04/2/20小川学長の書簡:

『東京新聞』2月16日付記事に対する抗議及び善処方申し入れ(2004.5.13 up)

 

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040220ogawa.pdf (2004.5.11 up)

04/2/20小川学長の書簡:『東京新聞』2月16日付記事に対する抗議及び善処方申し入れ(2004.5.11 uppdf版)

 

 

この東京新聞宛の『小川学長の書簡』(2004.2.20付 pdf版;2004.5.11 up)は,横浜市議会(2004.3.11)における高井禄郎事務局長(当時;現横浜市中央図書館長)の答弁(脚注1)により,その存在が明らかにされていたが,なぜか,いままで公表されなかった.そこで,ある勇敢な教員が公表するように要求したところ,(正式に開示請求された場合)これを拒みきれないと判断した学長(と事務局)が,しぶしぶ提出に応じたのだという.

 

一読して明らかなように,おそらく事務局の手になると思われる作文に対して,学長名で東京新聞特報部長宛に《抗議及び善処方》を申し入れている.その目的は,おそらく,次のようなものであったと推測される.すなわち,『東京新聞』2月16日付記事(「こちら特報部:『改革』に揺れる横浜市立大 学部統合 全教員の任期制 研究費ゼロ」)(脚注2)の中で,「密室で決定」「いきなり公表」「トップダウン」などと大きく報じられて窮地に陥った中田市長の,『《東京新聞報道は“完全に誤報”発言》(2004.2.19)』(脚注3)を受けて,ただちに学長名で《抗議及び善処方》を申し入れる(2004.2.20)とともに,横浜市議会において自民党議員の質問に答えるかたちで,市長を擁護するための証言を行い(2004.3.11)(脚注4),市大事務局および小川学長の中田市長に対する忠誠ぶりを示すことにあったのではないか.

 

通常では,市議会の予算特別委員会における議論は,(中継用のTVモニターを別室で見るだけで傍聴も許されず,議事録もない状態なので)その細部を容易に窺い知ることはできないが,当日の委員会の状況に関しては,たまたま,教員組合による詳しい(TVモニター)傍聴記が残されていたので,真相が暴露できたのである.これで,学長らが公表をしぶった理由も納得できる.

 

それにしても,この『小川学長の書簡』(04-2-20)ほど,学長と市長・事務局との間の“癒着ぶり・一体化ぶり”を示すものは他にないだろう.なお,両者の間の“癒着ぶり・一体化ぶり”を示すもう1つの文書として,『学長声明』(03-10-17) (脚注5)があるが,この文書も,学内においては部局長および評議員に対して配布されただけで,(おそらく同様の理由で)一般教員に対しては配布されなかったし,また,「大学公式ホームページ」を通じて,一般市民に向けて公表されることもなかった.

 

ところで,情報によれば,事務局が提出した『小川学長の書簡』(2004.2.20付 pdf版;2004.5.11 up)には学長の公印がないことから,実際に東京新聞宛に送られた書簡(のコピー)ではなく,しかも,一部の箇所に改竄が見られるという.

 

また,この『小川学長の書簡』(04-2-20)の中で学長が述べている主張の多くが,“虚偽”もしくは“歪曲”であることがただちに判明する.たとえば,市長を擁護して学長は,《・・・「最初に市大改革ありき」ですとか,「密室で決定」「いきなり公表」「トップダウン」などという進め方は,横浜ではされていません.》と述べ,また,市議会でも同様の答弁を行っている.ところが,その後,『東京新聞』(2004年4月20日付)(脚注6)においては,《大学側「トップダウン必要」 改革断行「内部だけでは無理」・・・市長の意向、学長認める》の見出しの下に,《・・・小川学長は「(六年前ごろからの)市大内の議論では学部ごとのセクション意識が強すぎて、改革案がまとまらなかった。その弊害を乗り越えるにはトップの実行力が必要だ。学外から異質の考え方を入れると、多少ピントはずれでも緊張感のある議論の素材になる。改革が進むなら中田市長のトップダウンで構わない」と市長の意向を受けての改革案づくりだったことを認めた。》とある.すなわち,『小川学長の書簡』(04-2-20)中の“虚偽”・“歪曲”,および,市議会における“ウソ答弁”を,自ら認めたわけである.

 

その他の多くの“虚偽”・“歪曲”については,下記の『中田市長の《東京新聞報道は“完全に誤報”発言》(2004.2.19)』に関する【参考資料】(1)〜(11)を参照されたい.とくに,(6)では,『市長の“誤報”発言』(04-2-19)が徹底的に検証されており,また,(7)・(10)・(11)では,(ア)東京新聞に情報を提供した「大学人の会」からの,『市長の“誤報”発言』(04-2-19)に対する『撤回要求』(04-3-8),(イ)これに対する『市長からの回答』(04-4-16),および,(ウ)さらにこれに対する「大学人の会」からの『再質問状』(04-4-30)が挙げられている.

 

 

【参考資料】

 

(1)『朝日新聞』(横浜版)2004年2月20日付:市立大学改革案 逆風の中、怒りの矛先メディアに!? 中田市長 批判記事に「誤報を何とかして」

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040220asahi.htm 

http://www.shutoken-net.jp/web040225_4asahi.html 

『朝日新聞』(横浜版)2004年2月20日付:市立大学改革案 逆風の中、怒りの矛先メディアに!? 中田市長 批判記事に「誤報を何とかして」(2004.2.20

 

(2)『カメリア通信』第14号:04/02/19市長定例記者会見質疑要旨04-2-25

http://www5.big.or.jp/~s-yabuki/doc03/came-14.pdf 

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040225came-14.pdf 

『カメリア通信』第14号:04/02/19市長定例記者会見質疑要旨(2004.2.25

 

(3)AcNet Letter 61:【1】中田横浜市長定例記者会見2/19で東京新聞記事2/16を批判

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040225AcNetLetter61.htm 

 

(4)「横浜市立大学を考える市民の会」:2月19日の定例記者会見における中田宏横浜市長の「誤報」発言に対する見解04-2-25

http://www8.big.or.jp/~y-shimin/houkoku/040225-1.html 

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040225y-shimin-gohouhatsugen.htm 

 

(5)『カメリア通信』第15号:民主主義の衣をまとった独裁政治---東京新聞2004.2.16誤報問題の真相04-2-27

http://www5.big.or.jp/~s-yabuki/doc03/came-15.pdf 

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040227came-15.pdf 

『カメリア通信』第15号:民主主義の衣をまとった独裁政治---東京新聞2004.2.16誤報問題の真相(2004.2.27

 

(6)中田市長の“東京新聞報道は『完全に誤報』発言”を検証する04-3-3

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040303gohou.htm 

佐藤真彦:中田市長の東京新聞報道は 『完全に誤報』 発言を検証する(2004.3.3

 

(7)東京新聞2月16日朝刊報道に関する中田横浜市長の「誤報」発言について:市長に発言の撤回を求める04-3-8

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040308daigakujin-gohou.htm 

東京新聞216日朝刊報道に関する中田横浜市長の「誤報」発言について:市長に発言の撤回を求める 久保新一・柳澤 悠(「横浜市立大学を考える大学人の会」) (2004.3.8

 

(8)市会傍聴記の感想(続々々):市長の『東京新聞報道は“完全に誤報”発言』を擁護する学長ら04-3-18

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040318kansou+++.htm 

市会傍聴記の感想(続々々):市長の『東京新聞報道は完全に誤報発言』を擁護する学長ら(2004.3.18

 

(9)『東京新聞』2004年4月20日付:こちら特報部−ニュースの追跡― カリキュラム変更で競争力強化? 波紋広がる横浜市立大04-4-20

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040420tokyoshinbun.pdf 

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040420tokyoshinbun.htm 

http://www.shutoken-net.jp/web040420_2tokyo.html  

『東京新聞』特報:カリキュラム変更で競争力強化? 波紋広がる横浜市立大(2004.4.20

 

(10)「市長の『誤報』発言についての(回答)」について04-4-30

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040430daigakujin-gohou.htm 

久保新一・柳沢 悠(「横浜市立大学問題を考える大学人の会」):「市長の『誤報』発言についての(回答)」について(2004.4.30

 

(11)『カメリア通信』第18号:[1]中田市長の「誤報」発言問題についての回答[2]重ねて中田市長に問う[3] 東京新聞2月16日朝刊報道に関する中田横浜市長の「誤報」発言の撤回を求める04-5-6

http://www5.big.or.jp/~s-yabuki/doc03/came-18.pdf 

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040506came-18.htm 

横浜市立大学の未来を考える『カメリア通信』第18号:[1]中田市長の「誤報」発言問題についての回答[2]重ねて中田市長に問う[3]東京新聞216日朝刊報道に関する中田横浜市長の「誤報」発言の撤回を求める(2004.5.6

 

 

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【脚注】

 

(脚注1)

『教員組合:3月11日横浜市会「予算特別委員会」傍聴記』04-3-15

http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/shiryo/k040311-1.pdf 

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040315bochoki.htm 

教員組合:311日横浜市会「予算特別委員会」傍聴記(2004.3.15 より抜粋.

 

[田中(忠昭議員(自民党))]:東京新聞の記事は市長は「誤報」だと言っている.誤りがあったのか?

[小川(恵一学長)]:明らかに事実と異なった点があったと認識している.

[田中]:どこが事実と異なるのか?

[小川]:「密室で決定」「いきなり公表」「トップダウン」などとあるが,平成10年ころから考えてきたものであり,大学自身で考え,十分議論し,大学自らが策定した案を私から市長に報告した.設置者である市と大学がともに実施しているものであり,「密室・・・」などは市大改革にかんするかぎりされていない.

[田中]:「研究費0」や「逃げ出す教員」など,センセーショナルな見出しもあったが・・・

[小川]:研究費0も誤り.市費による研究費は一律に配布するものではなく,大学の目標に照らして精選した分野に負担(?)する.「大学像」「あり方懇答申」にも研究費0はどこにも表記されていない.「逃げ出す教員」についても,教員の移籍は,大学相互の人事交流・活発化,さまざまな理由によるもので,大学改革によるものとは考えていない.改革には多少の不安を伴うので,極力回避するよう考える.

[田中]:大学の(新聞社への)対応は?

[高井(禄郎事務局長)]:反対派の主張のみをとりあげ,取材が一面的であり,報道の使命に反する.大学として支局にたいして直ちに抗議するとともに,続報記事掲載等の善処方を強く申し入れた.2月20日には学長名による善処方申し入れを行っている.

[田中]:前田副市長の考えは?

[前田(正子副市長)]:大学が自ら作り上げた改革案はすばらしい改革案であると高く評価しているので,このような報道がなされたのは残念.広報横浜,HPなどで広く市民に知ってもらう.

 

 

(脚注2)

『東京新聞』2004年2月16日付 こちら特報部:『改革』に揺れる横浜市立大 学部統合

 全教員の任期制 研究費ゼロ

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040216tokyo.pdf 

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040216tokyo.htm 

http://www.shutoken-net.jp/web040217_8tokyo.html 

『東京新聞』2004216日付 こちら特報部:『改革』に揺れる横浜市立大 学部統合 全教員の任期制 研究費ゼロ(2004.2.16

『東京新聞』特報:『改革』に揺れる横浜市立大 学部統合 全教員の任期制 研究費ゼロ(2004.2.16

 

 

(脚注3)

『カメリア通信』第14号:04/02/19市長定例記者会見質疑要旨04-2-25

http://www5.big.or.jp/~s-yabuki/doc03/came-14.pdf  

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040225came-14.pdf  

『カメリア通信』第14号:04/02/19市長定例記者会見質疑要旨(2004.2.25

 

 

(脚注4)

『教員組合:3月11日横浜市会「予算特別委員会」傍聴記』04-3-15

http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/shiryo/k040311-1.pdf  

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040315bochoki.htm  

教員組合:311日横浜市会「予算特別委員会」傍聴記(2004.3.15

 

(脚注5)

『学長声明:この改革案を実らせ,横浜の地に根ざした,世界の範となる大学となるよう,皆さんと力を合わせて育て上げる所存であります』(03-10-17) 

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031017gakuchoseimei.pdf 

03.10.17 学長声明:「この改革案を実らせ,横浜の地に根ざした,世界の範となる大学となるよう,皆さんと力を合わせて育て上げる所存であります」(2003.10.17

 

 

(脚注6)

『東京新聞』2004年4月20日付:こちら特報部−ニュースの追跡― カリキュラム変更で競争力強化? 波紋広がる横浜市立大04-4-20

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040420tokyoshinbun.pdf 

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040420tokyoshinbun.htm 

http://www.shutoken-net.jp/web040420_2tokyo.html 

『東京新聞』特報:カリキュラム変更で競争力強化? 波紋広がる横浜市立大(2004.4.20