W.Furtwangler Archives 1937-41
写真提供:朔北社 (c)sakuhokusha
フルトヴェングラー 幻の東京公演 横田庄一郎著

フルトヴェングラー資料室(WF Archives)1937-41

戦前HMV(EMI)録音期

電気録音最初期へ[1926年-][about資料室][shin-pのコラム]

***<注意>***リンクされた先の音源はshin-pの管理下にはありません。取り扱いには十分お気をつけください。


独Polydor(DG)のみに録音を続けてきたWFだが、この年はじめて英HMV=EMIとも契約を結び録音を開始した。運命・悲愴は戦前から知られている巨匠の代表盤。
また35年から40年にかけてのワーグナー楽劇の断片などは様々なレーベルから発売されているが、日付を特定できなかったり、ニセモノが混入していたりとディスコグラフィーを混乱させる元となっている。(shin-pHPではこれをさらに深く追求しようなどと無謀なことは一切考えていない−)
note(記載上の凡例): SP/PR= SP premiere release LP/PR= LP premiere release CD/SB= shin-p's Best CD

1937年


●5月1日 1 May 1937 BPO London Queens Hall (Live)
ベートーヴェン/合唱 Beethoven:Sym.No.9
BBC収録 EMI所蔵 EMI Archive (Matrix:2EA3559-75)
LP/PR: ToshibaWF600073-4('84) Electrola02701231('84)
CD: M&ACD818('95)WFJ19-21('03)EMI CZS5628752(04/06)

▼没後30年記念盤としてEMI系から発売予告が出て初めて世に知られた、ジョージ6世戴冠祝賀公演のためロンドンを訪れた際の実況盤。EMI系のLPはSPのつなぎめが不自然で不評だった。特に終楽章は巨匠の「間」を大切にした表現が全く伝わらず、鑑賞に大きな支障がある。また部分的に音の途切れが目立ち、残響にも乏しい録音だ。CD(TOCE6057)では若干改善されている。M&A盤(CD818='95)は、未聴だが「EMIより音質改善を図った」(タワー店頭)というのが売り。オリジナルSP盤から復刻したとされる日WF協会盤は音質は盤面のつなぎ目をブランクにした賛否両論のCD。グレイトコンダクター企画で発売されたEMI CZS5628752は収録時間の関係で2楽章反復を省略。ノイズリダクション多用音質だが、聞きやすさでは一番。
2021年Warner全集では、これまでの17面SPマスターではなく、第4楽章128-135小節の重複を含んだ19面の旧EMIアーカイブ原盤(2EA3559-77)からの新マスタリングでの発売としている。
[1937 London Furtwangler Beethoven on YouTubeMusic Warner公式提供]

●5月24日 24 May 1937 London PO Covent Garden Royal Opera House(Live)
ワーグナー/ラインの黄金〜抜粋
Wagner:Rheingold Excerpt
EMI収録 TestPress(Matrix:2EA5201-34) not issued

●5月26日 26 May 1937 London PO Covent Garden Royal Opera House(Live)
ワーグナー/ワルキューレ3幕
Wagner:Walkure act3
EMI収録 TestPress(Matrix:2EA5238-53)
LP/PR: GAO EJS450(70?) CD: ACANTA441055('88) PAL2007-8(88/07) MYTO 1CD981H003(98/04) M&A CD1035(98/09)WFJ19-21('03)

●5月28日 28 May 1937 London PO Covent Garden Royal Opera House(Live)
ワーグナー/ジークフリート〜抜粋
Wagner:Siegfreid Excerpt
EMI収録 TestPress(Matrix:2EA5609-18) not issued

●6月1日 1 June 1937 London PO Covent Garden Royal Opera House(Live)
ワーグナー/神々のたそがれ〜抜粋(約90分収録)
Wagner:Got Excerpt
EMI収録 TestPress(Matrix:2EA5619-45)
LP/PR: GAO EJS431(70?) Acanta4023520('83)
CD: 441055('88) PAL2007-8(88/07) M&A CD1035(98/09)WFJ19-21('03)

▼EMIによって全曲録音された「リング」。ライナー、ビーチャムのトリスタンとともに全曲発売が計画され、関係者向けに作られたテストプレスの存在は以前から知られていた。しかし出演者の了解はとれずEMIはオクラ入りにしている。各ディスコグラフィーの記載を見る限りでは、このリング録音が現在も全曲存在する可能性は低いと思われる。当時のロンドンフィルはビーチャムのもとで絶頂期にあったとされる。[参考資料F]では「1937年ロンドンの指環について(中略)おそらくは国会図書館のSPからとったものと思われるが・・・」と述べている。日WF協会盤はM&ACD1035(98/09)を日本仕様にして頒布するという。2021年Warner全集でもこれまで以上の録音部分は出てこなかった。
[Wagner: Die Walkure & Gotterdammerung (Excerpts, Live)1937 on YoutubeMusic Warner公式提供]

●7月-8月 July & August 1937 Bayreuth Fes. Orc. Bayreuth Fes.(Live)
ワーグナー/ワルキューレ1幕断片
Wagner:Walkure act1 excerpt(5'43")
LP/PR: German Wagner foundation 2666 760 (2LP)

▼ドイツ・ワーグナー財団発行のLPのみ。ハンガリー協会のディスコグラフィーにはPublication of Bayreuth Town Hallとある。録音表清水氏によると78回転で収録された5分43秒の断片録音は「意外に録音状態はよい」という。記録によるとWFは1937年のバイロイトで2回リングを振っている。

◎7月30日、8月17日ワーグナー/神々のたそがれ(2、3幕抜粋) バイロイト音楽祭での録音(RR540/SWF7802)は一部は非WF(レオ・ブレッヒ指揮によるもの)、また一部は別のすでに明らかになっている録音(同年のコヴェントガーデン盤や50年のスカラ座盤)を使用したまがいもの説が有力。 仏フ協ではSWF7802を廃盤処分にしている。
また1937年録音バイロイトのパルジファル(RR379)も別の指揮者(RシュトラウスかFライナー)という意見が一般的。

●10月8日、11月3日 8 Oct. & 3 Nov. 1937 BPO Berlin Beethoven Saal(EMI Studio)
ベートーヴェン/運命 Beethoven:Sym.No.5
Matrix:2RA2335-3/36-3A/37-3A/38-4A/39-3A/40-1A/41-3A/42-2/43-2A
SP/PR: DB3328-32S(37/12)
LP: HA5101('58)
CD: BIDDULPH WHL006-7('93) Tahra FURT1032-3(98/01)
CD/SB: WFSJ WFJ15-16('00)

▼戦前の巨匠の代表盤。はっきりいってこれ以前の録音は、巨匠の音楽を日常的に楽しむものではない。独Polydorに録音した最初期のSPにもすばらしい演奏があるのだが、いかんせん現代人の耳にはあまりに貧弱な音である。この運命はSP復刻ながら状態も良く壮年時の巨匠の表現が楽しめる。スタイルとしては47年盤をスタジオ録音にしたような、迫力のある名演である。Roger Smithson氏は上記録音日を10月8日ではなく7日としている。 日本協会盤はエレクトローラSPが使用した別テイクも収録している貴重盤。
[1937 Furtwangler Beethoven 5 & 9 on YouTubeMusic Warner公式提供]

●11月25日 25 Nov. 1937 Wien State Opera Orc. Wien Staatsoper(Live)
ワーグナー/名歌手〜抜粋(48分23秒収録)
Wagner:Meistersinger Excerpt
private archive
LP/PR: Belvedere7623596-7(85?) CD: KochSchwann3-1470-2('94)

KochSchwann3-1456-2の収録内容


1938年


●2月11日 11 Feb. 1938 BPO Berlin Beethoven Saal(EMI Studio)
ワーグナー/トリスタン〜1幕前奏曲&愛の死
Wsgner:Tristan Pre.act1 & Tod
Matrix(Act1):2RA2657-1/58-1/59-2
Matrix(Tod):59-2/60-2
SP/PR: DB3419-20(38/04)
CD: BIDDULPH WHL006-7('93)

●3月15日 15 March 1938 BPO Berlin Beethoven Saal(EMI Studio)
ワーグナー/パルジファル1幕前奏曲&聖金曜日の音楽
Wagner:Parsifal Pre.act1 & Good Friday Spell
Matrix(act1):2RA2741-2/42-2/43-2
Matrix(Friday):44-1A/45-1A/46-1A
SP/PR: DB3445-7(38/07)
CD: BIDDULPH WHL006-7('93)

▼録音はすっきりしないながらも、最高のWagner。聖金曜日の音楽で米RCA盤SP15220-1のみ第3面が46-2Aとなっている。
[Wagner: Prelude & Liebestod from Tristan und Isolde, Prelude & Good Friday Music from Parsifal 1938 on YouTubeMusic Warner公式提供]

●6月1日 1 June 1938 London PO Covent Garden Royal Opera House(Live)
ワーグナー/ワルキューレ2幕断片
Wagner:Walkure act2 Excerpts
LP/PR: GAO EJS170(70?)
CD: LegatoClassics LCD139-1(89?)

●6月7日 June 1938 London PO Covent Garden Royal Opera House(Live)
ワーグナー/神々2幕断片
Wagner:Got act2 Excerpts
LP/PR: GAO EJS342(70?)
CD: PealGEMM9331(90?)

●9月5日 5 Sep. 1938 VPO Nurnberg Opera(Live)
ワーグナー/名歌手(抜粋)
Wagner:Meistersinger Excerpts
LP/PR: UORC224('75?) WFSJ JP1143-4(80?)
CD: KochSchwann 3-1452-2('93) PAL2007-8(88/07)

>>>>>recording time 90 min.
▼9月8日のナチ党大会に先立って行われた演奏会。全体で約90分収録されている。KochSchwann3-1456-2の収録内容
Furtwangler 1938 Meistersinger on YouTube Search

●10月25日27日 25&27 Oct. 1938 BPO Berlin Beethoven Saal(EMI Studio)
チャイコフスキー/悲愴
Tchaikovsky:Sym.No.6
>>>>recorded on before 22 Nov.
Matrix:2RA3345-1/46-2/47-2/48-3/49-3/53-2/54-2/55-1/56-2/50-1/51-2/52-3
SP/PR: DB4609-14(39/01)
CD: BIDDULPH WHL006-7('93)

▼運命とともに巨匠の戦前の名盤。3楽章のテンポの動かし方に巨匠の味が出ている。ただ他の曲の場合と違って、ここぞ−というときに意外にさらりと流してしまう場面が多い。しかし終楽章の「死」を思わせる歌わせ方は格別だ。EMIのデータシートでは11月22日以前に録音は終了しているという。2021年Warner全集発売までは10月11月録音とされ、日付の記載はなかった。
[Tchaikovsky: Serenade for Strings, Symphonies Nos. 4 & 6 "Pathetique" on YouTubeMusic Warner公式提供]


1939年

この年夏WFの東京公演が計画されていたという。その真実の鍵は2人の日本人に囲まれ写っている1枚の写真だった。朔北社HP書籍紹介[幻の東京公演]
●1月19日 19 Jan. 1939 BPO Berlin Philhamonie(Live)
フルトヴェングラー/ピアノとオーケストラのための交響的協奏曲
Furtwangler:Symphonisches Konzert fur Klavier und Orchester(E.Fischer)
RRG収録 DDR(FunkhausBerlin/DRA)所蔵ディスク
CD/PR: Pilz CD78004('92) King(JP) KICC7066('93) DANTE LYS123('96)

▼東西ドイツの壁がなくなり、89年に東独VEB放送録音保管所から見つかった貴重な18枚のアセテート盤録音。オルセン2版(1973刊)で既に記載されていたものの[参考資料@]で桧山氏は「東独放送局への編者の照会に対して"存在せず"と回答」としていた。
[Wilhelm Furtwangler - Sinfonisches Konzert on YouTubeMusic Provided by The Orchard Enterprises]

●4月25日 25 April 1939 BPO Berlin Beethoven Saal(EMI Studio)
フルトヴェングラー/ピアノとオーケストラのための交響的協奏曲第2楽章
Furtwangler:Sym. Konzert fur Klavier und Orc. 2nd Mov.(E.Fischer)
Matrix:2RA3904-2/05-2/06-3
SP/PR: DB4696-7(40?)
CD: BIDDULPH WHL006-7('93) TESTAMENT SBT1170(99/11)

>>>>recording date provided by Mr.Roger Smithson
▼8月から9月にかけての録音とするディスコグラフィーもある。EMIのディスクへの製版は8月14日とされる。EMI系のCD/LPでは日付はなく単に4月録音としている。Roger Smithson氏のフィッシャー・ディスコグラフィーに記載があるEMIへの照会では上記録音日となっている。2楽章については親しみやすいメロディも流れるが、全曲を通して聴くには・・という感じだ。
[Wilhelm Furtwangler Sinfonisches Konzert on YouTubeMusic Warner公式提供]

●9月13日 13 Sep. 1939 BPO Berlin Philhamonie(Live for Broadcasting)
ヘンデル/合奏協奏曲op6-5
Haendel:Concerto Grosso op.6 No.5
ベートーヴェン/運命
Beethoven:Sym.No.5
RRG収録 DRA所蔵ディスク(No5=DRA 5500999)
CD/PR THARA FURT1004-5(97/04)BPORecordings BPHR180181('19)

▼TAHRAから発売された未発表録音。運命はSP75回転盤全8面中第7面が紛失(4楽章の486-668小節に欠落)し、
HMV収録37年スタジオ盤で修復している。その部分は音質が多少異なり、HMV盤の方が若干高音が伸びて明瞭な感じを受けるが、各面のつなぎ目は良好で、全体としてこの時期のものとはしては音質は平均点。演奏は37年盤とスタイルも酷似しており、また針音のせいで会場のノイズは聞き取れない。実況ではないかも。なおハンガリー協会のNEWSではTAHRA FURT1014-5に含まれる演奏は96年にシュトゥットガルトで発見されたとしている。
TAHRAは1990年代後半から戦前の巨匠の録音の発掘に力を注いでいたが、すでに閉業している。ただ音源は各サブスクミュージックサイトで聞くことができる。

◎10月1日BPOとの英雄が存在するというディスコグラフィーあり。
1 Oct. BPO Beethoven:Eroica is exist?

●11月29日 29 Nov. 1939 Wien State Opera Orc. Wien Staatsoper(Live)
ワーグナー/ワルキューレ〜1幕終結部&ワルキューレの騎行
Wagner:Walkure end of 1st act & Ride of the Walkyries
DRA,Frankfurt(1870705006)所蔵 not issued

>>>>information provided by Tahra.
▼トレマン本で明らかにされた貴重な30年代後半のウィーンでの録音。


1940年


●10月15日 15 Oct. 1940 BPO Berlin Philharmony /Telefunken Studio Recording
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲13番〜5楽章
Beethoven:Quartet No.13 Cavatina
Matrix:025239/38
SP/PR: SK3104(41?)
CD: WanerJapan WPCC5361('93)

▼テレフンケンへのスタジオ録音はこれと
42年のブルックナーとグルックのみ

◎11月3/5日BPOとの田園が存在するとするディスコグラフィーもあるが、真偽は?
3/5 Nov. Beethoven:SymNo.6 is exist?
[Cavatina on YouTubeMusic Warner公式提供]

●12月21、22日 21/22 Dec. 1940 VPO Musikverein (Live)
バッハ/ブランデンブルク協奏曲5番
Bach:Brandenburg No.5
Private archive, Berlin
LP/PR: SWF8401-2('84) AT13-14(85?)

▼40年代ウィーンでの録音は非常に少ないが、その貴重な録音。かなり以前からプライベートテープの存在があったという。放送用アセテート盤からの復刻でノイズは盛大、2楽章後半に欠落があるが、個々の音は光っており、50年ザルツブルクよりも演奏自体は好ましく感じられる。
[(MP4)J.S.Bach BWV.1050 I.cadenza-finale rec.1940 on YouTube]

◎1940年ベルリン国立歌劇場でのタンホイザー序曲・パルジファル1幕前奏曲・神々〜1幕断片・ジークフリート2幕断片が独Acanta盤(4023520='83LP,43121='87CD)で出ていたが、すべてニセモノとする見解がある。
桧山氏は[参考資料@]の中で−タンホイザーとパルジファルについてはオケの表記と年代に疑問があるが巨匠の演奏だ−としている。またHUNT及びトレマン本ではD・ハミルトン氏の意見を引用し、すべて巨匠の演奏ではあるが、タンホイザーは52年HMV録音、パルジファルは38年HMV録音、ジークフリートは53年ローマ録音、神々は50年スカラ座、31年トリスタンは38年HMV録音と他の録音から流用して作ったもの−としている。
神々とジークフリートについては、一般認識として上記見解が定着している。しかし最近shin-pが聞き直した印象では、タンホイザーが52年スタジオ盤である可能性はない。EMIで6分に聴ける激しい靴音が同じだった(Imamura氏の指摘より)ので以前は同じ可能性があるとしたが、EMI盤には11分40秒付近にスタジオ録音とは思えぬ不用意な雑音が連続して聞かれるがACANT盤にはなく、また演奏の内容も違う部分が多いからである。さらにパルジファルも38年盤とは違い、トリスタンにいたっては全く別物といって過言ではない。
ACANTA盤を製作したハンブルクのFonoTeamは自社でも36年バイロイトのローエングリンを出している。(31年録音と称するAcanta44.1055と同じ) 43年のTAHRAの運命(TAH272)やACANTAのヌヴー/ブラコン(日本盤も同様)にもFonoTeamの表記がある。FonoTeam(phonoTeam)についてはImamura氏のコメント参照のこと。もしトレマン本が本当なら針音や聴衆ノイズをうまく付け加えた巧妙なニセモノとなり、その製作者をTAHRA(トレマン氏)がCD製作に使うという矛盾もはらんでいる。オルセン2版は1939-45年にかけてDGかテルデックがベルリン国立歌劇場管を使って巨匠とテスト盤を作った−というウワサを紹介している。
またオリンピック(日本ではフィリップスSETC7501-7の巨匠初のベートーベン交響曲全集というふれこみで出されたLP)からでたこの1940年録音とされるスウェーデン国立管のベト8は48年のEMI(ユニコーン)盤と同じ物。


1941年


●2月2-4日 2/4 Feb. 1941 BPO Berlin Philhamonie(Live)
ブルックナー/交響曲第7 第1,2,3楽章抜粋
Bruckner:Sym.No.7 Excerpt
private archive, Wien
LP/PR: AT11-12(90?)
CD-R: M&B MB4504('00)

>>>>recorded from RRG Radio by potable disc recorder
▼同年12月の第4とともに私的なエアチェックによる録音といわれる。1,3楽章は冒頭からアセテート盤1枚分、2楽章はディスクの入れ替え部分を除きほぼ全楽章収録されている。1,3楽章は音質が何度も変化するなど同一人物が収録したと思われる12月のブル4よりも聞きづらい録音。AT盤では1,3楽章の反復を考慮して同じ盤面を2回再生している。

◎スキー事故のリハビリのため3月から10月までの演奏会活動はしていない。

●11月2-4日 2/4 Nov. 1941 BPO Berlin Philhamonie(Live)
ベートーヴェン/レオノーレ序曲第3&ピアノ協奏曲第4
Beethoven:Piano Concerto No.4 (W.Kempff) & Leonore No.3
private archive, Wien not issued

>>>>recorded from RRG Radio by potable disc recorder
▼この演奏の放送をエアチェックしたとされるポータブル録音機については43年1月の資料をご覧ください。

●11月30日 30 Nov. 1941 BPO Berlin Philhamonie(Live)
ドヴォルザーク/交響曲第9「新世界」
Dvorak:Sym.No.9
LP/PR: Royale(US)1257('53=CarlListz=Cond.?) Relief813('83) Philips(JP)27PC813(83/01) CD: Philips(JP)30CD3036('86)
[店頭情報][マグネトフォン]
>>>>doubtful recording. This recording conducted by Kabasta on 14 July 1944. A part of Japanese WF's fan believe "a real thing". Because Mr. Araya was a principal of Sapporo music school said "I'm sure This performance is WF's New World".
▼95年秋、日本ポリグラム(フィリップス)はこの演奏の再発を予告したが直前に発売中止となり、結局発売されなかった。桧山氏によればすでに見本盤は作成されていたという。81年ドイツで発見されたワイヤー録音を仏パテの技術者が修復したと伝えられる。当時のBPOホルン奏者の「旧フィルハーモニーホール独特のサウンド」という証言が決め手となり発売されたものだが、実は非WFカバスタ指揮ミュンヘン放送響(一説ではミュンヘンフィル)の44年7月14日録音と具体名を挙げている本もある。
Relief813に使われた音源の初出はカール・リスト指揮ベルリン響と記された米Royale1257とされ、shin-pも清水氏のご協力で同じものと確認済み。録音は41年とは思えない高水準で聴衆なしの「放送録音」であることから41年11月30日の実況である可能性はまずない。演奏は冒頭から「せっかち」でまるで進軍ラッパを聞くような圧迫感のあるムードが漂う。shin-pはWFの演奏ではないと思う。各国WF協会でもレリーフ盤が頒布された。M&Aからカバスタ「正規」CDが発売され真正問題には「非WF」という終止符が打たれた。 Lumpe氏の問い合わせにM&Aは[YahooFurt-I4974]で DRAに保存されているRRGテープを使ったと回答している。[米50年代マイナーレーベルについて]
また、FURT氏は
>1941年の新世界交響曲の実演を聴かれた札幌音楽院長の故 荒谷正雄氏は、
>フルトヴェングラーの演奏だと証言されていました。
>「その時の公演は、いつものフルトヴェングラーらしくない(わりとザッハリッヒな)、
>非常に新鮮な新世界でした。彼の演奏じゃないという人は、
>フルトヴェングラーのことをもうちょっと知る必要があるんじゃないでしょか?」とも
>おっしゃっています。
>荒谷氏は、1937-45年の間ベルリン、ウィーンの両フィルハーモニックの
>定期会員として全盛期のフルトヴェングラーの公演を数多く聴かれた、
>我が国では数少ないお一人でした。
とコメントされている。この意見に代表されるように日本では「真正説」が多く、 日本協会は2011年6月末に、この音源を真正WFとして再び頒布した。
[ARSC Journal Ernst A. Lumpe氏の論文](Lumpe氏は技術的にも音楽的にもWFではないとしている)
[フルトヴェングラー 新世界 on ニコニコ動画SEARCH]

●12月14-16日 14-16 Dec.1941 BPO Berlin Philhamonie(Live)
ブルックナー/交響曲第4抜粋
Bruckner:Sym.No.4 Excerpts
private archive, Wien
LP/PR: AT11-12(90?)
CD-R: M&B MB4504('00)DeltaClassics DCCA-0001(04/08)

▼この年2月のブル7とともに有名な日本製プライヴェート盤LP。AT盤は他にもこれでなければ聴けなかったレアモノが多い。97年6月のレコ芸「求む」欄でも掲載されていた。ブル7とともに実況をアセテート盤で録音したらしく(録音方法については
43年アンダとのフランク参照のこと)ディスクの入れ替え時の演奏が抜けている。「抜粋」とされているのはその意味。コーダが抜けているのは致命的だが、抜けている部分が残念なほどハツラツとした演奏。ブル7と同じ人物が録音したと思われるが経験を積んだ甲斐あって(?)比較的鮮明な音質。
CD-RのM&B盤もCD化されていないレア盤だが、このMB4504に限らずレアなLPの板おこしが多く、音質的には期待薄。レアなヒストリカル音源をリリースするデルタエンタテインメント初のCDで話題を呼んだDCCA-0001も同等の音質。吉岡伊予守氏所有のオープンテープは、清水氏によればAT盤と同等の音質。
[Delta Entertainment 41年ブル4試聴ページ]

●12月25日 25 Dec. 1941 Wien State Opera Orc. Wien Staatsoper(Live)
ワーグナー/トリスタン第2幕断片
Wagner:Tristan act2 Excerpt
private archive, Wien
LP/PR: GAOEJS399(70?)
CD: KochSchwann3-1456-2('94)

▼43年の録音と混乱している録音。2つのヴァージョンがあることは間違いないが日付の確定はどのディスコグラフィーもしていない。KochSchwann3-1456-2の収録内容

◎41年録音のVPOとの運命が存在するというディスコグラフィーも存在するが真偽は?
1941 VPO Beethoven:Sym.No.5 is exist?

***<注意>***リンクされた先の音源はshin-pの管理下にはありません。取り扱いには十分お気をつけください。
戦中の録音[1942年-5][録音年選択] mail:shin-p@mail.goo.ne.jp