“擦り寄り”の見返り ―“欺瞞の塊り”「プロジェクトR」(2003.8.15)より―

 

「プロジェクトR委員会・幹事会」名簿(2003.5.14

http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/03-05/030514meibo2.pdf 

 

“欺瞞の塊り”「プロジェクトR」(2003.8.15

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/030815katamari.htm 

http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/03-08/030815katamari.htm より抜粋

 

 

欺瞞10.“擦り寄り”の見返り

“独立行政法人化を前提として”という中田市長の指示により,「プロジェクトR委員会・幹事会」が全く触れることなく,意図的に避けてきた最重要の根本問題は,かつて,家永三郎氏が明確に指摘したように,「学問の自由」と「大学の自治」を制度的に担保する「教育公務員特例法」による教員に対する身分保障を,独立行政法人化することで取り払うことにより,大学教員の身分を不安定化し,最終的に,批判精神を大学から抹殺せんとする,過去半世紀に及ぶ反動勢力の悪質な企図の問題である.

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/page035.html 

http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/03-01/030110ronshou.htm 参照)

 

この点に関して,小川学長は,“市長からは「法人化についても前提として」検討して欲しいと意見がありましたので,私は「法人化を前提として検討を進めること.法人化することで,大学の自由度が増すので,それをどのように生かしていくかが,私たちの知恵の見せどころであること.」などと答えました.”と全くの無批判ぶり・盲従ぶりを露わにしている.(小川学長挨拶03-5-14

http://www.yokohama-cu.ac.jp/daigakukaikaku/daigaku/daigaku_kaikaku/dk_iincho.html 参照)

 

かつて,小川氏は,「教育公務員特例法」のことを「教育“教務院”特例法」と誤記したことがある(「公立大学協会第60回総会02-5-15」における,文部科学省高等教育局大学改革推進室長 杉野 剛氏による講演「大学の構造改革について」に関する,「小川メモ02-5-15」による).このことは,その時点で小川氏が「教育公務員特例法」の(存在,および,その)重要性を全く認識していなかったことを意味するが,小川氏はいまだに“法人化することにより大学の自由度が増す”と本気で思っているのだろうか.もしそうなら,去る6月の「国立大学法人法案」を審議する衆院文教委員会で“ウソ答弁”と“お詫び”を繰り返した遠山敦子文部科学大臣を始めとする文科省官僚と同様,小川氏の“自己欺瞞”も極まれりというべきだろう.

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/page136.html 

http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/03-06/030627touyama-usotouben.htm ,および,

桜井良子氏による「国立大学法人化法案の成立を許せば加速する官僚による大学の私物化」

http://www.yoshiko-sakurai.jp/works/works_diamond_030705.html 参照)

 

また,小川氏は,「市長改学宣言03-5-7」に呼応して,全学的な抗議の動きを完全無視した形で,“独立行政法人化は大学運営の自由度が増すと思う.サイレントマジョリティー(声なき多数派)をまとめて市大を再生させたい.”(神奈川新聞03-5-8付)と記者発表している.

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/giman030514.htm 

http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/03-05/030514giman.htm 

http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/03-05/030508kanagawa-silentmajority.htm 参照)

同様に,「幹事会」委員の小島謙一理学部教授も(布施 勉国際文化学部教授・馬来国弼理学部長と共に),“「あり方懇答申」も私たちが模索してきた改革方針とほぼ一致している.改革へのサイレント(沈黙)のマジョリティー(多数派)であってはならない.”(神奈川新聞03-5-9付)などと記者発表している.全学的な抗議の高まりにもかかわらず,なお,サイレントマジョリティーを結集すると強弁する態度は,白を黒と言いくるめる態度そのものであり,真理の探究を旨とする大学人の対極にある態度と言わざるを得ない.

 

そもそも,「学問の自由」と「大学の自治」が,日本国憲法・教育基本法・学校教育法・教育公務員特例法等の法制度により幾重にも保障されるに到ったのも,戦前における時の権力による数多の“大学弾圧事件”を経験したことへの反省に基づくものであり,多くの先人の犠牲と努力の末に結実したものである.(伊ヶ崎暁生著「学問の自由と大学の自治」,三省堂,2001

http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/daigaku_jiti_rekisi.html 参照)

 

したがって,本来なら率先して「学問の自由」と「大学の自治」を守るべき大学人が,これを時の権力に売り渡すようなまねを断じて許してはならないはずである.ところが,実際に,小川学長以下の「プロジェクトR幹事会」の面々

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/meibo2+.pdf 

http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/03-05/030514meibo2.pdf 

が行っていることは,中田市長らの権力に積極的に“擦り寄る”ことで,「学問の自由」と「大学の自治」を食い潰し,これを権力に売り渡すことなのである.その見返りとして彼らが手にするであろうものの,何と薄汚れて見えることか.