ぼたひら(ムキタケ)
 ブナなどの広葉樹林の倒木・立ち枯れの木に生える。
この地方で『ぼたひら(ぼた餅のような平茸)』と呼ぶが、その味は平茸とは「月とスッポン」。皮がむけるためにつけられた『ムキタケ』が正式名称。

 10月中旬から12月下旬が収穫期。大きいものは20p位の扇状になる。ツキヨタケ(毒)と間違いやすい。裂いてみて根元の内部が白いものはムキタケ。黒いものはツキヨタケ。ムキタケは、生える環境によって表面が緑色やこげ茶色・紫色の物がある。表面がビロード状で黄土色のものよりも舌触りがよく、美味しさも格段上回る。ムキタケは、きわめて美味しい旨みを含んでいるため、鍋物に入れる前と後では味が全く異なり感動的。洗って1回分ずつを冷凍し、水分を捨てないように冷凍のまま使用する。
【料理方法】
すき焼きが最高。醤油とみりんにしょうがを加えた煮物も美味しい。小さいものは茶碗蒸しに!
       ムキタケ・・・食べて納得の「ぼたひら」(付け根の内部が白い)

 ツキヨタケ(毒) 
 ブナの倒木・たち枯れに生える。中毒症状は、嘔吐・腹痛・下痢などで死亡することはない。
真暗闇で裏面がほの白く光るため、月夜タケと呼ばれる。色は生育環境などで異なるが、暗紫色で黒っぽく見えるため、この地方ではクマヒラと呼ばれる。傘の端から軸が出ていて、裂くと付け根の部分が黒い。毎年、中毒例があり、道端にたくさん捨てられていることがある。


                    ツキヨタケ(暗闇で裏面がほの白く光るために命名された)

ツキヨタケ(裂くと付け根の内側が黒い)          ↑シイタケ(軸が中央から出ている)

中毒例                                                       
 大山の旅館で美味しいボタヒラ(ムキタケ)をご馳走になり、次の週オート三輪で裏大山に出かけた。荷台いっぱいのボタヒラ(実はツキヨタケ)を持ち帰り、親戚中に配った。キノコ汁にしてみたが、まったく美味しくない。そのうちムカムカしてきたため、おかしいと思って、隣接する本家に向かった。時すでに遅く、大なべは空っぽ。もう一軒の親戚は、法事で来客もあった。意識もうろうとなりながら、駐在さんのバイクに先導されて、米子の医大に駆け込んだ。荷台ではぎゅうぎゅう詰めの犠牲者たちが、道路に撒き餌をしていた。ツキヨタケは死者が出るキノコではないが、あまりの苦しさに15人が何度もチューブを呑み込んだ。当直の新米医師は、一夜にして胃洗浄の名手となり、その後は胃カメラと服毒自殺の権威となった。新装なったばかりの医大の廊下を当直明けのナースたちが、雑巾がけをした話は、秋の名物話しとなったそうだ。
およそ40年前、わが家が震源の話だ。新聞沙汰を引き起こした父は、その後10年近くマツタケも口にしなかった。

カノシタ(ブナハリタケ)
 ブナなどの広葉樹の倒木に生える。10月中旬から11月下旬が収穫期。
裏面は針のようなとげ状となり、強い芳香がある。弾力があって水分を多く含むため、絞って持ち帰る。この地方ではカノシタと呼んでいるが、本来のカノシタ(鹿の舌)は、軸があって地面に生える。小さく刻んで炊き込みご飯にすると、マツタケご飯のような香りが楽しめる。

 

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