な 話 (な)


01, 燃料タンク

 スポーツ800のウィークポイントの一つに燃料タンクが掲げられます。

 
鋼板の厚みが薄いせいか腐食に弱く、とにかく孔が明く空きやすい代物です。

 
現在乗っているスポーツ800がこの例に漏れずと、言うよりも、手に入れた次点ではすでに漏洩部分を、エポキシ樹脂でガムをくっつけるようにして補修してありました。

 
ある日の朝、車庫に置いていたスポーツ800から少々ガソリンの臭いが感じられましたが、大して気にも掛けずそのまま出掛けたのですが、走っていて「どうもおかしい!」と感じたのです。

 
と言うよりも、今までに無い異様に匂うガソリン臭でした。

 
スポーツ800のガソリン漏れが良く起こるところは、キャブレターとこの燃料タンク、ついで燃焼ヒーターが挙げられます。

 
最も危険なのはキャブレターとA氏は思っています。それは、電気系統がキャブレターに割合近いところに集中しているからと思っているからです。

 で、かのガソリン臭い件は、車内にいて結構辛いと言うよりは、かなりガソリン臭くなってきたため車を路傍に止めて、まずキャブを点検しました。

 キャブはこれより半年ほど前に新品と交換していたので、未だ綺麗なままマニホールドの上に鎮座ましましておりました。

 続いて燃料系統、ヒーターと一通り点検しましたが、異常は見あたりませんでした。

 原因と思われる箇所を思案することしばし、ハタと膝を叩いて思い当たったのが燃料タンクでした。

 早々に燃料タンクの下側を覗いて見れば案の定、例のエポキシ樹脂で補修している周囲ににじみがあることを確認しました。

 ここでA氏は「危険である!」と判断し、直ちに家に戻ることにして対策を考えました。

 一番の対策は、交換する事が最も手っ取り早く安心ではありますが、部品としては欠品だったので、レプリカまたは中古品との交換となります。

 が、いずれもサイフの許容量を大きく逸脱する事なので、自分の持つ能力を駆使して対処する事にしました。

 とにかくこの漏れを何とかしようと、心当たりに訊ねたところ「石鹸を擦り付けるように」とのアドバイスを頂き、ジャッキアップして早々着手致しましたが、そうは問屋が卸してくれませんでした。

 石鹸が有効なのは穴が開いた時点での事、今回のような補修部分にはあまり効果がないことが塗り込んでいて判りました。

 一向に止まる気配のない漏れに困惑しつつ次なる対策を考え始めたA氏、念のため補修して有るエポキシ樹脂をつつくと、すぐにでも剥がれそうな状態で有ることが判りました。

 かさぶたを剥がすような気持ちでこのエポキシ樹脂を剥がすと、ガソリンが糸を引くように「ツー」と言う感じで流れて落ちてきました。

 タンクに入っているガソリンを、ポンプを使って有る程度抜いて車をジャッキにより、ガソリンが漏れて来ない程度になるまでを持ち上げて石鹸を擦り塗り込みジャッキを外しましたが、A氏の目論見がものの見事に外れた事を確認しました。

 次の方法として、鉄板ビスを打って一気にケリを着けようとしましたが、敵もさるもので漏洩箇所がいくつも有り、それも「一塊りに」と言う感じで集まっていた為、今回ビス打ちをもあきらめることになりました。

 「石鹸」、「鉄板ビス」とことごとく対策が無駄に終わり落胆してしまい、安全を考えてタンク内のガソリンを抜き、徒労感に包まれながらも次なる手段を考えることにしました。

 A氏は、エポキシ樹脂を今までと同じように再度盛りつけることとし、手持ちの材料を用意した後、ワイヤーブラシを使ってタンクの外側の錆びを落とし始めました。

 作業開始後程無く、一番大きな腐食穴の大きさが判り、その周囲にはいくつものピンホールがあることを更に認めました。

 爪楊枝が入りそうなところが一つ、ピンホール状で収まっている箇所が3ヶ所も有ることが判りました。

 ここでエポキシ樹脂を使うことを止めて、ハンダを使って穴を埋めることに変更しました。

 サンドペーパーを持ち出し、腐食部分磨くと更に細かいピンホールが現れ腐食の進行具合が以外に広く浸食していることを知りました。

 で、そんなことにめげずにA氏はハンダ盛り作業を進めることにしました。

 ガストーチでのハンダ付け企てていましたが、タンク内に残ったガソリンが全て抜けきらないので、とても悲惨な結末を選出しそうなほど危険なことと判断し、この方法をあきらめ、ハンダ鏝による方法で作業することにしました。

 抜けきらないガソリンをタンクの片側に寄せて腐蝕箇所から遠ざけるため再びジャッキアップし作業に入りました。

 ヤニ入りの電気用のソルダでの作業は以外と簡単に進み、次々と腐蝕穴を埋めて行くことが出来、一通り作業を終えてガソリンをタンクに戻し、補修部分を点検すると補修部分より更に外側から漏れが有ることを発見したのです。

 徒労感の募る中、気の重い作業を再び同じ手順でやるしか無いので、再びハンダ付けを行い、再び同じ手順で点検し、ようやく漏れが無いことを十分に確認して現在に至っています。

 この次は腐らないステンレスタンクが欲しいと思うA氏であります。

 そうそう、ハンダ付けした補修部分にはタッチアップしたことを忘れていたので、後にタッチアップ塗料でチマチマ塗って錆止めの代用としました。

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