4)八合目から頂上へ
先にも書いたように、一口の八合目と言っても手前は約3000mで、
上の”本”八合目は3400mある。
その間に数件の山小屋が分散している。
ボクらが八合目に到着した時には、風の勢いは強く、視界は登ってきた下の方はなんとか見えるが
八合目から上を見上げると完全に霞んでいた。
先に到着していたツアーの一行様にガイドが声をかけていた
”この先は風が強く、突風が吹くので、体を低くしてください・・・危ないと思ったら、四つ這いになってください”
”先行して行ったツアーは本八合目で様子見しています。もしかしたら、山頂まで行けないかもしれません”・・・
単独行動のボクらにとっては、不安にさせる貴重な情報だった。
途中の八合目中間の白雲荘に到着。
明確に”雨”は降っていないのだが、細かい霧で衣服やザックが濡れてきたし、
休憩していても体が冷えるので、更に1枚中に着込み、ザックにもカバーを掛ける。
家人は、レインウェアの下も着用。ボクはパンツが少し湿った程度だったのでもう少し履くのを待った。
富士山登山道は、岩場と砂礫の道を繰り返しながら本八合目へと続いている。
最終の本八合目のトモエ館・・・ここで八合目のスタンプ(焼印)を押してもらう。300円なり。
既に、登山杖は湿っていたので乾かすまで時間がかかり、結構待たされた。
富士山ホテル・・と、いう名前の山小屋。
本八合目は吉田(河口湖)ルートの中で下山道と最も接近するところである。
だから、この富士山ホテルでは300円で荷物を預かってくれて、山頂まで荷物を軽くして往復し
帰りに、またココで荷物を受け取ることができる。
本八合目の気温は7.5℃。この分では頂上は確実に5℃以下だろう。
しかも、強風が吹いていたが、ボクらは更にひとつ上の”八合五勺”にある御来光館まで進むことにした。
この頃から下山してくる人が多くなった・・・下山道は別なのに、途中で引き返してくるのかな?
八合五勺の御来光館前・・頂上まで900m60分の看板。
・・・それは、順当に登ってのことだろ?この強風下ではどうだろうか?
しかし、あと”60分”に挑戦することにした。
九合目の鳥居まで約20分・・・下山してくる人と道を譲り合いながら進むので、中々進まない。
岩場が連続していて、心が折れそうになる。
”通過待ち”の渋滞で、立ち止まっている時に、悲劇が起きた。
山側から、斜面に向かって吹いた突風で、対応する間もなく二人の体は・・斜面側に飛ばされた。
ボクは斜面側のロープの外へ投げ出され、家人はかろうじてロープ内で留まった。
幸い、緩斜面だったので、1mほど下へころがっただけで済んだが、もっと勾配があったら・・と思う。
ボクらの前後の人も倒れていたから、局地的だったんだろう。
とりあえず、体中が砂礫まみれにはなったが、軍手のおかげでどこも怪我することなく列に復帰できた。
カメラは首からぶら下げていたが既に、レインウエアの内側に入れていたので大丈夫のようだ。
そして、最後の鳥居をくぐり、階段を上がると吉田口 富士山登山道の頂上へ到着。
11時57分・・河口湖の富士山登山道を出発して約6時間半。
この悪条件下で、朝食タイムなどの休憩を挟んでなので、結構早かった方ではなかろうか?
ヤッター!富士山の頂上に着いた!・・という感激を半減させる視界の悪さだった。
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