事故予防・保育リスクマネジメントに関するお問い合わせ

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リスクマネジメントの評価と再発防止策の検討

提出された報告書は活用しなければ意味がありません。ここでは報告書から導き出されるデータの分析方法、及びその対策について解説します。

1.報告書を集計する前に

データを分析する前に、まず分析できるように報告書を集計しなければなりません。

保育リスクマネジメント実践

右図はちどり保育園が保育リスクマネジメントを実践する前に使用していた「ひやりはっと」を記入する用紙です。見ると日時、場所以外の項目は全て自由記述となっています。

この場合、文章力が長けている保育者であれば的確な「内容」及び「対処」を記載することができます。しかし「インシデント・アクシデント報告書の様式」でも述べているように、文章力によって伝え方の深さが異なってしまいます。また、集計する担当者にとっても文章で記入されていることで、何に着目すれば良いのか見極めが難しく、集計の精度が報告書によってばらばらとなってしまいます。

このような点より「データを分析する」という点において保育リスクマネジメントを実践するのであれば、出来る限り自由記述項目が少なく、チェック式の報告書を活用することをお勧めします。

2.「何を」集計すれば良いのか?

ちどり保育園の報告書様式を使っていても、いなくとも、どんな報告書でも必ず書かれている項目があります。

それは「発生時刻」「曜日」「発生場所」の3点です。

どのような書式の報告書であっても、自由記述式の報告書であっても、以上の3点については必ず記載が有るはずです。まずは「どの時間帯に怪我が多いのか?」「どの曜日にヒヤリハットが多いのか?」「どの場所で多く発生しているのか?」について報告書から件数を数え、集計していきます。

時間帯などの件数を集計したら、表やグラフを作成します。グラフなどを作成する際に手書きでも問題ありませんが、出来ることならばExcelやPowerPointなどの表計算、プレゼンソフトを活用して、会議に出席する職員へより視覚的に訴える資料を作成してみましょう。

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保育リスクマネジメント実践

右図はPowerPointで作成したグラフです。発生時間帯別に集計し、ちどり保育園と全国のデータを比較したグラフ(平成26年度時点)となります。グラフ化することで傾向が見やすくなり、どのような点に問題点や課題があるかなどを見出しやすくなります。例えば、右図のグラフの場合、青線がちどり保育園、赤線が全国のデータとなっていますが、両方とも一日の間に2回ピークが生じていることが確認できます。

そこで、ピークが生じている時間帯は子どもの怪我などに十分注意することが一つの対策として考えられます。また、ピーク時に多い怪我やヒヤリハットの内容を集計すれば、具体的にどの場所、どのような時に気を付ければ良いかなど具体的な指示をすることが可能となります。

怪我などが発生した時間帯を集計し、グラフ化するだけで様々な発生要因が考えられ、防止策の案が生まれてきます。そこへ更に発生要因など自己分析を集計したデータを加えることで「何故起こったのか?」を特定する精度が飛躍的に向上します。

3.「分析」とは?

そもそも「分析」とは「複雑な事柄を一つ一つの要素や成分に分け、その構成などを明らかにすること」です。

保育リスクマネジメント実践において「複雑な事柄」とは「子どもの怪我やヒヤリハット」を示し、「一つ一つの要素や成分」とは「発生日時や場所、発生要因など」を示していますので、保育リスクマネジメント実践において分析とは「子どもの怪我やヒヤリハットを、発生日時、場所、発生要因等に分けて、構成を明らかにすること」とも言いかえることができます。

では、実際に分析するとは、どのようなことを指すのでしょうか?

報告書を集計して、グラフ化することが「分析」ではありません。グラフ化したのち、そのグラフに対して意見を募り、何が問題であったのか?を職員で話しあって導き出すことが重要です。

分析する一例として「一年間」で、どの月にどのような怪我が多いかデータを集計してみると、その園の特徴が現れます。

保育リスクマネジメント実践

右図は平成25年度に「事故予防・ヒヤリハット報告システム(平成26年度で運用終了:日本保育保健協議会)」へ入力された事例のうち、噛みつきと転倒、ひっかく・叩くの報告件数(割合)をグラフ化したものです。

このグラフをみて様々な意見を思いつく保育者もいれば、なかなか意見が出ない保育者もいると思いますが多くは、6月から7月頃にかけて噛みつきが増え、12月から1月頃は転倒が多い、またひっかく・叩くは年度末にかけて増え始める。などといった意見が発せられると考えらます。

実際のグラフから読み取れる情報は以上の情報だけですが、リスクマネージャーはそれだけで満足してはいけません。いつ頃、どのような怪我が多くなっている。という意見が挙がったら、「何故」その時期に多く発生しているのか?を職員が考えるように促さなくてはなりません。

例えば、噛みつきが6月、7月に多いという意見が出たのであれば、何故多くなっているのかを考えるように習慣づけなければいけません。単純に「多い」から気をつけましょう。としてしまうと、結果的に何が問題なのか分からず、同じ怪我が同じ時期に発生し、リスクマネジメントを実践している意味が無くなります。

必ず「何故なんだろう」という疑問を職員全員が持てるように促すことが重要となります。

4.「分析」から実践する対策とは?

保育リスクマネジメント実践

「3.」で紹介したグラフから実際に対策を考えてみましょう。右図は先ほどのグラフから「かみつき」と「転倒」を抜き出したものですが、まずは「かみつき」について注目してみましょう。

「3.分析とは?」で「6月から7月にかけて噛みつきの発生割合が1年のうちで最も増えている」と意見がでました。では、何故多くなっているのかを考えることにしましょう。

6月、7月と言えば日本は「梅雨」の時季です。梅雨は一日中じめじめしており、雨が続き、比較的他の時期と比べて戸外遊びが出来ない。と考えられます。ということは必然的に保育室内での活動が多くなる時期です。いくら保育所の設置最低基準を満たしていたとしても、広々と遊べる子がいと比べたら、保育室内はそこまで広いとは決して言えません。

すると園児一人当たりの面積は自ずと狭くなり、保育室における子どもの密度は増加します。その結果、玩具の取り合い等を発端としたトラブルが発生し、3歳未満児は思わず「カプッ」と噛んでしまうのです。

保育室などの密度(効果)については、右図にもありますが北九州保育士会が編集された「自我の芽生えとかみつき」に詳しく掲載されていますので、一度ご覧頂くことをお勧めします。

では、噛みつきが起きないようにするための対策は何でしょうか?

保育室内の密度を軽減させることでしょうか?

密度を軽減させるためには「園児数を減らすか」「保育室を拡張する」しか方法はありませんが、どちらとも現実的な解決策とは思えません。

「保育室内での活動が多くなる」のですから、園児同士がトラブルになる元を考えれば良いのです。例えば、玩具の取り合いでトラブルが多く発生しているのであれば、園児に人気の玩具の出し方を工夫したり、予算に余裕があれば園児がトラブルにならない程度で補充したりするなど、比較的容易な対策で解決する場合も考えられます。

このようにグラフから様々な背景要因を見出すことで、根本的な問題の解決に繋がる場合もありますので、ぜひとも自園の状況を分析できるよう日々の報告書を集計、グラフ化してみて下さい。

→ 実践事例について

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