な 話 (ま)


01, マスターシリンダーのプッシュロッド
 かれこれ20年前の初代の頃の話です。

 そのときに起こった、と言うより起こした事件です。

 ある日ブレーキの踏みしろが少なくなりブレーキペダ ルが身体に近づいている事に気が付いたのです。

 その頃ブレーキシリンダーが欠品で、シリンダー内が 錆びてピストンが戻らなくなるので気を付けるように言 われていました。

 その解決方法はシリンダーをバラして内部をサンドペ ーパーで磨く事が唯一の対策でした。

 全般的にスポーツ800を十分に理解していないその頃のA氏は 、何を思ったのか、ブレーキペダルを思いっきり力一杯 踏み込みました。するとブレーキの踏みしろが確保されたのです。

 こんな簡単な方法で解決できるとは以外でした。そのときは「やはり古い車は簡単な構造だからかな」ぐらいにしか思っておりませんでした。

 しかしその考えが甘かったことを数時間後の夜、恐怖 と共に思い知らされました。

 仕事帰り(生意気にもスポーツ800を通勤に使っていました。そ して、19:00過ぎ、ブレーキの踏みしろがまたもや無くな ってきたことに気付いたA氏は例のごとく、躊躇無くブ レーキペダルを目一杯踏みつけました。すると、ある時点でブレーキペダルが動き始め、やれやれこれでブレーキをO/Hせずに済むと思った刹那、ブレーキペダルがスコっ!と言う感じでスカットルパネルを直撃しました。

 最初この自体を飲み込めないA氏はしばし呆然としていました。

 とぼけた事にブレーキペダルを何回か踏み込んで踏みしろが戻るのを期待していましたが、それが無駄な 努力、徒労であることに気が付くに恐竜の脳味噌並の時間を要しました。

 暗がりのダッシュボードの裏側を手探りでブレーキペ ダルを辿って行くと触りなれない物がぶら下がっている ことに気が付きました。


 とりあえずフットブレーキが効かないことは理解しました。で、どうするか?パーキングブレーキが効くとが判ったので、後続車が無い時を狙って自宅まで帰ることにしました。

 それからの1時間弱が恐怖でした。幸い後続車が殆ど無かったので割合ゆっくりした30から40km/hの速度で自宅 に帰り着きました。

 自宅で点検してみてビックリ!なんと!マスターシリ ンダーのプッシュロッドが「く」の字に曲がっているでは
ありませんか!それもネジ山の根元部分から。

 しばし考えてから、片手ハンマーと台となるレールの切れ端を引っ張り出し、曲がったプッシュロッドを外して レールの上に乗せてハンマーで叩いてだいたい真っ直ぐに直してからマスターシリンダーに着けました。

 翌日その当時お世話になっていた整備工場に持ち込 んでシリンダーをばらして磨い貰いました。

 めでたし、めでたし。の悲しいお話でした。

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