この先の「一本杉」から再び
山道に入り「七曲り」と呼ばれる登山道をぐんぐん下る。30分ほどで金鶏橋に出て、先の車道
と合流。あとは車道の脇を歩き、出発点の駐車場に戻った。

              
           「カニの横ばい」をクリアー!!                 筆頭岩と、金鶏山(856m)

実に変化に富んだ楽しい山歩きが出来たと思う。危険と隣り合わせであるが、遊園地など
で味わうスリルとは別格の、自然の造形美が生んだ天然のスリルが、初心者でも容易に体験
できるという点でも、今回の山歩きは「超おすすめ!!」である。

 町営Pから車で5分足らずのところに温泉、妙義ふれあいプラザ・「もみじの湯」がある。
ここに寄って、岩山登りの疲れを癒してから帰路についた。
2002.11.20 (記)




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