HAKKAISAN
薬師岳 (1654m)

八ツ峰 (1720m)

入道岳 (1778m)
   八海山 山頂部・八ツ峰 (一部)
平成20年8月7日(木), 日帰り
   ★ 総所要時間: 6時間 10分
   ★ ハイキング標高差: 563 m
   行程行程・ハイキング
   行程ルートマップ


 米どころ魚沼地方を代表する銘酒 「八海山(はっかいさん)」 の名付け親(?)となった、越後の
霊峰が 「八海山」(1778m) だ。 峰続きで隣接する 「越後駒ヶ岳」(2003m), 「中ノ岳」(2085m)と
ともに 「越後三山」 の一つとしても数えられる新潟県有数の名山である。 麓から見上げると
標高のわりに大きな山容を見せ、険しい岩峰を連ねた鋸歯状の稜線が特に印象的だ。

                      麓の六日町から望む八海山

八海山も総称であり単独の名前がついた山はない。 三角点のある最高峰は 「入道岳
(1778m)であるが、一般的に八海山の山頂とは 「八ツ峰」 と呼ばれる礫岩の険しい岩峰群を
さす。 これが鋸歯状に見えた稜線の正体で、この山の最大の特徴だ。 その名のとおり八つの
峰からなり、北側から 「地蔵岳」, 「不動岳」, 「七曜岳」, 「白河岳」, 「釈迦岳」, 「摩利支岳」,
剣ヶ峰」, 「大日岳」 と命名されている (ロープウェイのチケット裏面に判り易い図があったの
で添付しておく)。 そこは大小19箇所もの鎖場が連続する断崖絶壁の難所で、八ツ峰の縦走
は一応上級者コースに指定されている。 一般コースは、その手前の8合目にあたる「薬師岳
(1654m) と9合目の 「千本檜小屋」(1645m) までの往復コースとなっている。
                             
麓から登る幾つかの登山道があるが、今回 "インチキ山屋" が選択したのは、ロープウェイを
利用したコースであるのは言うまでもない(笑)。

関越自動車道を越後に向かって走る。 朝から天気は良く晴れて日差しも強いのだが、うす
雲が広がっており遠方の景観は見通しが悪い。 藤岡を過ぎて見えてくるはずの「浅間山
(2568m), 「赤城山」(1828m), 「榛名山」(1449m) などの展望はまったく得られない状況だ。
これでは登ってもまた展望なしか…、と思いつつ関越トンネルを抜けると、若干見通しがよくな
ってきた。 「谷川岳」(1978m) が見えているので、ちょっと期待しつつ六日町ICで一般道に降
り、ロープウェイのある八海山スキー場を目指して進む。
途中の麓から八海山が見えてきた。 意外と大きく迫力もあり、山頂部 (八ツ峰) のギザギザ
ですぐにそれと認識できた。 ロープウェイ山麓駅の標高は376mしかないので、たいした登坂
道もなくアッというまに到着した。 さっそく身支度を整え、ロープウェイに乗り込む。 標高差
771mを約7分で運ぶ80人乗りの大型ゴンドラにゆられ、標高1147mの山頂駅を降りると、辺り
は展望広場となっており、さらに一段登った頂上部は八ツ峰から北に延びる稜線上に位置して
いる (八海山の4合目に当たる)。

              山頂駅・展望台から六日町・魚沼方面

残念ながら、やはり遠方の展望はよろしくない。 展望台からは六日町・魚沼方面の平地部分
が見渡せる程度で、遠方は白くモヤの掛かった状態だ。 スッキリと晴れ渡っていれば、上信越
の山並みだけでなく日本海や佐渡ヶ島も展望できるそうだ。
信仰の山らしく八海山大神を祭る「八海山遥拝所」を通過し、脇にある登山口から尾根道を南
東方面に登ってゆく。 ゆるやかな起伏を越えると大倉登山道と合流する「大倉口分岐」を過
ぎ、「池ノ峰」(1296m) の南直下を巻いて、更におだやかな山稜が続く。 やがて右側に、モリア
オガエルが棲むという 「漕池」 方面への案内板を見送ったあたりから傾斜が増してくる。

       
   左側にかすかに望む「アオリ」か「池ノ塔」の稜線  随所に梯子や鎖のかかった急斜面を登る

左側の樹林が開き展望の得られる場所に出たが、ガスが多くて殆んどみえない。 かすかに
アオリ」(1207m) か「池ノ塔」(1416m) らしき山腹が覗いているのみだ。
急登を上り詰めたところで六合目にあたる 「女人堂」(1339m) に出た。 この霊山も、木曽の
御嶽山」(3067m) のようにかつては女人禁制であったため、女性はここで遥拝して下山したと
いうことだ。 現在は避難小屋としての役割を担っており、広場には数多くの石碑やらが林立し
ていた。 ちなみに この山を開山した人物は、御嶽山の開山と木曽御嶽講を組織した修験者と
同一人物であるとのことだ。
           6合目 ・ 女人堂 (1339m) 

ここからの展望も晴れ渡っていれば素晴らしく、北側には 「守門岳」 と 「浅草岳」 が大きく横
たわり、その奥にそびえる 「飯豊連峰」 も見られたはずだが…、ここでもやはり厚いガス雲に
覆われてしまい、直近の山腹がわずかに見られる程度であった。
女人堂からいったん南に下って、平坦地を少し進むと 「祓川(はらいがわ)」 源流部の小さな沢
を渡る。 ここは水場でもあり、少し休んで天然水を補給した。
これを過ぎると潅木の斜面を急登するようになり、いよいよ薬師岳の登りに取りかかる。ところ
どころに梯子や鎖がかけられており、最後に30mほどもある鎖付きのゆるい岩盤を登り切った
ところで傾斜が緩み、まもなく8合目の 薬師岳・山頂 (1654m) に到着した。

             
       長い鎖の架かったゆるい傾斜の岩盤        薬師岳 ・ 山頂 ( 1654m ) 

ここにも小さな鳥居と霊神碑が立ち並べられているが、相変わらず周囲のガスはとれないまま
で展望はナシだ。 少し休憩を取っていると、にわかに上空の雲に切れ間が現れて、強い日差
しが入り込んできた。
すると南側稜線上のすぐ間近に、八ツ峰の北端峰である 「地蔵岳」(1707m) とその直下に建
つ 「千本檜小屋」 が姿を現した。 つかの間の小さなラッキーであったが、まったく何も見えな
いよりはマシだ(笑)。 陽が翳らない内に南面を下って鞍部をわたり、少し登り返したところで9
合目とされる 千本檜小屋(1645m) に到着した。 かろうじて、八ツ峰(地蔵岳) だけはまだ見え
隠れしているが、それ以外の展望はいくら待っても期待できそうにない。ここからは近くにそび
える越後駒ケ岳や中ノ岳の眺望が特に素晴らしいとの事だ(涙)。
小屋の前には八ツ峰の登山道案内図が掲げられ、岩場の連続するコースは上級者向けであ
り、危険度が高い事などの注意が書かれていた。

      八ツ峰の北端・地蔵岳と千本檜小屋 (9合目)

荷を降ろして昼食をとりながら、この後どうするかを考えることにした。 ロープウェイの最終時
刻は16:30だが、遅くとも16時前には戻ったほうがいいだろう。 ここからの下り所要時間を約2
時間とすると、残された時間の猶予は1時間ぐらいしかない計算となる。 最高峰の入道岳へは
無理としても、八ツ峰を制覇して10合目の「大日岳」(1720m)までは行きたかったのだが、八ツ
峰の所要時間は上級者コースとして片道1時間とあるから、往復で2時間以上は要することに
なるので、八ツ峰の全峰縦走は無理である。ガスが多くて展望もイマイチなので、往復1時間の
範囲で行ける所までチャレンジすることにした。

      まずは北端の地蔵岳に挑む 

さっそく直前にそびえる最北端の地蔵岳へと向かう。ほとんど垂直に近い岩場に取り付けら
れた鎖を頼りに1箇所ずつ慎重かつ、確実に乗り越えてクリアする。 各峰の頂上には、それぞ
れ石碑やミニ鳥居などが祭られているようだ。 2番目の不動岳もクリアし、4番目の白河岳を過
ぎたあたりで疲れてきたので小休止する。

       
       2番目の岩峰、不動岳の山頂              不動岳から 更に奥へと進む

すでに30分ぐらいが経過していたので、そろそろ引き返さないと間に合わなくなる。 険しい岩
峰はさらに奥へと続いていたが、ここでUターンを決意する(笑)。 ガスがなければ、この辺りか
らも最高峰の入道岳や大日岳が望めていたはずだ。方向を変え、同じルートを辿って千本檜
小屋へと戻る。
時間さえあれば、この八ツ峰の岩場コースは、それほど大変ではないなと思った。もちろん、侮
ってはいけないし無理は禁物であるが…、木曽駒の 「宝剣岳」(2931m) のほうが距離は短くて
も 怖いなあ と感じた。 ただし、ここで万一滑落したら命の保障がないことも事実だ。

     
     八ツ峰の中央付近から奥の峰を望む        八ツ峰を降り、鞍部から薬師岳に戻る

無事に千本檜小屋まで戻り、あとは往路をそのまま引き返す。 結局、山上では終始ガスに
付きまとわれてしまい、展望には恵まれなかった。そのくせ気温は高かった為、後半はかなり
バテてしまったが、なんとか午後4時前にロープウェイ山頂駅にたどり着くことができた(笑)。
  ゴンドラを降りて駐車場に戻り、早くお約束の温泉へと浸かり汗を流したいところだが、この
近辺には温泉が少ない。 一番近い 「五十沢(いかざわ)温泉」 に向かったが、車で20分ほど
かかり、温泉旅館で入浴のみ利用した。 忘れずに麓の土産屋で 銘酒「八海山」 を購入し、
帰路についた。

( 2008.8.17記 )


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