脳卒中専門病院に異常事態 医師半減につき『急患お断り』も 「東京新聞」夕刊(2006.4.6)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060406/eve_____sya_____005.shtml
資料
■脳血管医療センター、医師不足で急患対応できず/横浜 カナロコ ローカルニュース(2006.3.23)
■強制捜査 『神奈川新聞』社説 2006年3月17日付 「カナロコ ローカルニュース」(2006.3.22)
■医療事故で横浜市立脳血管センター家宅捜索 カナロコローカルニュース(2006.3.9)
■《みんな失望して辞める》 脳血管センター常勤医、4人が退職へ 「カナロコ ローカルニュース」(2006.2.28)
■脳血管センターでの手術 夫の手術の真実を! 未亡人が訴え
tvk Web News(2006.2.3)
■「ひでーなあ、こんな事をやっているのか」 市長は全部知っていた!! ――“青戸病院と同じ”・“マズイ。何があっても削れ” 醜悪!!「横浜市立脳血管センター」医療ミス“市長ぐるみ”隠蔽工作の全貌(2006.2.2)
■横浜市立脳血管センター 夫の死亡の説明求め未亡人が来日
tvk Web News 2006年1月31日付(2006.2.2)
脳卒中専門病院に異常事態
医師半減につき『急患お断り』も
全国有数の脳卒中専門病院「横浜市立脳血管医療センター」(横浜市磯子区、植村研一センター長)で、常勤の医師数が本来の定数の半数にまで激減し、今月から救急・急性期患者の受け入れを一部制限する事態になっていることが六日、分かった。回復期で入院している患者にも、担当医として、専門ではないリハビリ科、泌尿器科、皮膚科の医師を充てざるを得なくなった。脳卒中の先端医療を目指した公立病院が、安全面や医療レベルでの質の低下が懸念される異常な状態に陥っている。
同センターの医師定数は計三十二人。医師不足は昨年春ごろから顕著になり始め、今年三月には一気に五人が辞職。補充はなく、今月から医師数は全十六人(産休一人を除く)で、しかもうち二人は本来の定数に含まれない皮膚科と泌尿器科の医師。脳卒中治療の中心となる神経内科医が定数十一人に対し五人となり、専門病院の機能に深刻な影響を及ぼしている。
内科医、麻酔科医、放射線科医はそれぞれゼロで、非常勤の医師などでしのいでいる。
同センターは開設以来、二十四時間三百六十五日体制で救急患者を受け入れていたが、医師不足の影響で昨秋から、奇数週の土日と祝日の救急受け入れと緊急の手術を中止している。
さらに医師の大量退職を受け、今月からは通常でも救急・急性期患者を、急性期病床(百十一床)の八割にあたる八十九床を超えた場合に断ることを決定。
さらに回復期病床(百八十九床)では、脳卒中の専門ではないリハビリ、泌尿器、皮膚科の医師も担当となり、容体が変化した場合に神経内科医や脳神経外科医に連絡する苦肉の策をとっている。
現在、急性期病床は八十床台前半まで埋まり、患者が集中した場合には受け入れを断らざるを得ない状況だ。同センターは、「安全確保のためやむを得ない」と説明。一方で、専門外の医師が脳卒中患者を担当することは「容体に変化があれば神経内科医らが対応するので問題ない」とする。
横浜市病院経営局は、十分な診療ができない現状に「責任を感じている」とするが、医師確保の見通しは立っていない。
医師数の激減は、新臨床研修制度で大学病院が派遣医師を引き揚げている全国的な問題も大きな要因だが、ほかに医師や看護師間の対立、三年前に起きた内視鏡手術による医療ミスをめぐる公表の遅れや対応のまずさに対する市当局への不信感などが絡み、市立医療センターの職場環境を医師らが不安視していることが理由に挙げられる。
<メモ>横浜市立脳血管医療センター
国立循環器病センター(大阪府吹田市)や秋田県立脳血管研究センター(秋田市)などとともに脳卒中を専門的に治療する国内で数少ない病院。超高齢社会を迎え、後遺症で寝たきりとなる患者が多い脳卒中を急性期から回復期まで一貫して治療し、救命・在宅復帰を目指すとして、横浜市が300億円近くを投じて1999年8月に開設した。翌年6月に全300床が開床。2003年7月に内視鏡手術で女性患者が重体となる医療ミスが起き、担当した脳神経外科医3人が05年5月までに退職、一時緊急の外科手術ができなくなった。その後、外科医は確保したが、他の診療科で医師不足が深刻となった。
■センター医師の定数と現在の数
診療科 定数 現員
神経内科 11人→5人
脳神経外科 4人→3人
内科 5人→0人
麻酔科 2人→0人
放射線科 2人→0人
リハビリ科 5人→5人
センター長ら 3人→1人
管理責任者
合計 32人→14人
その他
泌尿器科、皮膚科各1人